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第一章 悪役令嬢は動き出す
16.悪役令嬢は手紙を貰う
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はい、私エステリア・ハーブスト7歳です。先日のお茶会は良い雰囲気? で、終えれたと思う。いや、思いたい……アンネマリー嬢の視線が気になって仕方なかったわけだけど、大成功だったハズよ。
お母様にも褒められたし!
そして、ここ数日はあの時のお茶会に参加したご令嬢からお手紙が届いていたので返事をしたり、今後の打合せをしたりしているのだ。
ミーリア嬢からの手紙は2通あって、片方はハフルスト伯爵本人からの手紙だった。詳しい話を聞きたいという旨の内容だったので後日、直接交渉の場を持つ方向で話をしましょう。と、いう内容の返事を返した。
因みにお父様も参加予定で場所は王都内にある有名なレストランで行う流れらしい。らしい、というのは場のセッティングなどはお父様が主となって行う事が決まっているからだ。
ミーリア嬢本人からの手紙には文学的な表現で書かれた字がミッチリと書かれた手紙だった。
古典からの引用が多く、読み解くのに結構な時間が掛かってしまった。けれど、内容を要約すると私への崇拝だった。うん、崇拝される覚えはないけど!
因みにジェニー嬢からも、私を讃える手紙が来ていた。うーん、このふたりは色んな意味で危険かもしれない……上手く手綱を握れればいいのだけど。
そして、妙な視線を送りまくっていたアンネマリー嬢からの手紙には個人的に――『二人きり』で話が出来ないかという内容だったのだけど、私のファーストインプレッションは『私に比べて、とても字が綺麗』だった。
にしても、もう一人の悪役令嬢かぁ。『とにキラ』の攻略キャラ、ファルリオルートの悪役令嬢なんだけど……派閥の関係性で中途半端なポジションにファルリオがフラフラする理由のひとつがアンネマリー嬢でとあるタイミングでレシアス侯爵が派閥替えをすることでファルリオが振り回され始めるんだよね。
ちなみにゲームで登場するアンネマリー嬢は悪役令嬢の中では最も大人しいタイプの悪役になる。ファルリオルートのトゥルーではアンネマリー嬢はヒロインとお友達になって、婚約解消を円満に行って大団円する。
なぜか、私は断罪されて修道院送りにされる――ゲームプレイ時はざまぁ、と思っていたけど。よくよく考えると『なんでやねん!!!』と、ツッコミを入れたくなるな。
しかも、このルートでは私、大して何もしてないんだけど?
もしかして、アンネマリー嬢に嵌められた? いやいや、そんなことないよね?
そんな事を思いつつ、彼女の妙な視線が気になって仕方なかった――
ヤバイ、ヤバイのかもしれない!!!
でも、今見てる手紙では、そんな敵対的な感じはしないんだよね。ただ『大事な話』ってのが気になるよね。しかも『二人きり』でってところがポイント。周囲には話せない……私に相談? うーん、思えば思うほどわかんないや。
「お嬢様。手紙を見ながらどうして百面相をしているのでしょう?」
と、エルーサが心配そうに言ってくる。あー、傍から見たら怪しいよね。うん、注意……注意っと。
「どう判断したらいいか、分からなかっただけよ……」
「お見せして頂いても?」
「ええ、その上で意見を言ってもらえると助かるわ。本心で言えば興味はあるのよね」
私はそう言ってエルーサにアンネマリー嬢からの手紙を渡す。エルーサは静かに手紙に目を通し私に返して、首を傾げた。
「正直に言っても問題ございませんか?」
「ええ、構わないわ」
「ありがとうございます。まず、お嬢様がアンネマリー様とお話をするしないとは別に、そもそもおふたりで密談をしたいという希望は叶うハズはありません」
たーしかに『密談』は無理だよね。雰囲気的にアンネマリー嬢は分かった上で密談がしたいってことだよね?
「普通に考えたら無理よね」
「普通であれば。まぁ、防音の魔道具を使えば周囲の音を遮断して会話は出来ます。ただし、使用人や護衛騎士の中には口の動きから会話を読み解く者もいますし、防音の魔道具があったとしても会話を聴く方法がありますので……」
「防音の魔道具を使っても音が聴ける? ナニそれ、すごく気になるんだけど」
私の喰い付きにエルーサはしまったという雰囲気を出して苦笑する。
「そこに喰い付きますか」
「それはモチロン! で、どういう方法なの?」
エルーサは小さく息を吐いてエプロンのポケットから防音の魔道具を取り出す。
「では説明させていただきますね」
お母様にも褒められたし!
そして、ここ数日はあの時のお茶会に参加したご令嬢からお手紙が届いていたので返事をしたり、今後の打合せをしたりしているのだ。
ミーリア嬢からの手紙は2通あって、片方はハフルスト伯爵本人からの手紙だった。詳しい話を聞きたいという旨の内容だったので後日、直接交渉の場を持つ方向で話をしましょう。と、いう内容の返事を返した。
因みにお父様も参加予定で場所は王都内にある有名なレストランで行う流れらしい。らしい、というのは場のセッティングなどはお父様が主となって行う事が決まっているからだ。
ミーリア嬢本人からの手紙には文学的な表現で書かれた字がミッチリと書かれた手紙だった。
古典からの引用が多く、読み解くのに結構な時間が掛かってしまった。けれど、内容を要約すると私への崇拝だった。うん、崇拝される覚えはないけど!
因みにジェニー嬢からも、私を讃える手紙が来ていた。うーん、このふたりは色んな意味で危険かもしれない……上手く手綱を握れればいいのだけど。
そして、妙な視線を送りまくっていたアンネマリー嬢からの手紙には個人的に――『二人きり』で話が出来ないかという内容だったのだけど、私のファーストインプレッションは『私に比べて、とても字が綺麗』だった。
にしても、もう一人の悪役令嬢かぁ。『とにキラ』の攻略キャラ、ファルリオルートの悪役令嬢なんだけど……派閥の関係性で中途半端なポジションにファルリオがフラフラする理由のひとつがアンネマリー嬢でとあるタイミングでレシアス侯爵が派閥替えをすることでファルリオが振り回され始めるんだよね。
ちなみにゲームで登場するアンネマリー嬢は悪役令嬢の中では最も大人しいタイプの悪役になる。ファルリオルートのトゥルーではアンネマリー嬢はヒロインとお友達になって、婚約解消を円満に行って大団円する。
なぜか、私は断罪されて修道院送りにされる――ゲームプレイ時はざまぁ、と思っていたけど。よくよく考えると『なんでやねん!!!』と、ツッコミを入れたくなるな。
しかも、このルートでは私、大して何もしてないんだけど?
もしかして、アンネマリー嬢に嵌められた? いやいや、そんなことないよね?
そんな事を思いつつ、彼女の妙な視線が気になって仕方なかった――
ヤバイ、ヤバイのかもしれない!!!
でも、今見てる手紙では、そんな敵対的な感じはしないんだよね。ただ『大事な話』ってのが気になるよね。しかも『二人きり』でってところがポイント。周囲には話せない……私に相談? うーん、思えば思うほどわかんないや。
「お嬢様。手紙を見ながらどうして百面相をしているのでしょう?」
と、エルーサが心配そうに言ってくる。あー、傍から見たら怪しいよね。うん、注意……注意っと。
「どう判断したらいいか、分からなかっただけよ……」
「お見せして頂いても?」
「ええ、その上で意見を言ってもらえると助かるわ。本心で言えば興味はあるのよね」
私はそう言ってエルーサにアンネマリー嬢からの手紙を渡す。エルーサは静かに手紙に目を通し私に返して、首を傾げた。
「正直に言っても問題ございませんか?」
「ええ、構わないわ」
「ありがとうございます。まず、お嬢様がアンネマリー様とお話をするしないとは別に、そもそもおふたりで密談をしたいという希望は叶うハズはありません」
たーしかに『密談』は無理だよね。雰囲気的にアンネマリー嬢は分かった上で密談がしたいってことだよね?
「普通に考えたら無理よね」
「普通であれば。まぁ、防音の魔道具を使えば周囲の音を遮断して会話は出来ます。ただし、使用人や護衛騎士の中には口の動きから会話を読み解く者もいますし、防音の魔道具があったとしても会話を聴く方法がありますので……」
「防音の魔道具を使っても音が聴ける? ナニそれ、すごく気になるんだけど」
私の喰い付きにエルーサはしまったという雰囲気を出して苦笑する。
「そこに喰い付きますか」
「それはモチロン! で、どういう方法なの?」
エルーサは小さく息を吐いてエプロンのポケットから防音の魔道具を取り出す。
「では説明させていただきますね」
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