57 / 314
第二章 悪役令嬢は暗躍する
57.悪役令嬢はお出かけを楽しむ
しおりを挟む
クラスタリアム魔坑道の内部は資料やウィンディ嬢の話の通り、灯りの魔道具による灯りも付いており広さもそこそこあって、想像していた『ダンジョン』という雰囲気では無かった。
「なんというか拍子抜けね……」
そう呟いたのはエルことアリエルだ。分かっていても言わぬがなんとやらよ。
「整備されていると聞いてましたが、鉱山の中だと言われても絶対に信じられないわね」
「ははは、嬢ちゃんは賢いな。でも、此処は整備されているが、アソコに見える門を越えたところからが本番だ」
そう言って彼は広い坑道の奥に見える門を指差した。門の前には騎士らしき姿が確認出来、私は首を傾げた。
「騎士が門番というのは不思議かい?」
「え、ええ……『黒狼』様は不思議に思いませんの?」
「そうだね。冒険者ギルドは大帝国の所属だけど、各領地にあるわけだよ。魔導洞窟の運営管理はギルドでは無く、各国の領地を任されている領主が行う決まりなんだ。確かに場所によれば冒険者が雇われて門番をしている場所もあるかもしれないけどね、ミストリア国内にある魔導洞窟では騎士が門を守っているよ」
因みにダンジョンの中に門が築かれている事も私には驚きだった。と、いうか資料には乗ってなかったんですけど? うーん、当たり前すぎて記載するのを忘れてたのか。ま、問題ないんだけど。
それにしても、『黒狼』様こと、クーベルト辺境伯の所作は完璧に冒険者風だ。言葉遣いとかは子供に対しての感じなのでなんとも言えないけど、高貴な生まれとは絶対に分からないよね。それを考えると、私は全然ダメだな。そんな事を考えながら門の前に移動する。
「じゃぁ、この門を通った後は本格的な魔導洞窟になるから、お嬢ちゃん達は気を付けてついて来て――」
と、彼はそう言ったけれど、アリエルが被せ気味に素早く反論する。
「残念ですが、私もリアもディと変わらない扱いで結構よ。出来ればキチンと役割分担をした上で魔導洞窟探索をしたいのだけど?」
『黒狼』様こと、クーベルト辺境伯は小さく「ほう」と呟いて顎に手を当てて少し考える仕草をする。
でも10歳に満たない幼女達に普通の冒険者と扱えと言われて――と、言ってもディ……ウィンディ嬢も私と同じ年齢だから、幼女というのは変わりないんだけどね。それにしても、クーベルト辺境伯もかなり忙しいと思うのだけど、よく今回の仕事を了承したなぁ。
「では、まずはどういった戦いが得意なのか、上層の敵で様子を見させてもらおうかな。まずは俺が獲物を見つけるから、俺の後をついて来てくれるかな?」
そう言って、門の横にある狭い通路を通っていく。『黒狼』様の話によると、どうやら通常時は門は閉ざし、魔物の氾濫時など緊急時のみ門を開くようにするらしい。これは魔導洞窟によって違いがあるので、冒険者ギルドや魔導洞窟の管理を行っている部署などで確認が必要らしい。
通路から出ると、先程までとは数段薄暗い感じで、空気もどこか埃っぽく感じる。ただし、かなり人の手が入っているようで地面などは綺麗に慣らされていて、歩き難いという事はない。
「ここら辺りは百年以上かけて人の手が入っているから、進みやすい。と、いうかこの魔導洞窟に至っては上層は殆どがこんな感じだ。しかし、魔物は関係なく沸いて来るから注意は怠らないように」
私達は「は~い」と、言いながら武器を構えて彼の後に続く。時折、クーベルト辺境伯こと『黒狼』様が私の武器をチラ見してくるのはあえて無視する。
15分程、薄暗い坑道を進み、幾つかの角を曲がったところで、彼が私達を制止させる。
「この向こうに魔物が3体いる。蜘蛛の魔物で、この洞窟ではもっともポピュラーな魔物だ。まずは音を極力立てずに様子を見て、魔法などの攻撃を咥えた上で接近戦に持ち込むのが基本だ。やってみるかい?」
と、小声で彼は言った。私達は視線を交わしてからコクリと頷き、ゆっくりと慎重に前に出る。
約30メートル四方くらいの部屋の様な空間の奥に蜘蛛の巣が張られており、そこに彼が言った通り3体の人並みに大きな蜘蛛がおり、魔物達はまだ私達には気が付いていない。
「エル、ディ、まずは私がやるわ……」
そう言って、私は武器を構え魔術構築を行う。威力調整が結構難しいので出来るだけ魔力を使わないように気を付ける。
トリガーを引くと激しい音と共に弾丸が射出され、その弾丸は炎の槍へと変わり、魔物を屠っていく。
「威力を抑えすぎたかな……3発で1匹だと思っているより効率は高く無いわ」
「私はもっと勢いよくババババッって弾が出るかと思ったけど、そうじゃないんだ」
「そうね。秒間12発くらいかな。理想は秒間20発だけどね。弾倉って考え方が少し違うけど、弾は出来るだけ節約したいわね」
「え、あー、リア嬢。後でその武器について話を聞かせて貰えないか?」
まぁ、そうなりますよね。とりあえずニッコリ笑っておこう。
「なんというか拍子抜けね……」
そう呟いたのはエルことアリエルだ。分かっていても言わぬがなんとやらよ。
「整備されていると聞いてましたが、鉱山の中だと言われても絶対に信じられないわね」
「ははは、嬢ちゃんは賢いな。でも、此処は整備されているが、アソコに見える門を越えたところからが本番だ」
そう言って彼は広い坑道の奥に見える門を指差した。門の前には騎士らしき姿が確認出来、私は首を傾げた。
「騎士が門番というのは不思議かい?」
「え、ええ……『黒狼』様は不思議に思いませんの?」
「そうだね。冒険者ギルドは大帝国の所属だけど、各領地にあるわけだよ。魔導洞窟の運営管理はギルドでは無く、各国の領地を任されている領主が行う決まりなんだ。確かに場所によれば冒険者が雇われて門番をしている場所もあるかもしれないけどね、ミストリア国内にある魔導洞窟では騎士が門を守っているよ」
因みにダンジョンの中に門が築かれている事も私には驚きだった。と、いうか資料には乗ってなかったんですけど? うーん、当たり前すぎて記載するのを忘れてたのか。ま、問題ないんだけど。
それにしても、『黒狼』様こと、クーベルト辺境伯の所作は完璧に冒険者風だ。言葉遣いとかは子供に対しての感じなのでなんとも言えないけど、高貴な生まれとは絶対に分からないよね。それを考えると、私は全然ダメだな。そんな事を考えながら門の前に移動する。
「じゃぁ、この門を通った後は本格的な魔導洞窟になるから、お嬢ちゃん達は気を付けてついて来て――」
と、彼はそう言ったけれど、アリエルが被せ気味に素早く反論する。
「残念ですが、私もリアもディと変わらない扱いで結構よ。出来ればキチンと役割分担をした上で魔導洞窟探索をしたいのだけど?」
『黒狼』様こと、クーベルト辺境伯は小さく「ほう」と呟いて顎に手を当てて少し考える仕草をする。
でも10歳に満たない幼女達に普通の冒険者と扱えと言われて――と、言ってもディ……ウィンディ嬢も私と同じ年齢だから、幼女というのは変わりないんだけどね。それにしても、クーベルト辺境伯もかなり忙しいと思うのだけど、よく今回の仕事を了承したなぁ。
「では、まずはどういった戦いが得意なのか、上層の敵で様子を見させてもらおうかな。まずは俺が獲物を見つけるから、俺の後をついて来てくれるかな?」
そう言って、門の横にある狭い通路を通っていく。『黒狼』様の話によると、どうやら通常時は門は閉ざし、魔物の氾濫時など緊急時のみ門を開くようにするらしい。これは魔導洞窟によって違いがあるので、冒険者ギルドや魔導洞窟の管理を行っている部署などで確認が必要らしい。
通路から出ると、先程までとは数段薄暗い感じで、空気もどこか埃っぽく感じる。ただし、かなり人の手が入っているようで地面などは綺麗に慣らされていて、歩き難いという事はない。
「ここら辺りは百年以上かけて人の手が入っているから、進みやすい。と、いうかこの魔導洞窟に至っては上層は殆どがこんな感じだ。しかし、魔物は関係なく沸いて来るから注意は怠らないように」
私達は「は~い」と、言いながら武器を構えて彼の後に続く。時折、クーベルト辺境伯こと『黒狼』様が私の武器をチラ見してくるのはあえて無視する。
15分程、薄暗い坑道を進み、幾つかの角を曲がったところで、彼が私達を制止させる。
「この向こうに魔物が3体いる。蜘蛛の魔物で、この洞窟ではもっともポピュラーな魔物だ。まずは音を極力立てずに様子を見て、魔法などの攻撃を咥えた上で接近戦に持ち込むのが基本だ。やってみるかい?」
と、小声で彼は言った。私達は視線を交わしてからコクリと頷き、ゆっくりと慎重に前に出る。
約30メートル四方くらいの部屋の様な空間の奥に蜘蛛の巣が張られており、そこに彼が言った通り3体の人並みに大きな蜘蛛がおり、魔物達はまだ私達には気が付いていない。
「エル、ディ、まずは私がやるわ……」
そう言って、私は武器を構え魔術構築を行う。威力調整が結構難しいので出来るだけ魔力を使わないように気を付ける。
トリガーを引くと激しい音と共に弾丸が射出され、その弾丸は炎の槍へと変わり、魔物を屠っていく。
「威力を抑えすぎたかな……3発で1匹だと思っているより効率は高く無いわ」
「私はもっと勢いよくババババッって弾が出るかと思ったけど、そうじゃないんだ」
「そうね。秒間12発くらいかな。理想は秒間20発だけどね。弾倉って考え方が少し違うけど、弾は出来るだけ節約したいわね」
「え、あー、リア嬢。後でその武器について話を聞かせて貰えないか?」
まぁ、そうなりますよね。とりあえずニッコリ笑っておこう。
1
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
【完結】長男は悪役で次男はヒーローで、私はへっぽこ姫だけど死亡フラグは折って頑張ります!
くま
ファンタジー
2022年4月書籍化いたしました!
イラストレータはれんたさん。とても可愛いらしく仕上げて貰えて感謝感激です(*≧∀≦*)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
池に溺れてしまったこの国のお姫様、エメラルド。
あれ?ここって前世で読んだ小説の世界!?
長男の王子は悪役!?次男の王子はヒーロー!?
二人共あの小説のキャラクターじゃん!
そして私は……誰だ!!?え?すぐ死ぬキャラ!?何それ!兄様達はチート過ぎるくらい魔力が強いのに、私はなんてこった!!
へっぽこじゃん!?!
しかも家族仲、兄弟仲が……悪いよ!?
悪役だろうが、ヒーローだろうがみんな仲良くが一番!そして私はへっぽこでも生き抜いてみせる!!
とあるへっぽこ姫が家族と仲良くなる作戦を頑張りつつ、みんなに溺愛されまくるお話です。
※基本家族愛中心です。主人公も幼い年齢からスタートなので、恋愛編はまだ先かなと。
それでもよろしければエメラルド達の成長を温かく見守ってください!
※途中なんか残酷シーンあるあるかもなので、、、苦手でしたらごめんなさい
※不定期更新なります!
現在キャラクター達のイメージ図を描いてます。随時更新するようにします。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる