サンダルで駆け抜ける異世界ライフ

medaka

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Season 2

第十一話:乾物の魔法と、マタタビ茶

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雑貨屋クロノスの朝、木製の看板が朝陽に輝く。開業から数週間、店は冒険者や住民で賑わい、エリクサメイトや乾燥海藻が棚を彩る。アリスはカウンターで頭を抱えていた。
「考えてみれば…。ポータルがいつでも好きな時に開くわけじゃない…。
また室町時代に行ける保証はないから、安定した商品の仕入れは難しい。」

彼女は棚の奥を見やった。青白磁の茶碗、鮮やかな布地、金細工の刀は、一点物のアーティファクトとして非売品に。木製の台座に飾られ、魔法のランタンに照らされ、店の神秘性を高めていた。「これらはクロノスの宝。売るより、物語を語るために。」

アリスはジョギングに出た。公園の小道を走り、魔法の花の香りに癒される。エリクサンダルのリズムが心を軽くする。
走りながら、彼女は実家の近くにあった親戚の乾物屋を思い出した。幼い頃、昆布や干し椎茸の香りが漂う店で、叔父が笑顔で語った。「乾物は魔法だ。長く保存でき、栄養たっぷり。出汁を取れば、料理が生きる。」
アリスは袋詰めの昆布を手に、目を輝かせた。「エリクサでも、この魔法を広めたい…」と決意し、店に戻った。  

雑貨屋クロノスで、アリスは乾燥海藻を手に顧客に語った。「乾物は古代から続く知恵。海藻はミネラル豊富で、出汁にすればスープが別次元。冒険やランニングに軽量で最適。」
彼女の熱弁に、料理人が「試したい」と頷き、冒険者が「遠征に持っていく」と興味を示す。乾燥海藻は開業以来の人気商品だった。

アリスは乾物屋の教えを深く思い出した。昆布は栄養の宝庫、干し椎茸は風味の鍵、干物は旅の携行食。古代エジプトの乾燥魚から日本の昆布まで、乾物は文化を繋ぐ。
「エリクサでもっと乾物を!」と、彼女は新商品を開発。エネルギー・フルーツを乾燥させた干し果物は、甘酸っぱいスナックに。地元のハーブを干した干しハーブは、スープや煮物に香りを添える。

英雄の食卓でアルフレッドに相談。「干し果物とハーブを試作したい。味と栄養をどう引き出す?」
アルフレッドは笑い、「甘さ控えめの干し果物、香り高いハーブだ。エリクサメイトの乾燥法でいこう。」二人は試作を重ね、干し果物は子供に喜ばれる味に、干しハーブは料理人の創作を刺激する香りに。ルミエール商会のマカロンが加わり、「試食会で売り出そう。冒険者に『携行食』、料理人に『風味の革新』を」と提案。  


ある日、冒険者のガルドが店を訪れ、困った顔で言った。「アリス、昨日マラソンの練習で走りすぎた。今日は筋肉痛で動けないよ。」
アリスは心配し、店の奥のクロノスの祭壇へ。木製の台に鍵を模した彫刻があり、彼女は小さな盃にエール醸造所の酒を供えた。

「クロノスよ、彼の回復を…」と願う。
ガルドの言葉にひらめき、アリスは呟いた。「お客さんの悩みを解決する商品を置きたい。」
その瞬間、クロノスの鍵が金色に光り、壁にポータルが現れた。彼女はバッグを手に、躊躇なく飛び込んだ。  

目を開けると、そこは地球の自然豊かな山間部だった。緑の木々がそよぐ中、棚田のような畑でマタタビが栽培されていた。清流のせせらぎと鳥の声が響く。アリスは生産者に声をかけた。「こんにちは、私はアリス。あなたが栽培しているのは?」
生産者が笑顔で答えた。「マタタビだ。茶にすると筋肉の回復やリラクゼーションに効く。特に猫や人間がリラックスする。疲労回復にも最適だ。」

アリスは目を輝かせ、「疲労回復!冒険者の筋肉痛に良さそう。私の店でマタタビ茶を売りたい! 苗と茶葉をいくらで譲ってもらえますか?」
生産者は考え、「品質を保つには手間がかかる。茶葉20袋と、栽培法と苗10束で、この値段で。それと何か面白い品を。」

生産者が提示した金額はエテルニアの通貨でおよそ600ルミネだった。
アリスはバッグからエリクサンダルを差し出した。「エテルニアの特別なサンダルです。不足分をこれで。」

生産者はサンダルを手に、「これは珍しい履物だ。見た目より軽く、なにか特別な力を感じる。 いい取引だ。」と頷き、栽培法を説明。
日当たりと水やり、収穫のタイミングをメモしたアリスは、苗と茶葉を受け取り、エリクサへ戻った。


「よし。これなら、うまく増やせば何度でも収穫できる。枯らさないようにしないと⋯」

雑貨屋クロノスにマタタビ茶を並べ、アリスは店の前にポットを置いた。試飲用の茶を準備し、独特のリズムで呼びかけた。
「おいらん、こちら、こちら! マタタビ茶、マタタビ茶! 疲労回復に効果があるよ! 筋肉痛に効く、筋肉痛に効く! マタタビって、また旅ができるって意味! 冒険者にぴったりだよ!」

彼女の声が通りに響き、冒険者や住民が足を止めた。「これで走りすぎの疲れも吹っ飛ぶ! 猫族もリラックス、冒険後の休息に!」茶の香りが漂い、通りが活気づく。
猫の獣人冒険者、ミャウが興味を示した。
マタタビの香りに尾が揺れ、「これ、猫族に良さそうね。」
アリスが試飲を勧めると、ミャウは一口飲んで瞳を輝かせた。
「何この心地よさ! 疲れが消えるみたい。猫族には魔法よ!」
尻尾がゆっくり動き、彼女は5袋購入。「毎日飲みたい!」



それ以来、ミャウは雑貨屋クロノスに入り浸るようになった。店に顔を出すたび、アリスと冒険談を交わし、冗談で笑い合う。
「アリス、この茶葉、猫族の秘宝だよ!」とミャウが言うと、アリスは「じゃあ、秘宝の番人になって!」と返す。
ミャウは棚の整理や試飲の準備を手伝い、店の賑わいを支えた。アリスは彼女の猫のような鋭い視点と明るさに信頼を寄せ、親友のような絆を築いた。
「ミャウがいてくれると、店がもっと楽しくなるよ」と笑うと、ミャウは尾を振って「当然!」と応えた。

ガルドが再訪し、茶を飲んで笑った。
「筋肉痛が楽になった! マラソンもこれでいけるぜ。」彼はエリクサメイトと干し果物も購入。
料理人のマルタはハーブと海藻を手に、「マタタビ茶、スープに合うかも!」と創作意欲を刺激された。
子供のリナは干し果物を頬張り、「甘い! マタタビ茶も飲みたい!」と笑う。
高齢者のエダは海藻とハーブを手に、「スープに栄養たっぷりね。茶も試してみるよ。」

アリスは一休の知恵を思い出した。「人を知り、商品を知り、自分を知る。」
ガルドの筋肉痛、ミャウのリラックス、料理人の創作、子供の楽しさ、高齢者の健康。彼女は顧客の心に寄り添い、マタタビ茶と乾物で価値を届けた。「屏風びょうぶの虎」のように、真のニーズを見抜く商売を実感した。  

夜、店を閉め、アリスは棚を整理した。非売品の茶碗、布地、刀がランタンに輝き、クロノスの物語を語る。乾燥海藻、干し果物、干しハーブ、マタタビ茶が棚を賑わせ、エリクサメイトとエリクサンダルが定番に。

ミャウが残した試飲用の茶の香りが漂う。アリスはクロノスの鍵を手に呟いた。
「私がこの世界でできること…顧客の悩みを解決し、仲間と絆を紡ぐこと。」
鍵が金色に光り、次の冒険を予感させた。雑貨屋クロノスは、冒険者たちの健康と夢を支え、ミャウのような友と輝く場へと進化していた。アリスは新たな商品と笑顔を思い、胸を膨らませて眠りについた。  


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