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第二章 悪役令嬢は暗躍する
56.悪役令嬢は予想外の出会いに困惑する
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アリエルと私の楽しみにしていたお出かけ当日なのだけど、私は予想外の事に焦っていた。
まさか、まさかの護衛があの人だなんて聞いてないわよ! 責任者……女王様だわ。何も文句言えないじゃない!
「こちらのお嬢ちゃんは大丈夫かい?」
ああ、良き声が聴こえる。ってか、死ぬ。
「ってかどうしたのリア?」
「色々あるけど――大丈夫よ、エル」
誤魔化したつもりだけど声が上ずってる。というか、このままじゃ只の怪しい子になってしまうわ。落ち着くのよ私! ちなみに一応お忍びという形を取っているので本名では無く呼びやすい名で呼び合えるように私はリア、アリエルはエル、ウィンディはディと呼ぶ事にしている。
そして、今回護衛を引き受けてくれたのが『黒狼』こと、ディルヘルト・セイス・ティルムス・クーベルト辺境伯だ。【白金】ランクの冒険者『黒狼』がまさか、クーベルト閣下だなんて。驚きなんだけど――と、いうかお母様達は絶対知ってたよね、これ。
ちなみにクーベルト閣下の恰好は黒革のジャケットに様々な魔石とベルトには黒鉄色の鞘と柄が特徴的な剣を佩いている。背中にはボディバックのような革袋を背負っている。冒険に行くにはかなり荷物が少ない気がしなくもない。
私達は護衛の閣下以外にお父様の執事を一人借り受けてポーターとして付いて来て貰っている。
「さて、お嬢ちゃん達……ディちゃんは大丈夫だとは思うけど、準備はいいかい?」
くっ、ウィンディ嬢知り合いだったのかい!!! ってか、私がオカシイ状態な理由をアリエルとウィンディは分かってない? 嘘でしょ? 嘘と言いなさい。
「ちょ、ちょっとお待ちになって頂けます?」
「何か問題でも?」
「お、お、お花を摘みに行きますわ! エル、ディ! 行きますわよ!」
そう言って、アリエルとウィンディを強引に連れてクラスタリアム魔坑道の入口にある冒険者ギルドの建物内にあるトイレへと向かう。思ったより狭い場所だけれど、男女別になっているので秘密の会話は出来そうだ。
「って、どうしたのよ?」
訝し気な表情でアリエルはそう言った。ウィンディ嬢も困惑した感じの表情だ。
「どうしたもこうしたも、まさか『黒狼』がクーベルト辺境伯だとは思わなかったでしょ?」
「え? あの仮面の怪しげな男がクーベルト辺境伯???」
アリエルはポカンとした顔をして首を傾げる。え? なんでわかんないの?
「そうですよ、エステ……リア。人違いじゃないですか? ゲームで見た感じと随分違いますよ?」
「そりゃそうよ。ゲーム時の年齢は30代よ? 今はまだ20そこそこだし……まぁ、仮面はしてないけど」
「リア。思ったんだけど、仮面付けてたら分からないでしょ? それに髪色とかも違うと思うんだけど?」
「たぶん仮面の効果じゃないかしら? 認識阻害の魔法が入ってるのよ。アレは二作目に出て来るキャラも似たような仮面を持ってたハズで【失われた遺物】だったと記憶しているわ」
「いやいや、それであの男がクーベルト辺境伯だって分かるリアがおかしい」
え? おかしくないって。それにあんな素敵な声の持ち主は彼しかいないでしょ。
「あ、声で判断とか私には無理だからね」
と、アリエルに先を越されて言われてしまう。そういうモノなのかしら――うーん、その辺りは興味のあるなしで判断が変わってくるところかしら。
「でも、だからリアの態度が変だったのね」
「分かりませんでした。私なんて何度も会った事があるのに」
やっぱりウィンディは知り合いだったのね。なのに気が付いて無かったとは――有罪《ギルティ》よ。まぁ、ちょっとヤキモチ妬くくらいで何もしないけどねっ!
「ともかく! リアは落ち着きなさい。今日はこれからずっと上級冒険者である『黒狼』と一緒に魔導洞窟へ入るんだからね」
「…………そ、そうね」
確かにアリエルの言う通りだ。浮かれてミスをするなんて出来はしないわね。閣下の前でみっともないマネは出来ないわ。よーし、なんだか超ヤル気出てきた!
「ディ、リアが暴走しないように気を付けてね」
「りょ、りょーかいです!」
って、なんか失礼な言い方ね。アリエルじゃないんだから、暴走なんてしないわよ!
まさか、まさかの護衛があの人だなんて聞いてないわよ! 責任者……女王様だわ。何も文句言えないじゃない!
「こちらのお嬢ちゃんは大丈夫かい?」
ああ、良き声が聴こえる。ってか、死ぬ。
「ってかどうしたのリア?」
「色々あるけど――大丈夫よ、エル」
誤魔化したつもりだけど声が上ずってる。というか、このままじゃ只の怪しい子になってしまうわ。落ち着くのよ私! ちなみに一応お忍びという形を取っているので本名では無く呼びやすい名で呼び合えるように私はリア、アリエルはエル、ウィンディはディと呼ぶ事にしている。
そして、今回護衛を引き受けてくれたのが『黒狼』こと、ディルヘルト・セイス・ティルムス・クーベルト辺境伯だ。【白金】ランクの冒険者『黒狼』がまさか、クーベルト閣下だなんて。驚きなんだけど――と、いうかお母様達は絶対知ってたよね、これ。
ちなみにクーベルト閣下の恰好は黒革のジャケットに様々な魔石とベルトには黒鉄色の鞘と柄が特徴的な剣を佩いている。背中にはボディバックのような革袋を背負っている。冒険に行くにはかなり荷物が少ない気がしなくもない。
私達は護衛の閣下以外にお父様の執事を一人借り受けてポーターとして付いて来て貰っている。
「さて、お嬢ちゃん達……ディちゃんは大丈夫だとは思うけど、準備はいいかい?」
くっ、ウィンディ嬢知り合いだったのかい!!! ってか、私がオカシイ状態な理由をアリエルとウィンディは分かってない? 嘘でしょ? 嘘と言いなさい。
「ちょ、ちょっとお待ちになって頂けます?」
「何か問題でも?」
「お、お、お花を摘みに行きますわ! エル、ディ! 行きますわよ!」
そう言って、アリエルとウィンディを強引に連れてクラスタリアム魔坑道の入口にある冒険者ギルドの建物内にあるトイレへと向かう。思ったより狭い場所だけれど、男女別になっているので秘密の会話は出来そうだ。
「って、どうしたのよ?」
訝し気な表情でアリエルはそう言った。ウィンディ嬢も困惑した感じの表情だ。
「どうしたもこうしたも、まさか『黒狼』がクーベルト辺境伯だとは思わなかったでしょ?」
「え? あの仮面の怪しげな男がクーベルト辺境伯???」
アリエルはポカンとした顔をして首を傾げる。え? なんでわかんないの?
「そうですよ、エステ……リア。人違いじゃないですか? ゲームで見た感じと随分違いますよ?」
「そりゃそうよ。ゲーム時の年齢は30代よ? 今はまだ20そこそこだし……まぁ、仮面はしてないけど」
「リア。思ったんだけど、仮面付けてたら分からないでしょ? それに髪色とかも違うと思うんだけど?」
「たぶん仮面の効果じゃないかしら? 認識阻害の魔法が入ってるのよ。アレは二作目に出て来るキャラも似たような仮面を持ってたハズで【失われた遺物】だったと記憶しているわ」
「いやいや、それであの男がクーベルト辺境伯だって分かるリアがおかしい」
え? おかしくないって。それにあんな素敵な声の持ち主は彼しかいないでしょ。
「あ、声で判断とか私には無理だからね」
と、アリエルに先を越されて言われてしまう。そういうモノなのかしら――うーん、その辺りは興味のあるなしで判断が変わってくるところかしら。
「でも、だからリアの態度が変だったのね」
「分かりませんでした。私なんて何度も会った事があるのに」
やっぱりウィンディは知り合いだったのね。なのに気が付いて無かったとは――有罪《ギルティ》よ。まぁ、ちょっとヤキモチ妬くくらいで何もしないけどねっ!
「ともかく! リアは落ち着きなさい。今日はこれからずっと上級冒険者である『黒狼』と一緒に魔導洞窟へ入るんだからね」
「…………そ、そうね」
確かにアリエルの言う通りだ。浮かれてミスをするなんて出来はしないわね。閣下の前でみっともないマネは出来ないわ。よーし、なんだか超ヤル気出てきた!
「ディ、リアが暴走しないように気を付けてね」
「りょ、りょーかいです!」
って、なんか失礼な言い方ね。アリエルじゃないんだから、暴走なんてしないわよ!
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