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第二章 悪役令嬢は暗躍する
57.悪役令嬢はお出かけを楽しむ
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クラスタリアム魔坑道の内部は資料やウィンディ嬢の話の通り、灯りの魔道具による灯りも付いており広さもそこそこあって、想像していた『ダンジョン』という雰囲気では無かった。
「なんというか拍子抜けね……」
そう呟いたのはエルことアリエルだ。分かっていても言わぬがなんとやらよ。
「整備されていると聞いてましたが、鉱山の中だと言われても絶対に信じられないわね」
「ははは、嬢ちゃんは賢いな。でも、此処は整備されているが、アソコに見える門を越えたところからが本番だ」
そう言って彼は広い坑道の奥に見える門を指差した。門の前には騎士らしき姿が確認出来、私は首を傾げた。
「騎士が門番というのは不思議かい?」
「え、ええ……『黒狼』様は不思議に思いませんの?」
「そうだね。冒険者ギルドは大帝国の所属だけど、各領地にあるわけだよ。魔導洞窟の運営管理はギルドでは無く、各国の領地を任されている領主が行う決まりなんだ。確かに場所によれば冒険者が雇われて門番をしている場所もあるかもしれないけどね、ミストリア国内にある魔導洞窟では騎士が門を守っているよ」
因みにダンジョンの中に門が築かれている事も私には驚きだった。と、いうか資料には乗ってなかったんですけど? うーん、当たり前すぎて記載するのを忘れてたのか。ま、問題ないんだけど。
それにしても、『黒狼』様こと、クーベルト辺境伯の所作は完璧に冒険者風だ。言葉遣いとかは子供に対しての感じなのでなんとも言えないけど、高貴な生まれとは絶対に分からないよね。それを考えると、私は全然ダメだな。そんな事を考えながら門の前に移動する。
「じゃぁ、この門を通った後は本格的な魔導洞窟になるから、お嬢ちゃん達は気を付けてついて来て――」
と、彼はそう言ったけれど、アリエルが被せ気味に素早く反論する。
「残念ですが、私もリアもディと変わらない扱いで結構よ。出来ればキチンと役割分担をした上で魔導洞窟探索をしたいのだけど?」
『黒狼』様こと、クーベルト辺境伯は小さく「ほう」と呟いて顎に手を当てて少し考える仕草をする。
でも10歳に満たない幼女達に普通の冒険者と扱えと言われて――と、言ってもディ……ウィンディ嬢も私と同じ年齢だから、幼女というのは変わりないんだけどね。それにしても、クーベルト辺境伯もかなり忙しいと思うのだけど、よく今回の仕事を了承したなぁ。
「では、まずはどういった戦いが得意なのか、上層の敵で様子を見させてもらおうかな。まずは俺が獲物を見つけるから、俺の後をついて来てくれるかな?」
そう言って、門の横にある狭い通路を通っていく。『黒狼』様の話によると、どうやら通常時は門は閉ざし、魔物の氾濫時など緊急時のみ門を開くようにするらしい。これは魔導洞窟によって違いがあるので、冒険者ギルドや魔導洞窟の管理を行っている部署などで確認が必要らしい。
通路から出ると、先程までとは数段薄暗い感じで、空気もどこか埃っぽく感じる。ただし、かなり人の手が入っているようで地面などは綺麗に慣らされていて、歩き難いという事はない。
「ここら辺りは百年以上かけて人の手が入っているから、進みやすい。と、いうかこの魔導洞窟に至っては上層は殆どがこんな感じだ。しかし、魔物は関係なく沸いて来るから注意は怠らないように」
私達は「は~い」と、言いながら武器を構えて彼の後に続く。時折、クーベルト辺境伯こと『黒狼』様が私の武器をチラ見してくるのはあえて無視する。
15分程、薄暗い坑道を進み、幾つかの角を曲がったところで、彼が私達を制止させる。
「この向こうに魔物が3体いる。蜘蛛の魔物で、この洞窟ではもっともポピュラーな魔物だ。まずは音を極力立てずに様子を見て、魔法などの攻撃を咥えた上で接近戦に持ち込むのが基本だ。やってみるかい?」
と、小声で彼は言った。私達は視線を交わしてからコクリと頷き、ゆっくりと慎重に前に出る。
約30メートル四方くらいの部屋の様な空間の奥に蜘蛛の巣が張られており、そこに彼が言った通り3体の人並みに大きな蜘蛛がおり、魔物達はまだ私達には気が付いていない。
「エル、ディ、まずは私がやるわ……」
そう言って、私は武器を構え魔術構築を行う。威力調整が結構難しいので出来るだけ魔力を使わないように気を付ける。
トリガーを引くと激しい音と共に弾丸が射出され、その弾丸は炎の槍へと変わり、魔物を屠っていく。
「威力を抑えすぎたかな……3発で1匹だと思っているより効率は高く無いわ」
「私はもっと勢いよくババババッって弾が出るかと思ったけど、そうじゃないんだ」
「そうね。秒間12発くらいかな。理想は秒間20発だけどね。弾倉って考え方が少し違うけど、弾は出来るだけ節約したいわね」
「え、あー、リア嬢。後でその武器について話を聞かせて貰えないか?」
まぁ、そうなりますよね。とりあえずニッコリ笑っておこう。
「なんというか拍子抜けね……」
そう呟いたのはエルことアリエルだ。分かっていても言わぬがなんとやらよ。
「整備されていると聞いてましたが、鉱山の中だと言われても絶対に信じられないわね」
「ははは、嬢ちゃんは賢いな。でも、此処は整備されているが、アソコに見える門を越えたところからが本番だ」
そう言って彼は広い坑道の奥に見える門を指差した。門の前には騎士らしき姿が確認出来、私は首を傾げた。
「騎士が門番というのは不思議かい?」
「え、ええ……『黒狼』様は不思議に思いませんの?」
「そうだね。冒険者ギルドは大帝国の所属だけど、各領地にあるわけだよ。魔導洞窟の運営管理はギルドでは無く、各国の領地を任されている領主が行う決まりなんだ。確かに場所によれば冒険者が雇われて門番をしている場所もあるかもしれないけどね、ミストリア国内にある魔導洞窟では騎士が門を守っているよ」
因みにダンジョンの中に門が築かれている事も私には驚きだった。と、いうか資料には乗ってなかったんですけど? うーん、当たり前すぎて記載するのを忘れてたのか。ま、問題ないんだけど。
それにしても、『黒狼』様こと、クーベルト辺境伯の所作は完璧に冒険者風だ。言葉遣いとかは子供に対しての感じなのでなんとも言えないけど、高貴な生まれとは絶対に分からないよね。それを考えると、私は全然ダメだな。そんな事を考えながら門の前に移動する。
「じゃぁ、この門を通った後は本格的な魔導洞窟になるから、お嬢ちゃん達は気を付けてついて来て――」
と、彼はそう言ったけれど、アリエルが被せ気味に素早く反論する。
「残念ですが、私もリアもディと変わらない扱いで結構よ。出来ればキチンと役割分担をした上で魔導洞窟探索をしたいのだけど?」
『黒狼』様こと、クーベルト辺境伯は小さく「ほう」と呟いて顎に手を当てて少し考える仕草をする。
でも10歳に満たない幼女達に普通の冒険者と扱えと言われて――と、言ってもディ……ウィンディ嬢も私と同じ年齢だから、幼女というのは変わりないんだけどね。それにしても、クーベルト辺境伯もかなり忙しいと思うのだけど、よく今回の仕事を了承したなぁ。
「では、まずはどういった戦いが得意なのか、上層の敵で様子を見させてもらおうかな。まずは俺が獲物を見つけるから、俺の後をついて来てくれるかな?」
そう言って、門の横にある狭い通路を通っていく。『黒狼』様の話によると、どうやら通常時は門は閉ざし、魔物の氾濫時など緊急時のみ門を開くようにするらしい。これは魔導洞窟によって違いがあるので、冒険者ギルドや魔導洞窟の管理を行っている部署などで確認が必要らしい。
通路から出ると、先程までとは数段薄暗い感じで、空気もどこか埃っぽく感じる。ただし、かなり人の手が入っているようで地面などは綺麗に慣らされていて、歩き難いという事はない。
「ここら辺りは百年以上かけて人の手が入っているから、進みやすい。と、いうかこの魔導洞窟に至っては上層は殆どがこんな感じだ。しかし、魔物は関係なく沸いて来るから注意は怠らないように」
私達は「は~い」と、言いながら武器を構えて彼の後に続く。時折、クーベルト辺境伯こと『黒狼』様が私の武器をチラ見してくるのはあえて無視する。
15分程、薄暗い坑道を進み、幾つかの角を曲がったところで、彼が私達を制止させる。
「この向こうに魔物が3体いる。蜘蛛の魔物で、この洞窟ではもっともポピュラーな魔物だ。まずは音を極力立てずに様子を見て、魔法などの攻撃を咥えた上で接近戦に持ち込むのが基本だ。やってみるかい?」
と、小声で彼は言った。私達は視線を交わしてからコクリと頷き、ゆっくりと慎重に前に出る。
約30メートル四方くらいの部屋の様な空間の奥に蜘蛛の巣が張られており、そこに彼が言った通り3体の人並みに大きな蜘蛛がおり、魔物達はまだ私達には気が付いていない。
「エル、ディ、まずは私がやるわ……」
そう言って、私は武器を構え魔術構築を行う。威力調整が結構難しいので出来るだけ魔力を使わないように気を付ける。
トリガーを引くと激しい音と共に弾丸が射出され、その弾丸は炎の槍へと変わり、魔物を屠っていく。
「威力を抑えすぎたかな……3発で1匹だと思っているより効率は高く無いわ」
「私はもっと勢いよくババババッって弾が出るかと思ったけど、そうじゃないんだ」
「そうね。秒間12発くらいかな。理想は秒間20発だけどね。弾倉って考え方が少し違うけど、弾は出来るだけ節約したいわね」
「え、あー、リア嬢。後でその武器について話を聞かせて貰えないか?」
まぁ、そうなりますよね。とりあえずニッコリ笑っておこう。
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