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日向の夢2 旅人
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ふたりがしばらく森の中を歩いていくと、中年の男性が切り株に腰かけて頬杖をついていた。
肩に荷物を背負い、旅人といった雰囲気だ。
「おじさん、どうしたの?」
ジョシュが駆け寄って問いかける。男性は顔を上げてふたりを見た。
どこかで会ったような気がする。既視感を感じて、日向は首をかしげた。
「ちょっと荷物が重くて休んでいたんだ」
言われてみると、脇に薪が置いてある。
「手伝おうか? どこに行くの?」
ジョシュがすぐに言ったが、旅人はジョシュを見て微笑んだ。
腰かけた旅人の視線と、同じくらいの視線になるジョシュが、薪の束は持てないだろう。
「ありがとうなあ、坊や。大丈夫だよ」
「あ、僕がお手伝いしますよ」
日向は慌てて声をかける。自分にも少し重そうだが、ジョシュでは引きずってしまう。
旅人は日向にも微笑んだ。
「ありがとう、坊や。じゃあ、鞄の方を持ってくれるかな?」
「はい!」
旅人が背負っていた方の鞄を日向が背負い、薪は男性が背負うことになった。
鞄も重かったが、背負う形になっている方がまだ楽だ。
「ぼくは?」
「じゃあこれを」
何か手伝いたがっているジョシュに、日向は自分が肩からかけていた鞄を渡した。
夢の中なので何が入っているかわからないが、さほど重さもないし、財布やハンカチなど日常的なものだろう。
自分のものとふたつ鞄を抱えたジョシュは満足そうだ。
嬉しそうに自分に手を差し出すので、日向はその手を握る。
先ほどジョシュがした質問を、日向が問い直した。
「どちらに行かれるんですか?」
「川向こうの森の中の家だよ。そこまで遠くない」
「おじさんはどこから帰ってきたの?」
「どこだったかなあ……、ずっと、遠いところだよ」
「いいところ?」
「いいところではなかったね。家の方がずっといい」
「じゃあ、帰ってこられてよかったね!」
「そうだなあ」
思い出そうと遠い目をしている彼に、この人も夢を見ているのだろうかと日向は思った。
はっきり思い出せないのはそのせいだろうか。
少し登ったり降りたりと汗をかきつつ川にたどり着いたのは、一時間くらい経ったあとだっただろうか。
「あー、橋はないんですね」
思ったよりも早く流れている川に不安を覚えつつ、日向は聞いた。
川の中にはところどころに石があって、それを渡っていくようだ。濡れているので少し、滑らないか心配だった。
「大丈夫だよ、ぼくが先に行ってあげる」
身軽に最初の石に飛び乗ったジョシュが手を差し出した。
「大丈夫、滑ったら後ろは私が支えるよ」
旅人が日向の背負った荷物を掴んで後ろに立った。
まだ少し躊躇うけれど、子供のジョシュを待たせるわけにはいかない。
日向は差し出された手を握る。
「大丈夫だよ、歌おうか」
日向を安心させるためか、ジョシュは鼻歌を歌い出した。聞き覚えがある。
向こう岸にジョシュが飛び移ったタイミングで思い出した。アーニーズでかかっていた歌だ。
その瞬間、日向は足を滑らせた。
「あ、危ない」
前に倒れ込み、ジョシュの腕の中に飛び込む形になってしまった。自分より小さい彼を押しつぶしてはいけない。慌ててバランスを取り戻そうとした日向の背中を、旅人が捕まえる。
「はい、お疲れ様」
日向を岸に押しやると、旅人も岸に上がった。
「あ、日向……」
顔が触れそうに近くに、日向を押しつけられたジョシュが、頬を赤くしている。子供だと思っていた彼が照れたような仕草をするので、日向もドキリとしてしまった。
肩に荷物を背負い、旅人といった雰囲気だ。
「おじさん、どうしたの?」
ジョシュが駆け寄って問いかける。男性は顔を上げてふたりを見た。
どこかで会ったような気がする。既視感を感じて、日向は首をかしげた。
「ちょっと荷物が重くて休んでいたんだ」
言われてみると、脇に薪が置いてある。
「手伝おうか? どこに行くの?」
ジョシュがすぐに言ったが、旅人はジョシュを見て微笑んだ。
腰かけた旅人の視線と、同じくらいの視線になるジョシュが、薪の束は持てないだろう。
「ありがとうなあ、坊や。大丈夫だよ」
「あ、僕がお手伝いしますよ」
日向は慌てて声をかける。自分にも少し重そうだが、ジョシュでは引きずってしまう。
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「ありがとう、坊や。じゃあ、鞄の方を持ってくれるかな?」
「はい!」
旅人が背負っていた方の鞄を日向が背負い、薪は男性が背負うことになった。
鞄も重かったが、背負う形になっている方がまだ楽だ。
「ぼくは?」
「じゃあこれを」
何か手伝いたがっているジョシュに、日向は自分が肩からかけていた鞄を渡した。
夢の中なので何が入っているかわからないが、さほど重さもないし、財布やハンカチなど日常的なものだろう。
自分のものとふたつ鞄を抱えたジョシュは満足そうだ。
嬉しそうに自分に手を差し出すので、日向はその手を握る。
先ほどジョシュがした質問を、日向が問い直した。
「どちらに行かれるんですか?」
「川向こうの森の中の家だよ。そこまで遠くない」
「おじさんはどこから帰ってきたの?」
「どこだったかなあ……、ずっと、遠いところだよ」
「いいところ?」
「いいところではなかったね。家の方がずっといい」
「じゃあ、帰ってこられてよかったね!」
「そうだなあ」
思い出そうと遠い目をしている彼に、この人も夢を見ているのだろうかと日向は思った。
はっきり思い出せないのはそのせいだろうか。
少し登ったり降りたりと汗をかきつつ川にたどり着いたのは、一時間くらい経ったあとだっただろうか。
「あー、橋はないんですね」
思ったよりも早く流れている川に不安を覚えつつ、日向は聞いた。
川の中にはところどころに石があって、それを渡っていくようだ。濡れているので少し、滑らないか心配だった。
「大丈夫だよ、ぼくが先に行ってあげる」
身軽に最初の石に飛び乗ったジョシュが手を差し出した。
「大丈夫、滑ったら後ろは私が支えるよ」
旅人が日向の背負った荷物を掴んで後ろに立った。
まだ少し躊躇うけれど、子供のジョシュを待たせるわけにはいかない。
日向は差し出された手を握る。
「大丈夫だよ、歌おうか」
日向を安心させるためか、ジョシュは鼻歌を歌い出した。聞き覚えがある。
向こう岸にジョシュが飛び移ったタイミングで思い出した。アーニーズでかかっていた歌だ。
その瞬間、日向は足を滑らせた。
「あ、危ない」
前に倒れ込み、ジョシュの腕の中に飛び込む形になってしまった。自分より小さい彼を押しつぶしてはいけない。慌ててバランスを取り戻そうとした日向の背中を、旅人が捕まえる。
「はい、お疲れ様」
日向を岸に押しやると、旅人も岸に上がった。
「あ、日向……」
顔が触れそうに近くに、日向を押しつけられたジョシュが、頬を赤くしている。子供だと思っていた彼が照れたような仕草をするので、日向もドキリとしてしまった。
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