18 / 81
第18話 体育の授業
しおりを挟む
初めての女の子の日から1週間。
すっかり体調も良くなり、リアは元気に体育の授業に参加していた。
体育は男女別に行われ、体育館と運動場を交互に使用することになっていた。
そして今日は女子が運動場の日だった。
「皆さん。今日は剣の使い方を学びます。」
女生徒たちがざわめいた。
”女の子なのに?”
先生がパンパンと手をたたいた。
「ここにいる皆さんは、ほとんどの方が剣を手に取ったことがないと思います。しかし、これから護衛の騎士に守ってもらったり、騎士を雇ったりする機会があるでしょう。そこで、一度、剣を触っておく体験をしていただきたいのです。」
みんな神妙な表情で先生の話を聞いている。
不安そうな子もいた。
「もちろん、本物の剣ではありません。木刀ですし、先も丸くなっています。」
みんな、一様に安堵の声をあげた。
「では、今からペアを組んで練習を始めます。いつも同じペアなので、今日は趣向を変えてみましょうか。女子1番と24番、2番と23番という風にしましょう。」
女子1番のリアは普段、女子2番のスージー・ウーベルと組んでいた。
スージーははっきりした性格だが、意地悪ではないし、運動神経も良くペアの相手としては相性が良かった。
いつもと一緒でいいのになあ。
24番って、誰だっけ?
リアは自分の相手を探した。
「よろしく。24番、イーリス・ワッツです。」
リアの前に現れたのは、学年、いや全学年の女子で一番身長の高いイーリスだった。
さらさらの金髪を高い位置に結わえ、スラっとした長身に切れ長の青い目を持つ彼女は、一見するとどこぞの王子様のようだった。
入学式から少し身長は伸びたとはいえ146cmのリアに対し、イーリスはおそらく180cm半ばくらいはあるだろう。
無言で見下ろすイーリス。
周辺の生徒もチラチラとこちらを見ている。
”すごい身長差ね。”
”振り下ろした剣の位置が合わなそうじゃない?”
”どう見ても騎士と護衛対象よね”
そんな声が聞こえた。
そういえば、イーリスの家は騎士を多く輩出する家系で、お兄さんたちも騎士になってるって聞いたことがある。
「イーリスの家は騎士が多いって聞いたけど、イーリスも剣を扱ったりするの?」
「ああ、兄たちに交じって遊んでいたからね。私も将来、女性騎士を目指しているんだ。」
今まで、イーリスと直接口をきいたことは無かったが、話し方も男性っぽい。
話し方もお兄さんたちの影響かしら?
そう思いつつ、リアはイーリスの返事にわくわくした表情になった。
「うち、すっごい田舎だったから領地の子供達とよくチャンバラごっこをしてたの。指導してくれる元騎士の人もいて。思いっきりやってもいい?」
「そうなのか?意外だな。もちろん全力でかかって来てくれていい。」
イーリスは、誰が相手でも手加減するつもりだったが、少しは楽しめるのかもしれないと、リアに笑いかけた。
剣の持ち方に始まり、素振りや剣の合わせ方を一通り教わった後、ペアと実践形式で打ちあうことになった。
「まずはお手本となるペアに見本を見せてもらいましょう。リア・アーロンとイーリス・ワッツ。」
先生の言葉に生徒がざわついた。
”イーリスはともかく、リア?”
二人は向かい合って礼をし、木剣を構えた。
「はじめ!」
先生の号令と共に二人は動いた。
リアは身長的にイーリスを上から狙うことは不可能だ。
田舎で教わったとおり、相手の腰のあたりから下を横からねらった。
もちろんイーリスは、それに合わせて剣を打ち返してくるが、こんな小さな相手と戦ったことがないのだろう。やりにくそうに剣を交えている。
予想外に白熱した試合となり、女生徒たちはかたずを飲んで試合を見守った。
しばらく剣の打ち合いが続いたが、慣れないサイズの対戦相手にイーリスがバランスをくずした隙に、リアが上から剣を振りかざす。
イーリスはとっさに本気になり、下から渾身の力で剣を打ち返してしまった。
すっかり体調も良くなり、リアは元気に体育の授業に参加していた。
体育は男女別に行われ、体育館と運動場を交互に使用することになっていた。
そして今日は女子が運動場の日だった。
「皆さん。今日は剣の使い方を学びます。」
女生徒たちがざわめいた。
”女の子なのに?”
先生がパンパンと手をたたいた。
「ここにいる皆さんは、ほとんどの方が剣を手に取ったことがないと思います。しかし、これから護衛の騎士に守ってもらったり、騎士を雇ったりする機会があるでしょう。そこで、一度、剣を触っておく体験をしていただきたいのです。」
みんな神妙な表情で先生の話を聞いている。
不安そうな子もいた。
「もちろん、本物の剣ではありません。木刀ですし、先も丸くなっています。」
みんな、一様に安堵の声をあげた。
「では、今からペアを組んで練習を始めます。いつも同じペアなので、今日は趣向を変えてみましょうか。女子1番と24番、2番と23番という風にしましょう。」
女子1番のリアは普段、女子2番のスージー・ウーベルと組んでいた。
スージーははっきりした性格だが、意地悪ではないし、運動神経も良くペアの相手としては相性が良かった。
いつもと一緒でいいのになあ。
24番って、誰だっけ?
リアは自分の相手を探した。
「よろしく。24番、イーリス・ワッツです。」
リアの前に現れたのは、学年、いや全学年の女子で一番身長の高いイーリスだった。
さらさらの金髪を高い位置に結わえ、スラっとした長身に切れ長の青い目を持つ彼女は、一見するとどこぞの王子様のようだった。
入学式から少し身長は伸びたとはいえ146cmのリアに対し、イーリスはおそらく180cm半ばくらいはあるだろう。
無言で見下ろすイーリス。
周辺の生徒もチラチラとこちらを見ている。
”すごい身長差ね。”
”振り下ろした剣の位置が合わなそうじゃない?”
”どう見ても騎士と護衛対象よね”
そんな声が聞こえた。
そういえば、イーリスの家は騎士を多く輩出する家系で、お兄さんたちも騎士になってるって聞いたことがある。
「イーリスの家は騎士が多いって聞いたけど、イーリスも剣を扱ったりするの?」
「ああ、兄たちに交じって遊んでいたからね。私も将来、女性騎士を目指しているんだ。」
今まで、イーリスと直接口をきいたことは無かったが、話し方も男性っぽい。
話し方もお兄さんたちの影響かしら?
そう思いつつ、リアはイーリスの返事にわくわくした表情になった。
「うち、すっごい田舎だったから領地の子供達とよくチャンバラごっこをしてたの。指導してくれる元騎士の人もいて。思いっきりやってもいい?」
「そうなのか?意外だな。もちろん全力でかかって来てくれていい。」
イーリスは、誰が相手でも手加減するつもりだったが、少しは楽しめるのかもしれないと、リアに笑いかけた。
剣の持ち方に始まり、素振りや剣の合わせ方を一通り教わった後、ペアと実践形式で打ちあうことになった。
「まずはお手本となるペアに見本を見せてもらいましょう。リア・アーロンとイーリス・ワッツ。」
先生の言葉に生徒がざわついた。
”イーリスはともかく、リア?”
二人は向かい合って礼をし、木剣を構えた。
「はじめ!」
先生の号令と共に二人は動いた。
リアは身長的にイーリスを上から狙うことは不可能だ。
田舎で教わったとおり、相手の腰のあたりから下を横からねらった。
もちろんイーリスは、それに合わせて剣を打ち返してくるが、こんな小さな相手と戦ったことがないのだろう。やりにくそうに剣を交えている。
予想外に白熱した試合となり、女生徒たちはかたずを飲んで試合を見守った。
しばらく剣の打ち合いが続いたが、慣れないサイズの対戦相手にイーリスがバランスをくずした隙に、リアが上から剣を振りかざす。
イーリスはとっさに本気になり、下から渾身の力で剣を打ち返してしまった。
1
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
ベルガー子爵領結婚騒動記
文月黒
恋愛
その日、王都より遠く離れたベルガー子爵領は、俄かに浮き足立っていた。
何せ、ついに領民一同が待ち望んでいたベルガー子爵の結婚相手がやって来るのだ。
ちょっとだけ(当領比)特殊な領地の強面領主に嫁いで来たのは、王都の男爵家の末娘・マリア。
だが、花嫁は領主であるベルンハルトの顔を見るなり泣き出してしまった。
最悪な顔合わせをしてしまったベルンハルトとマリア。
慌てるベルンハルトの腹心の部下ヴォルフとマリアの侍女ローザ。
果たしてベルガー子爵領で彼らは幸せを掴めるのか。
ハピエン確定のサクッと読めるギャグ寄り恋愛ものです。
【完結】身代わり皇妃は処刑を逃れたい
マロン株式
恋愛
「おまえは前提条件が悪すぎる。皇妃になる前に、離縁してくれ。」
新婚初夜に皇太子に告げられた言葉。
1度目の人生で聖女を害した罪により皇妃となった妹が処刑された。
2度目の人生は妹の代わりに私が皇妃候補として王宮へ行く事になった。
そんな中での離縁の申し出に喜ぶテリアだったがー…
別サイトにて、コミックアラカルト漫画原作大賞最終候補28作品ノミネート
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
【本編完結】召喚? 誘拐の間違いでは?
篠月珪霞
恋愛
「…え」
まず聞こえたのは、成功だー!!といういくつもの歓声。それ以降は幾人もの声が混じりあい、何を言っているのか分からなかった。
私、白井瑠璃は、いつものように、出勤するために自宅のドアを開けただけだった。
いつものように、起床し、準備して、仕事が終われば帰宅し、そうした普通の、変わりない毎日を過ごすはずだった。
過去形になったこの日を、きっと忘れることはない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる