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第一章
1 蝕むからだ
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(キスされて、濡らしちゃってるなんて、気持ち悪い。最低)
洗面所の鏡に近所のコンビニで買った化粧品、付け睫、赤いリップクリームで粗末にあつらえている何処にでもいる今時の女の子が映っている。セミロングの茶髪が自分の安っぽさを強調していた。
自分に侮蔑の白い視線を向ける。
千紗は付き合いはじめて3ヶ月になる彼氏がいる。デートの帰りに車の中でキスを迫られた。恋人同士だから拒む理由も見つからなくてキスを受け入れた。
告白されて嬉しかった。初めての恋人。
手を繋いで、ソフトクリームを食べて、何気ない会話をして、ドキドキしていた。
熱い唇が重なり、舌を差し入れられ体が熱く高ぶる。甘く痺れ膣の内部が喜びに濡れた。太股をもじもじさせて、スカートの中に手を入れて欲しい、と淫らなおねだりをしたくなった。
そんな淫らなもう一人の自分がいることに驚いた。愛撫を求め発情する雌の存在に気が付いて、心が裏腹に冷たくなっていく。使い捨てのホッカイロのように熱が徐々に失って固くなる。
今もねっとりとした舌が口腔を執拗に舐めているような感触が残っている。指を入れて自慰したい欲求に駆られる。
何度もうがいをして歯を磨く。飴を1つ手に取る。暑さで少し溶けて包み紙にくっついていた。歯磨きうがいでは抹消力が足りない気がして千紗は口直しにはっかの飴を口の中にコロリ、と入れた。昔から慣れ親しんでいるすーとする清涼感とほんのりとした甘さが香りと共に広がる。
はっかの飴を舐めると何故か懐かしい。先程までの男の欲望を感じ取り喜んでいた女が無垢な少女へと浄化されるような錯覚を覚えて少しだけ気持ちが落ち着いた。
シャワーだけ浴びた身体は冷たい。タオルで水滴を拭うと下着だけ身に付けた裸に近い状態でベットに横たわる。
酷く疲れを感じて目を閉ざした。ベットに身が沈んで自分の体温が布団に浸透すると他者との混じりけのない自分の温もりに包まれて安心する。
スマートホンがLINEを受信する。枕元に置いているから、少し手を伸ばせば取れる距離であるがその僅かな動作も今は面倒臭く感じる。部屋の壁に掛けられた時計に視線を向けた。
今、現在の時刻は0時45分。
緊急事態で直ぐに連絡を取りたいなら電話を寄越すであろう、と考える。
ノリだけでテンポ良く会話する心の明るさは今、千紗に残されていない。
(……寝てたってことにしよう。既読スルーじゃないし、いいよね)
心の中で同意を求めて、いいよいいよおっけーと適当に明るく軽い声が聞こえてはあ、とため息を吐いた。
いつから自分はこんなに薄っぺらい人間になってしまったのだろう。千紗は胸の中の重りがまたずしり、と重くなったように感じて顔をしかめた。
洗面所の鏡に近所のコンビニで買った化粧品、付け睫、赤いリップクリームで粗末にあつらえている何処にでもいる今時の女の子が映っている。セミロングの茶髪が自分の安っぽさを強調していた。
自分に侮蔑の白い視線を向ける。
千紗は付き合いはじめて3ヶ月になる彼氏がいる。デートの帰りに車の中でキスを迫られた。恋人同士だから拒む理由も見つからなくてキスを受け入れた。
告白されて嬉しかった。初めての恋人。
手を繋いで、ソフトクリームを食べて、何気ない会話をして、ドキドキしていた。
熱い唇が重なり、舌を差し入れられ体が熱く高ぶる。甘く痺れ膣の内部が喜びに濡れた。太股をもじもじさせて、スカートの中に手を入れて欲しい、と淫らなおねだりをしたくなった。
そんな淫らなもう一人の自分がいることに驚いた。愛撫を求め発情する雌の存在に気が付いて、心が裏腹に冷たくなっていく。使い捨てのホッカイロのように熱が徐々に失って固くなる。
今もねっとりとした舌が口腔を執拗に舐めているような感触が残っている。指を入れて自慰したい欲求に駆られる。
何度もうがいをして歯を磨く。飴を1つ手に取る。暑さで少し溶けて包み紙にくっついていた。歯磨きうがいでは抹消力が足りない気がして千紗は口直しにはっかの飴を口の中にコロリ、と入れた。昔から慣れ親しんでいるすーとする清涼感とほんのりとした甘さが香りと共に広がる。
はっかの飴を舐めると何故か懐かしい。先程までの男の欲望を感じ取り喜んでいた女が無垢な少女へと浄化されるような錯覚を覚えて少しだけ気持ちが落ち着いた。
シャワーだけ浴びた身体は冷たい。タオルで水滴を拭うと下着だけ身に付けた裸に近い状態でベットに横たわる。
酷く疲れを感じて目を閉ざした。ベットに身が沈んで自分の体温が布団に浸透すると他者との混じりけのない自分の温もりに包まれて安心する。
スマートホンがLINEを受信する。枕元に置いているから、少し手を伸ばせば取れる距離であるがその僅かな動作も今は面倒臭く感じる。部屋の壁に掛けられた時計に視線を向けた。
今、現在の時刻は0時45分。
緊急事態で直ぐに連絡を取りたいなら電話を寄越すであろう、と考える。
ノリだけでテンポ良く会話する心の明るさは今、千紗に残されていない。
(……寝てたってことにしよう。既読スルーじゃないし、いいよね)
心の中で同意を求めて、いいよいいよおっけーと適当に明るく軽い声が聞こえてはあ、とため息を吐いた。
いつから自分はこんなに薄っぺらい人間になってしまったのだろう。千紗は胸の中の重りがまたずしり、と重くなったように感じて顔をしかめた。
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