悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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第四章 悪役令嬢は王女と共に戦場を駆ける

308.悪役令嬢達のそれぞれの戦い その1

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「アリエル殿下、流石に問題だと思いますよ?」

 と、リンリィに苦笑される。まぁ、私も思わず苦笑してしまうのは致し方ないところだろう。

「うーん、まさかあそこまで脆い砦だとは思ってなかった――と、いうのもあるが、あの武器はちと魔力と術式の調整が難しいのも問題だと思う」
「それはアリエル殿下がちゃんと練習しないからじゃないでしょうか――エステリア様がいたらにこやかに怒られますよ」

 リンリィにそう言われて即座にアイツの強張った微笑が脳裏に浮かぶ。うん、なかなかの破壊力だ。

「うーん、一度ならず二度も砦を粉砕してしまう事になるとは思っておらんかった」

 ちょっと相手をビビらせるつもりで一見強固そうな砦に向けてかなり抑えて魔法弾を放ったわけだが、思っても見ないほどに砦が崩壊してしまったのだ。正直言って私が悪い――とも言えない気もしなく無い。けれども、やってしまったのは私が少しばかり調子に乗った所為でもある。

「相手方も我々が送ったメッセージを無視したわけですから、致し方ないという判断も出来るので気にしない方向でいいとは思いますが、再利用出来ないレベルで倒壊というのは問題が無いか? と、問われれば、大問題ではあると思います」
「うむ。ますますここより更に向こう側の国境線まで踏み込んだ方がよさそうだな」

 私の言葉にリンリィは地図を眺めながら、小さく息を吐いた。スーリアルの東側の隣国トライヘンドの国境付近にある大ヘンド城塞を押さえてから北上する。隣国のトライヘンドが攻めてこないようにする手立てが必要になるのが問題ではある。

「事前情報ではトライヘンド付近まで我々が侵攻しても、どうしようもない――とは聞いていますが、不安ではありますよね」
「ああ、そこまでいければ隊を一時的に分けて防衛部隊として残すしかあるまい」
「そうなると、第三隊か第四隊に大ヘンド城塞に残す感じになりますね」
「ま、とりあえず現状把握が先だな……」

 そう言って、私は大きく溜息を吐きつつ席を立って大きく伸びをする。そして、指揮車である馬車を出て忙しく働く皆を見ながら、さらに歩いてキルリス砦だったモノを見つつ小さく溜息を吐いた。

「まさかの張りぼて砦とはな。普通に驚きを隠せない」

 と、思わず呟いてしまう。キルリス砦は山の渓谷に建てられた巨大な砦っぽいモノだったのだが、見た目は石壁と金属で覆われた不気味な壁のような感じであったけれど、吹き飛ばしたことで分かったのが見た目だけで、壁の作りは現代で言うサイディングみたいに表面だけ薄く切った石の板と金属の板が張り付いていて、その裏は木造の建築で、魔法の衝撃を緩和するような魔法的処置もされておらず、ミストリアで知っている砦とは全くもって違う。

 ミストリアにおける防御用の城や街、砦などは基本的に戦術級の大魔法に対しての防御を考えた魔法防壁を使用しており、多少なりとは魔法防御力でダメージを減らす効果が認められている。まぁ、大抵は騎士達が魔法で防ぐのがメインではある。そして、巨大な城や古い砦などには希少な防御用の魔道具なんかもある。

 因みに防御用の魔道具で昔から使われているのが魔白銀ミスリル製の壁のような魔道具で魔法による衝撃や魔力攻撃を防ぐようのモノで特に魔法攻撃を受けやすい見張り台に設置されることが多い。そういうモノもあると思っていたのだが――まさか、その手のモノも無いとは誰も思わないじゃない?

 とりあえず、これからの事を考えれば人員が確実に足りないわ。ん~、流石にこれ以上を母上に頼むのも気が引けるところではある。状況が状況だから、人員を出してはくれるだろうけど、他国の国境を警備出来るほどの軍団を割くというのはなかなか難しい可能性が高い。

 ん~、エステリアみたいに冒険者を利用するのも手ではあるけど、やはり騎士を派遣して貰う方向で話をまとめた方がよさそうだな。新型の馬車で動かせるのは後5台から10台は用意してあるって言っていたハズだ――が、アレは色々と機密情報満載だからな、連れてこれる人間にも限界がある。かといって、ハーブスト公爵家もこれ以上は負担が大きいしな。何か良い手があればいいのだが……うん、ここは後でエステリアにも要相談だな。

 そんな事を考えながら、私は再び大きな溜息を吐くのであった。
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