180 / 314
第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
180.悪役令嬢は悪役令嬢と新しい技術体系について話をする
しおりを挟む
あれから、その日の内に私達はハーブスト公爵家の屋敷まで到着し、翌日に私の部屋でリンリィと話をする事になった。因みにお母様は長兄と家令に挨拶と現状の領地経営についての話をするらしいので、本日は自由行動となったのよ。
なので、リンリィと私達が目指している例のブツを作る為の会議をしよう。と、いう話になったのだ。そして、現在、客室からリンリィがやって来て、共にお茶をして、一息ついたところで本題に入るのであった。
「やはり結界の魔道具は必須ですよね」
「まぁ、誰が聞いているか分からない――我が家であったとしてもね」
そういうと、リンリィは納得するように頷いた。そして、私は端末を幾つか置き、これからの話を始める。
「リファレンスを見た限りの話だけど、完全な解析は絶対的に無理だということは分かったわ。お母様は諦めて無いようだけど、あの手の術式は複雑すぎて、ある程度までは読み解けると思うけれどね」
「――ですね。それは私も同意見です。それに目指している方向性が違うとも思いました」
リンリィの言葉に私は頷く。そう、アレは魔導洞窟用に作られたシステムで、私達が目指しているのは汎用OSを搭載したPCなのだから。
「基礎的な設計の元には使えそうな部分というのは結構あると思う。ただ、ハードウェア的な部分がなんとも――なのよね」
「そうですね。ただ、考えたんですけど、以前、エステリア様が作っていた魔力電池と魔力から電力を生み出して、電力を魔力に変換する。と、いう方向性は出来そうな気がします」
「え? マジ?」
と、私が思わず言うと、リンリィは「マジです」と、楽し気に返して来る。ってか、リンリィってばホントに天才なのでは?
「どういう方法を使うの?」
「ずっと考えていたんですけど、魔力によって生み出された効果というのは魔力を含んでいますよね?」
「それは確かにそうね。でも、生み出した効果を魔力に転換するのは凄く難しいと思うんだけど」
同じことは私も何度か実験したのよ。でも、生み出した効果を魔力に戻そうとすると、霧散したり、そもそも効果が消えたりして、残留魔力はあっても、次につながるような効果に必要な魔力量としては不十分だった。そこで考えたのが『増幅器』だったんだけど、これも上手くいかなかった。
「えっと、リファレンス内にあった術式で、魔力を維持する術式があったので、こうして――こういう繋がりでやれば、可能では無いかと」
と、リンリィはそう言いながらフローチャートを描いていく。
「なるほど、起動の後に増幅して、発現効果に含まれる魔力を維持して、転換のループが出来るかどうか――と、いう感じね」
「はい。これが可能であれば、様々な部分を機械的なモノに置き換える事が可能で、起動時などには絶対に魔力が必要にはなりますが、あの魔導洞窟の管理システムで使われていた端末のように無駄に多くの魔力を使う必要は無くなるはずです」
ハード側の設計は私には出来ない気がするけれど、そこはリンリィ任せになってしまう。
「あと、一つ出来ればいいなぁ――と、思っているのが魔石に複数の魔術を入れる事が出来るかどうかなんですけど」
リンリィの言葉に私はニヤリとする。そこに関しては実はクリア済みではある。これはお母様にはまだ言っていないのだけど――いや、お母様も気が付いてはいると思う。多重圧縮の魔術式というのは本来膨大な魔力を必要とするので、入れれる魔石に制限がある。しかし、お母様のように小難しい巨大な魔術をぶち込もうとするから、出来ないのであって、同じ単純な術式を大量に詰め込むという方法であれば、魔石の欠片にでも封入可能なのだ。
「はい、これを見て。まだお母様にも見せてない物だけど――」
と、米粒程度の魔石をソッとリンリィの掌に置く。
「こ、これは――灯火《トーチ》の圧縮術式を大量に入れた圧縮術式ですか?」
「そう、ホントに単純な魔術を大量に多重圧縮しただけで、並列には起動せずに一方から順に魔力が通って行くだけで、光も最小限レベルに単純化したモノだから、普通に考えたら役に立たない術式とも言えるわね」
普通はこれが役に立つ術式とは誰も思わない。この必要性を分かるのは私達、悪役令嬢の集まりでも彼女くらいだと私は思う。そして、その可能性を即座に理解したのか彼女は驚きの表情を浮かべている。
「確かに普通は役に立たない術式ですね。でも、私はエステリア様がやりたいことを理解しましたし、これは凄いですね。どれくらいの小ささまで魔石を小さく出来るのでしょう? それに入る術式限界も知りたいですね」
「うーん、そこまでの実験はまだ出来ていないけど、たぶん砂粒くらいまでなら、この術式は入ると思う。どう? これって、使えそう?」
私がそう言うと彼女は眼鏡をクイッとして親指を立てた。フフッ、いいじゃない。
なので、リンリィと私達が目指している例のブツを作る為の会議をしよう。と、いう話になったのだ。そして、現在、客室からリンリィがやって来て、共にお茶をして、一息ついたところで本題に入るのであった。
「やはり結界の魔道具は必須ですよね」
「まぁ、誰が聞いているか分からない――我が家であったとしてもね」
そういうと、リンリィは納得するように頷いた。そして、私は端末を幾つか置き、これからの話を始める。
「リファレンスを見た限りの話だけど、完全な解析は絶対的に無理だということは分かったわ。お母様は諦めて無いようだけど、あの手の術式は複雑すぎて、ある程度までは読み解けると思うけれどね」
「――ですね。それは私も同意見です。それに目指している方向性が違うとも思いました」
リンリィの言葉に私は頷く。そう、アレは魔導洞窟用に作られたシステムで、私達が目指しているのは汎用OSを搭載したPCなのだから。
「基礎的な設計の元には使えそうな部分というのは結構あると思う。ただ、ハードウェア的な部分がなんとも――なのよね」
「そうですね。ただ、考えたんですけど、以前、エステリア様が作っていた魔力電池と魔力から電力を生み出して、電力を魔力に変換する。と、いう方向性は出来そうな気がします」
「え? マジ?」
と、私が思わず言うと、リンリィは「マジです」と、楽し気に返して来る。ってか、リンリィってばホントに天才なのでは?
「どういう方法を使うの?」
「ずっと考えていたんですけど、魔力によって生み出された効果というのは魔力を含んでいますよね?」
「それは確かにそうね。でも、生み出した効果を魔力に転換するのは凄く難しいと思うんだけど」
同じことは私も何度か実験したのよ。でも、生み出した効果を魔力に戻そうとすると、霧散したり、そもそも効果が消えたりして、残留魔力はあっても、次につながるような効果に必要な魔力量としては不十分だった。そこで考えたのが『増幅器』だったんだけど、これも上手くいかなかった。
「えっと、リファレンス内にあった術式で、魔力を維持する術式があったので、こうして――こういう繋がりでやれば、可能では無いかと」
と、リンリィはそう言いながらフローチャートを描いていく。
「なるほど、起動の後に増幅して、発現効果に含まれる魔力を維持して、転換のループが出来るかどうか――と、いう感じね」
「はい。これが可能であれば、様々な部分を機械的なモノに置き換える事が可能で、起動時などには絶対に魔力が必要にはなりますが、あの魔導洞窟の管理システムで使われていた端末のように無駄に多くの魔力を使う必要は無くなるはずです」
ハード側の設計は私には出来ない気がするけれど、そこはリンリィ任せになってしまう。
「あと、一つ出来ればいいなぁ――と、思っているのが魔石に複数の魔術を入れる事が出来るかどうかなんですけど」
リンリィの言葉に私はニヤリとする。そこに関しては実はクリア済みではある。これはお母様にはまだ言っていないのだけど――いや、お母様も気が付いてはいると思う。多重圧縮の魔術式というのは本来膨大な魔力を必要とするので、入れれる魔石に制限がある。しかし、お母様のように小難しい巨大な魔術をぶち込もうとするから、出来ないのであって、同じ単純な術式を大量に詰め込むという方法であれば、魔石の欠片にでも封入可能なのだ。
「はい、これを見て。まだお母様にも見せてない物だけど――」
と、米粒程度の魔石をソッとリンリィの掌に置く。
「こ、これは――灯火《トーチ》の圧縮術式を大量に入れた圧縮術式ですか?」
「そう、ホントに単純な魔術を大量に多重圧縮しただけで、並列には起動せずに一方から順に魔力が通って行くだけで、光も最小限レベルに単純化したモノだから、普通に考えたら役に立たない術式とも言えるわね」
普通はこれが役に立つ術式とは誰も思わない。この必要性を分かるのは私達、悪役令嬢の集まりでも彼女くらいだと私は思う。そして、その可能性を即座に理解したのか彼女は驚きの表情を浮かべている。
「確かに普通は役に立たない術式ですね。でも、私はエステリア様がやりたいことを理解しましたし、これは凄いですね。どれくらいの小ささまで魔石を小さく出来るのでしょう? それに入る術式限界も知りたいですね」
「うーん、そこまでの実験はまだ出来ていないけど、たぶん砂粒くらいまでなら、この術式は入ると思う。どう? これって、使えそう?」
私がそう言うと彼女は眼鏡をクイッとして親指を立てた。フフッ、いいじゃない。
0
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
【完結】長男は悪役で次男はヒーローで、私はへっぽこ姫だけど死亡フラグは折って頑張ります!
くま
ファンタジー
2022年4月書籍化いたしました!
イラストレータはれんたさん。とても可愛いらしく仕上げて貰えて感謝感激です(*≧∀≦*)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
池に溺れてしまったこの国のお姫様、エメラルド。
あれ?ここって前世で読んだ小説の世界!?
長男の王子は悪役!?次男の王子はヒーロー!?
二人共あの小説のキャラクターじゃん!
そして私は……誰だ!!?え?すぐ死ぬキャラ!?何それ!兄様達はチート過ぎるくらい魔力が強いのに、私はなんてこった!!
へっぽこじゃん!?!
しかも家族仲、兄弟仲が……悪いよ!?
悪役だろうが、ヒーローだろうがみんな仲良くが一番!そして私はへっぽこでも生き抜いてみせる!!
とあるへっぽこ姫が家族と仲良くなる作戦を頑張りつつ、みんなに溺愛されまくるお話です。
※基本家族愛中心です。主人公も幼い年齢からスタートなので、恋愛編はまだ先かなと。
それでもよろしければエメラルド達の成長を温かく見守ってください!
※途中なんか残酷シーンあるあるかもなので、、、苦手でしたらごめんなさい
※不定期更新なります!
現在キャラクター達のイメージ図を描いてます。随時更新するようにします。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる