148 / 312
第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
148.悪役令嬢の専属メイド達は敵に苛立つ
しおりを挟む
私達はお嬢様救出を目指して、現在『アンダンテール大洞窟』中層16階層を進んでいます。が、問題があって私達は苛立ちを覚えざるを得ない状況であります。
見えない敵――と、言えば良いのでしょうか、ずっと付かず離れずといった状態で警戒を解くことが出来ぬまま、魔物との戦闘を熟し、罠を解除しを繰り返している為に思った以上に肉体的、精神的に……そして魔力的にも消耗する一方の状態を続けている所為でジワジワと苛立ちが広がっております。
常に冷静を心がけているロディ様も舌打ちをする回数が増え、あまり喋らないティラ様はもっと喋らない状態に、ウィラ様も支援を切らしたり、メイスで敵を殴りつける状況も増えてきており、私もいけないとは思いつつ小さく溜息を吐いてはダメだと心の中で呟いて――
「はぁ……やはり、このままではダメですね」
思わず声に出してしまいました。全員の視線が私に向きます。当然、皆も苛立った雰囲気が見て取れるので、似たような事を考えていたのでしょう。
「……ですね。ここで冷静さを失えば敵の思う壺なのは確かです。しかし、どうにかなりませんかね。微妙なタイミングでチラリと探知に掛かったり、魔物をこちらに追いやってきたりと――」
ロディ様がそう言うと、ウィラ様がそれに乗っかって口を開きます。
「ですよね、性格最悪だと思います。もしあんなのが婚約者だったらゾッとします」
「ウィラ様、分かります。そのお気持ち――ああいう捻じ曲がった事が出来る人だけは絶対に嫌ですね」
と、私とウィラ様がそう言うと、ティラ様もコクコクと頷いた。女性陣の思いは一つでございます。まぁ、そんな事はさておき、見えざる敵をこちらからも幾度か追いかけたのですが、行く先には誰もおらず。可能な限り相手せずに先に進もうと皆で決めたのは良かったのですが、このありさまです。
「どんな奴かは別として、こちらを消耗させようという意図は確実だと思う。私個人としては不毛な戦いは避けたいのだが、どうにか相手を出し抜く手はないだろうか?」
「現状は残念ながら。ただ、敵が魔法か魔術を使うタイミングで目視出来れば、確実に反撃出来るのですが……」
視認できれば確実に術式破壊で術式発動を消す自信はあります。が、敵の動きからすると、早々には出来ないでしょう。こちらから仕掛ける? どうやって? こういう時にお嬢様が居れば良いアイデアを頂けるのでしょうが、残念ながら私には無理そうですね。
「徹底して追い掛ける……と、いう手はダメなのでしょうか?」
ウィラ様がメイス片手にボソリと呟きます。確かにそれも一つではありそうなんですけど、逆に罠を張られる可能性を考慮すると危険な賭けと言えるでしょうね。
「さすがに、危険を冒してまで対峙する必要は無い……と、言いたいところだけど、ここまで精神的に追い詰められてくると、それが最も良いのかもしれないと思ってしまう」
「――もうしばらくは冷静に対処していきましょう。向こうはもしかするとこちらが安直な動きをするのを狙っている可能性もあります。出来るだけ下の階層に行く事を前提にして、相手の隙を探しましょう」
私は会話をしている間に少し冷静さを取り戻すことが出来たので、そう提案する。皆は少し考えるような仕草をした後で「確かに」と、納得頂きました。上層のような狭い通路でこの状況であれば、冷静さを欠いていた可能性もあります。中層が基本的に通路が広めで空間的には広く感じる部分で助かったと言えるでしょう。
「それにしても、敵は何が目的なんだろうね……」
「それに関しては幾つか思い当たる事があります。まぁ、『黒狼』様含め皆様がこちらに偶然来ていた事で助かったのは本当に感謝としか言えませんね」
本当のところを言うと、クーベルト辺境伯とお嬢様の組み合わせを考えると魔物などにはやられるような方々では無く、最も私が恐れているのはお嬢様が暴走しないかどうか。と、いうところです。理知的で様々な発想に富むお嬢様ですが、すこーしばかりズレてらっしゃるし、異常にクーベルト辺境伯に対して甘いのです。時間が経てば経つほど、お嬢様は閣下に対して多くの機密を喋っていそうなんですよね。それに閣下もお嬢様に対して妙な視線を送っている時があるので、出来れば二人きりにするのは問題だと思っています。
ともかくです。この状況を変えるとすれば、もう一つ……何かがなければ難しそうなんですよね。
見えない敵――と、言えば良いのでしょうか、ずっと付かず離れずといった状態で警戒を解くことが出来ぬまま、魔物との戦闘を熟し、罠を解除しを繰り返している為に思った以上に肉体的、精神的に……そして魔力的にも消耗する一方の状態を続けている所為でジワジワと苛立ちが広がっております。
常に冷静を心がけているロディ様も舌打ちをする回数が増え、あまり喋らないティラ様はもっと喋らない状態に、ウィラ様も支援を切らしたり、メイスで敵を殴りつける状況も増えてきており、私もいけないとは思いつつ小さく溜息を吐いてはダメだと心の中で呟いて――
「はぁ……やはり、このままではダメですね」
思わず声に出してしまいました。全員の視線が私に向きます。当然、皆も苛立った雰囲気が見て取れるので、似たような事を考えていたのでしょう。
「……ですね。ここで冷静さを失えば敵の思う壺なのは確かです。しかし、どうにかなりませんかね。微妙なタイミングでチラリと探知に掛かったり、魔物をこちらに追いやってきたりと――」
ロディ様がそう言うと、ウィラ様がそれに乗っかって口を開きます。
「ですよね、性格最悪だと思います。もしあんなのが婚約者だったらゾッとします」
「ウィラ様、分かります。そのお気持ち――ああいう捻じ曲がった事が出来る人だけは絶対に嫌ですね」
と、私とウィラ様がそう言うと、ティラ様もコクコクと頷いた。女性陣の思いは一つでございます。まぁ、そんな事はさておき、見えざる敵をこちらからも幾度か追いかけたのですが、行く先には誰もおらず。可能な限り相手せずに先に進もうと皆で決めたのは良かったのですが、このありさまです。
「どんな奴かは別として、こちらを消耗させようという意図は確実だと思う。私個人としては不毛な戦いは避けたいのだが、どうにか相手を出し抜く手はないだろうか?」
「現状は残念ながら。ただ、敵が魔法か魔術を使うタイミングで目視出来れば、確実に反撃出来るのですが……」
視認できれば確実に術式破壊で術式発動を消す自信はあります。が、敵の動きからすると、早々には出来ないでしょう。こちらから仕掛ける? どうやって? こういう時にお嬢様が居れば良いアイデアを頂けるのでしょうが、残念ながら私には無理そうですね。
「徹底して追い掛ける……と、いう手はダメなのでしょうか?」
ウィラ様がメイス片手にボソリと呟きます。確かにそれも一つではありそうなんですけど、逆に罠を張られる可能性を考慮すると危険な賭けと言えるでしょうね。
「さすがに、危険を冒してまで対峙する必要は無い……と、言いたいところだけど、ここまで精神的に追い詰められてくると、それが最も良いのかもしれないと思ってしまう」
「――もうしばらくは冷静に対処していきましょう。向こうはもしかするとこちらが安直な動きをするのを狙っている可能性もあります。出来るだけ下の階層に行く事を前提にして、相手の隙を探しましょう」
私は会話をしている間に少し冷静さを取り戻すことが出来たので、そう提案する。皆は少し考えるような仕草をした後で「確かに」と、納得頂きました。上層のような狭い通路でこの状況であれば、冷静さを欠いていた可能性もあります。中層が基本的に通路が広めで空間的には広く感じる部分で助かったと言えるでしょう。
「それにしても、敵は何が目的なんだろうね……」
「それに関しては幾つか思い当たる事があります。まぁ、『黒狼』様含め皆様がこちらに偶然来ていた事で助かったのは本当に感謝としか言えませんね」
本当のところを言うと、クーベルト辺境伯とお嬢様の組み合わせを考えると魔物などにはやられるような方々では無く、最も私が恐れているのはお嬢様が暴走しないかどうか。と、いうところです。理知的で様々な発想に富むお嬢様ですが、すこーしばかりズレてらっしゃるし、異常にクーベルト辺境伯に対して甘いのです。時間が経てば経つほど、お嬢様は閣下に対して多くの機密を喋っていそうなんですよね。それに閣下もお嬢様に対して妙な視線を送っている時があるので、出来れば二人きりにするのは問題だと思っています。
ともかくです。この状況を変えるとすれば、もう一つ……何かがなければ難しそうなんですよね。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
【完結済】悪役令嬢の妹様
紫
ファンタジー
星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。
そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。
ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。
やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。
―――アイシアお姉様は私が守る!
最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する!
※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>
既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
異世界転生した私は甘味のものがないことを知り前世の記憶をフル活用したら、甘味長者になっていた~悪役令嬢なんて知りません(嘘)~
詩河とんぼ
恋愛
とあるゲームの病弱悪役令嬢に異世界転生した甘味大好きな私。しかし、転生した世界には甘味のものないことを知る―――ないなら、作ろう!と考え、この世界の人に食べてもらうと大好評で――気づけば甘味長者になっていた!?
小説家になろう様でも投稿させていただいております
8月29日 HOT女性向けランキングで10位、恋愛で49位、全体で74位
8月30日 HOT女性向けランキングで6位、恋愛で24位、全体で26位
8月31日 HOT女性向けランキングで4位、恋愛で20位、全体で23位
に……凄すぎてびっくりしてます!ありがとうございますm(_ _)m
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
貧乏で凡人な転生令嬢ですが、王宮で成り上がってみせます!
小針ゆき子
ファンタジー
フィオレンツァは前世で日本人だった記憶を持つ伯爵令嬢。しかしこれといった知識もチートもなく、名ばかり伯爵家で貧乏な実家の行く末を案じる毎日。そんな時、国王の三人の王子のうち第一王子と第二王子の妃を決めるために選ばれた貴族令嬢が王宮に半年間の教育を受ける話を聞く。最初は自分には関係のない話だと思うが、その教育係の女性が遠縁で、しかも後継者を探していると知る。
これは高給の職を得るチャンス!フィオレンツァは領地を離れ、王宮付き教育係の後継者候補として王宮に行くことになる。
真面目で機転の利くフィオレンツァは妃候補の令嬢たちからも一目置かれる存在になり、王宮付き教師としての道を順調に歩んでいくかと思われたが…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる