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☆1ポポ爺
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「……ポポ爺、もしや、あの伝説の爺やでは」
ベルンはポポ爺というふざけた名前を真顔で反芻すると口元を指先で撫でて考え込んだ。
『伝説の爺や』俺も聞いたことがある。
昔々、ピーマンとグリンピースが嫌いな王子様がいました。王様はピーマンとグリンピースが大好きで、自分が好きな食べ物を残す王子を理解できず叱っていました。親子の間にいつしか亀裂が走り城の中は殺伐とした空気が漂っていました。王妃に、本当に自分の子かと問い詰める始末。
その時、見かねたポポ爺は厨房にこう言いました。
トマトを料理に入れなさい、と。
その日。料理にトマトサラダが出ました。
皿に乗る赤く瑞瑞しいトマトを見て王様はぎゃーー!と悲鳴をあげました。
子供の頃嫌いでいつも残しているので、料理に出されなかったトマト。王様は45年ぶりにトマトを見て思い出しました。
『私にも嫌いな食べ物があったのだ』
と。王様は己の愚かさを恥じました。
そして、王様は王子にこう言いました。
『グリンピースとピーマンを食べるからトマトを食べてくれないか?』
王様と王子様は仲直りをして、城に平和が戻りましたとさ。めでたし、めでたし。
という、実に内容がない物語に登場するポポ爺。この物語のポポ爺が目の前に漂っているふわふわ野郎なのか。疑う要素もないので俺は素直に受け入れた。
「ポポ爺、知ってる?増血の指環がある場所」
「増血の指環はマタプ国の姫様に差し上げたはずだのう」
軽くノリで訊ねたら、面倒臭い答えが返ってきた。ここにはない。ショックを受ける。
「…っく、そお!」
俺は何故か物凄く悔しくてザッスの背中を八つ当たりで叩いた。さっきから無駄な時間を過ごしている。伝説の爺やの物語を回想するとか、すごく時間を無駄にしてしまった。
「なぜ、増血の指環を欲しがるのじゃ?」
ポポ爺は不思議そうに目を丸くしてふわふわと揺れながら俺に疑問を投げる。
「…この吸血鬼の子供に血を吸われてて貧血なんだよ」
俺は事情を説明した。ふむふむ、とポポ爺は頷きふわふわと飛んでいった。そして、一冊の本を差し出した。
『貧血が治るお料理の本☆レバーだけじゃない、安くて簡単おいしく貧血を治そう☆』
というタイトルの料理の本を俺の代わりにポポ爺から受け取るザッス。
「直ぐ道具に頼るのはよくないのう。このレシピを試してみなされ」
ベルンはポポ爺というふざけた名前を真顔で反芻すると口元を指先で撫でて考え込んだ。
『伝説の爺や』俺も聞いたことがある。
昔々、ピーマンとグリンピースが嫌いな王子様がいました。王様はピーマンとグリンピースが大好きで、自分が好きな食べ物を残す王子を理解できず叱っていました。親子の間にいつしか亀裂が走り城の中は殺伐とした空気が漂っていました。王妃に、本当に自分の子かと問い詰める始末。
その時、見かねたポポ爺は厨房にこう言いました。
トマトを料理に入れなさい、と。
その日。料理にトマトサラダが出ました。
皿に乗る赤く瑞瑞しいトマトを見て王様はぎゃーー!と悲鳴をあげました。
子供の頃嫌いでいつも残しているので、料理に出されなかったトマト。王様は45年ぶりにトマトを見て思い出しました。
『私にも嫌いな食べ物があったのだ』
と。王様は己の愚かさを恥じました。
そして、王様は王子にこう言いました。
『グリンピースとピーマンを食べるからトマトを食べてくれないか?』
王様と王子様は仲直りをして、城に平和が戻りましたとさ。めでたし、めでたし。
という、実に内容がない物語に登場するポポ爺。この物語のポポ爺が目の前に漂っているふわふわ野郎なのか。疑う要素もないので俺は素直に受け入れた。
「ポポ爺、知ってる?増血の指環がある場所」
「増血の指環はマタプ国の姫様に差し上げたはずだのう」
軽くノリで訊ねたら、面倒臭い答えが返ってきた。ここにはない。ショックを受ける。
「…っく、そお!」
俺は何故か物凄く悔しくてザッスの背中を八つ当たりで叩いた。さっきから無駄な時間を過ごしている。伝説の爺やの物語を回想するとか、すごく時間を無駄にしてしまった。
「なぜ、増血の指環を欲しがるのじゃ?」
ポポ爺は不思議そうに目を丸くしてふわふわと揺れながら俺に疑問を投げる。
「…この吸血鬼の子供に血を吸われてて貧血なんだよ」
俺は事情を説明した。ふむふむ、とポポ爺は頷きふわふわと飛んでいった。そして、一冊の本を差し出した。
『貧血が治るお料理の本☆レバーだけじゃない、安くて簡単おいしく貧血を治そう☆』
というタイトルの料理の本を俺の代わりにポポ爺から受け取るザッス。
「直ぐ道具に頼るのはよくないのう。このレシピを試してみなされ」
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