腹ぺこちび吸血鬼ちゃんと子育て王子。

黒木蓮

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腹ぺこの迷子ちゃん 2

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☆☆☆


「りうは、きゅーけつき、でしゅる」

何者だ、と金髪隻眼の少年に問い詰められリウは名乗った。
語尾に『る』をつけてしまった。他意はない。

少年は何かに気を取られていたようだったが、『吸血鬼』という単語を理解すると少しだけ目付きが悪い幼いながらも鋭い双眸を大きく丸めて驚いた。

パタパタ、と小さな蝙蝠に似た黒い羽根を忙しなく動かして宙に浮かんでいる。ふわふわ、と上下に揺れて安定していない。
リウは先程闇のなかで生まれたばかりの吸血鬼の女の子だ。

「…吸血鬼、って本当にいたのか。さっき、ジョンの血を吸ってたし」

混乱している様子だ。ぶつぶつと呟いている。

「りう、のーごはーん!」

ぐーっとお腹が鳴る。リウはとてもお腹が空いていた。
耳を伏せて低く唸り警戒しこちらを見ている茶色い生き物を見ると、にぃと笑い再び尻にかじりつこうと飛び掛かる。

「駄目だ!ジョンはお前のごはんじゃない。俺の相棒なんだ!」

少年に足を掴まれ食事を邪魔されるとリウはぷう、と白い頬を膨らませて不満そうな顔をした。

「りう、おなか、すーいーた、たの!」

赤い瞳がうるうると潤む。自分はお腹が空いたからご飯を食べようとしただけだ。怒鳴られて邪魔されて悲しくなった。自分の親指をしゃぶり、うーっと低く唸る。

「な、泣くなよ。分かった、俺の血を吸えばいい。だけど、指からな。尻は駄目だ。そして、死ぬほど吸うなよ」

「あい」

リウが涙目になると少年は慌てて幾つか条件を出す。腹が減ってお腹と背中がくっつきそうなので頷いて返事をする。差し出された指にかぷっと噛みつくとちゅーちゅーと血を吸う。
茶色い生き物の血は獣臭くてあまり美味しくなかったが、少年の血はほんのりミルクのような甘さがあり美味しい。

「…っ、くすぐったいな」

リウに指を吸われて口元を弛める。一瞬チク、と微かに痛んだがそれは直ぐに消えた。

ちゅーちゅー、ちゅーちゅー

美味しいごはんに、リウは白いふっくらとした頬をピンク色に初める。青白かった肌に張りと艶が宿り、つるつる、ぴかぴかになった。

吸血鬼には、人間のまだ汚れを知らない純粋な生き血が一番である。

ぷは、とリウは満足して少年の指から口を離した。

「りう、の、ままに、なってくれる?」

リウは少年のミルクの味の血が気に入った。
人間の子供は親からおっぱいを貰って成長する。
だから、リウはこの少年だけの血を飲んで大きくなりたいと思った。



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