腹ぺこちび吸血鬼ちゃんと子育て王子。

黒木蓮

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腹ぺこの迷子ちゃん 3

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「……俺が、お前の、ママ?」

俺は男で、まだ13才の未婚、母乳が出るような特殊体質でもない。これからたぶん、戦略結婚で敵国の姫とか俺の意思を無視した女と結婚させられる。
俺が吸血鬼の子持ちだと、言ったらきっと変態のところに嫁いでしまったとそいつは嘆き暮らすであろう。

かわいそうに。

ちょっと未来のかみさんを思ったらウルッと来てしまった。
でも、目の前のこいつも、ちびなのにこんな所って言っちゃあなんだけども、……ほら、ここ一応立派な城だし。
一人でいるってのは、かわいそうだ。

「お前、親は?」

「……いない、りう、ひとりなの、らの。どこに、いったら、わからないの、だお」

分かった。こいつは、意味もなく語尾に変な言葉をつけている。
ちょっとリウという名前の吸血鬼の事が分かると親近感がわいた。
生まれたばかりでどこにいけばいいのか、人生という道の迷子になっているらしい。
かわいそうだ。

「よし、俺が結婚するまでリウのママになってやる!それまで、お前は彼氏でも何でも作って立派になれ」

俺がママ、上等じゃないの。なってやるよ、世界一のママに。

やるならとことん。だけど、期限付き。俺が結婚するまでにはリウも大人になっているだろうし。吸血鬼は成長が早そうだから、意外と早くお役目御免になるかもだし。
俺は、吸血鬼とか狼男とかよく分からない。実際するとは思わなかったし後で調べてみよう。

くうーん、きゅんきゅん。

情けない犬の鼻声が聞こえる。俺の服の端を軽く噛んでジョンが引っ張っている。

ご主人様、お考え直しください。

そう円らな瞳で俺に訴えている。
どうやら、俺がリウのママになるのに反対らしい。

それに今まで聞いたことがないジョンの情けない声。いつもは犬ながらも凛々しくしゃん!としているが、今はリウに尻をかじられ怯えている。
どうやら、ジョンはリウを苦手らしい。
良いことだ。
父上が言っていた、人生一度は床に這いつくばり足の指を舐めるくらいの屈辱を味わえ、と。

「俺は、リクス、こいつはジョンだ。よろしくな、リウ」

「よろしく、なう!」

リウは嬉しそうに笑った。子供らしい純粋な笑顔だ。

子供は面白い考えを持つ。俺にママになれなんて。くす、と笑ってリウの頭を撫でた。


こうして俺、リクス様はジョンの反対の目差しを無視してリウのママになったのであった。






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