悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

文字の大きさ
119 / 314
第三章 悪役令嬢は学院生活を送る

119.悪役令嬢は旅行する その7

しおりを挟む
 小さなお茶会と言っても夕食時の面子と基本変わらない。私、アリエル、ウィンディとアリエルの後ろにナスターシア、私の後ろにエルーサが控えるような形だ。違いと言えばテーブルにはエルーサが持ち込んでいるお茶とお茶菓子がある事くらいだ。

 ちなみに私の前にはサンドウィッチが置かれている。先程の食事にあまり手を付けていなかったエルーサが気を利かせて空間収納アイテムボックスに収納していたストックを出してくれている。

 私はエルーサの気遣いに感謝しながらサンドウィッチを頬張っているとウィンディが不思議そうな顔を私を見ていた。

「どうしたのウィンディ?」
「いえ、先程はご飯にほとんど手をつけていなかったのにサンドウィッチは食べるんだなって思って。んー、美味しく無かったですか? 確かに美味しいかどうかって言われると微妙ですけど、どこもあんな感じだと思うんですよね」
「そうだぞ、エステリア。王宮ならまだしも、一応公爵家の別邸と考えれば十分な美味しさだったと思うけど?」

 それは確かにそうかもしれないけど、我が家の味に慣れすぎちゃって幼い頃のトラウマがやってくるのよ。でも、そのあたりアリエルも分かってるみたいで視線は私のサンドウィッチに向かってることを考えると、アレか。

「って、欲しいなら欲しいって言ってよね。はい」
「サンキュー。うん、やっぱり公爵家の料理人は優秀だわ」

 それを見てウィンディも涎を垂らしているわ。って、伯爵令嬢としてちょっとはしたないわよ。

「ほら、ウィンディも食べなさい。王城の宮廷料理人は公爵家から派遣して教育されてるから、同じような食事を提供しているハズでしょう?」
「まぁ、王宮だとそうね。でも、冒険者として街とかに出たら、だいたい味付けは塩と胡椒だし、ダンジョン内だと干し肉とか硬いパンくらいじゃない?」
「って、空間収納アイテムボックス持ってるでしょ? 食事くらい入れておきなさいよ」

 と、言うとアリエルとウィンディはポンと手を叩いた。

「なるほど!」
「確かにです! さすがエステリア様!!!」

 あ、なんか色々察してしまったわ。この子達はそうだった……そういうところ抜けてるんだったわ。魔導洞窟ダンジョンや冒険に頭が行ってて他の事はポイッとしてたのね。

「今度はアレね。食事提供とかも考えるべきね――空間収納アイテムボックスも適当に使ってない? 中の物はちゃんと整理したり処分しないと、パンパンになっちゃうわよ」
「え? 際限あるの?」

 ちゃんと説明したような気がするけど、忘れちゃったのかしら。私は小さく溜息を吐く。

「ある程度の空間を魔法で広げて固定させているわけだけど、一定の広さを超えると魔法の維持自体が安定されなくなって崩壊するから、ある程度の広さを超えないように制限を持たせてあるのよ。広さで言えば普段アリエルが使っている部屋くらい――いければいいけど、それよりも狭いから、適当に入れてあると何も入れれなくなるわよ」
「ま、マジ?」
「マジで。だから魔物の死体とか入れっぱなしは絶対にダメ」

 アリエルとウィンディは視線を逸らし鳴らない口笛を吹いて誤魔化そうと必死だけど、それは全く誤魔化せてないヤツじゃん!

「とりあえず、ナスターシアはどれくらい把握しているの?」

 私がそう言うと、まさか自分に訊かれると思っていなかったのか、上ずった声で「へっ?」と言った。うーん、ここは似た者コンビなのか。

「エルーサ、私が予備で持っている分を幾つか渡すので、ナスターシアに渡してキチンと扱い方とアリエルの荷物整理を――明日の予定は全部ナシで、ウィンディもね。とりあえず整理だけしていらない物は処分。分かった?」

 全員が焦った声で「はいっ」と言って、本日は解散の流れになり、私は大きな溜息を吐いた。明日からの楽しい冒険が一日減ったよ。もう、何やってんだか――などと思いつつも空間収納アイテムボックスの改良案を思いつき、メモを書き始めたのだけど、いつの間にか眠ってしまい。起きたらベッドの上だった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】長男は悪役で次男はヒーローで、私はへっぽこ姫だけど死亡フラグは折って頑張ります!

くま
ファンタジー
2022年4月書籍化いたしました! イラストレータはれんたさん。とても可愛いらしく仕上げて貰えて感謝感激です(*≧∀≦*) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 池に溺れてしまったこの国のお姫様、エメラルド。 あれ?ここって前世で読んだ小説の世界!? 長男の王子は悪役!?次男の王子はヒーロー!? 二人共あの小説のキャラクターじゃん! そして私は……誰だ!!?え?すぐ死ぬキャラ!?何それ!兄様達はチート過ぎるくらい魔力が強いのに、私はなんてこった!! へっぽこじゃん!?! しかも家族仲、兄弟仲が……悪いよ!? 悪役だろうが、ヒーローだろうがみんな仲良くが一番!そして私はへっぽこでも生き抜いてみせる!! とあるへっぽこ姫が家族と仲良くなる作戦を頑張りつつ、みんなに溺愛されまくるお話です。 ※基本家族愛中心です。主人公も幼い年齢からスタートなので、恋愛編はまだ先かなと。 それでもよろしければエメラルド達の成長を温かく見守ってください! ※途中なんか残酷シーンあるあるかもなので、、、苦手でしたらごめんなさい ※不定期更新なります! 現在キャラクター達のイメージ図を描いてます。随時更新するようにします。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!

MEIKO
ファンタジー
最近まで死の病に冒されていたランドン伯爵家令嬢のアリシア。十六歳になったのを機に、胸をときめかせながら帝都学園にやって来た。「病も克服したし、今日からドキドキワクワクの学園生活が始まるんだわ!」そう思いながら一歩踏み入れた瞬間浮かれ過ぎてコケた。その時、突然奇妙な記憶が呼び醒まされる。見たこともない子爵家の令嬢ルーシーが、学園に通う見目麗しい男性達との恋模様を繰り広げる乙女ゲームの場面が、次から次へと思い浮かぶ。この記憶って、もしかして前世?かつての自分は、日本人の女子高生だったことを思い出す。そして目の前で転んでしまった私を心配そうに見つめる美しい令嬢キャロラインは、断罪される側の人間なのだと気付く…。「こんな見た目も心も綺麗な方が、そんな目に遭っていいいわけ!?」おまけに婚約者までもがヒロインに懸想していて、自分に見向きもしない。そう愕然としたアリシアは、自らキャロライン嬢の取り巻きAとなり、断罪を阻止し婚約者の目を覚まさせようと暗躍することを決める。ヒロインのヤロウ…赦すまじ!  笑って泣けるコメディです。この作品のアイデアが浮かんだ時、男女の恋愛以外には考えられず、BLじゃない物語は初挑戦です。貴族的表現を取り入れていますが、あくまで違う世界です。おかしいところもあるかと思いますが、ご了承下さいね。

どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)

水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――  乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】! ★★  乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ! ★★  この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。

処理中です...