悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る

180.悪役令嬢は悪役令嬢と新しい技術体系について話をする

 あれから、その日の内に私達はハーブスト公爵家の屋敷まで到着し、翌日に私の部屋でリンリィと話をする事になった。因みにお母様は長兄と家令に挨拶と現状の領地経営についての話をするらしいので、本日は自由行動となったのよ。

 なので、リンリィと私達が目指している例のブツを作る為の会議をしよう。と、いう話になったのだ。そして、現在、客室からリンリィがやって来て、共にお茶をして、一息ついたところで本題に入るのであった。

「やはり結界の魔道具は必須ですよね」
「まぁ、誰が聞いているか分からない――我が家であったとしてもね」

 そういうと、リンリィは納得するように頷いた。そして、私は端末を幾つか置き、これからの話を始める。

「リファレンスを見た限りの話だけど、完全な解析は絶対的に無理だということは分かったわ。お母様は諦めて無いようだけど、あの手の術式は複雑すぎて、ある程度までは読み解けると思うけれどね」
「――ですね。それは私も同意見です。それに目指している方向性が違うとも思いました」

 リンリィの言葉に私は頷く。そう、アレは魔導洞窟ダンジョン用に作られたシステムで、私達が目指しているのは汎用OSを搭載したPCなのだから。

「基礎的な設計の元には使えそうな部分というのは結構あると思う。ただ、ハードウェア的な部分がなんとも――なのよね」
「そうですね。ただ、考えたんですけど、以前、エステリア様が作っていた魔力電池と魔力から電力を生み出して、電力を魔力に変換する。と、いう方向性は出来そうな気がします」
「え? マジ?」

 と、私が思わず言うと、リンリィは「マジです」と、楽し気に返して来る。ってか、リンリィってばホントに天才なのでは?

「どういう方法を使うの?」
「ずっと考えていたんですけど、魔力によって生み出された効果というのは魔力を含んでいますよね?」
「それは確かにそうね。でも、生み出した効果を魔力に転換するのは凄く難しいと思うんだけど」

 同じことは私も何度か実験したのよ。でも、生み出した効果を魔力に戻そうとすると、霧散したり、そもそも効果が消えたりして、残留魔力はあっても、次につながるような効果に必要な魔力量としては不十分だった。そこで考えたのが『増幅器』だったんだけど、これも上手くいかなかった。

「えっと、リファレンス内にあった術式で、魔力を維持する術式があったので、こうして――こういう繋がりでやれば、可能では無いかと」

 と、リンリィはそう言いながらフローチャートを描いていく。

「なるほど、起動の後に増幅して、発現効果に含まれる魔力を維持して、転換のループが出来るかどうか――と、いう感じね」
「はい。これが可能であれば、様々な部分を機械的なモノに置き換える事が可能で、起動時などには絶対に魔力が必要にはなりますが、あの魔導洞窟ダンジョンの管理システムで使われていた端末のように無駄に多くの魔力を使う必要は無くなるはずです」

 ハード側の設計は私には出来ない気がするけれど、そこはリンリィ任せになってしまう。

「あと、一つ出来ればいいなぁ――と、思っているのが魔石に複数の魔術を入れる事が出来るかどうかなんですけど」

 リンリィの言葉に私はニヤリとする。そこに関しては実はクリア済みではある。これはお母様にはまだ言っていないのだけど――いや、お母様も気が付いてはいると思う。多重圧縮の魔術式というのは本来膨大な魔力を必要とするので、入れれる魔石に制限がある。しかし、お母様のように小難しい巨大な魔術をぶち込もうとするから、出来ないのであって、同じ単純な術式を大量に詰め込むという方法であれば、魔石の欠片にでも封入可能なのだ。

「はい、これを見て。まだお母様にも見せてない物だけど――」

 と、米粒程度の魔石をソッとリンリィの掌に置く。

「こ、これは――灯火《トーチ》の圧縮術式を大量に入れた圧縮術式ですか?」
「そう、ホントに単純な魔術を大量に多重圧縮しただけで、並列には起動せずに一方から順に魔力が通って行くだけで、光も最小限レベルに単純化したモノだから、普通に考えたら役に立たない術式とも言えるわね」

 普通はこれが役に立つ術式とは誰も思わない。この必要性を分かるのは私達、悪役令嬢の集まりでも彼女くらいだと私は思う。そして、その可能性を即座に理解したのか彼女は驚きの表情を浮かべている。

「確かに普通は役に立たない術式ですね。でも、私はエステリア様がやりたいことを理解しましたし、これは凄いですね。どれくらいの小ささまで魔石を小さく出来るのでしょう? それに入る術式限界も知りたいですね」
「うーん、そこまでの実験はまだ出来ていないけど、たぶん砂粒くらいまでなら、この術式は入ると思う。どう? これって、使えそう?」

 私がそう言うと彼女は眼鏡をクイッとして親指を立てた。フフッ、いいじゃない。
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