悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る

207.悪役令嬢は王女と共に魔法技術大会の優勝者に言葉を掛ける

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「まぁ、当然の結果だな」

 と、アリエルはつまらなさそうにそう言った。まぁ、アリエルは武闘大会のような魔法戦での競技であればと幾度も言っていたので、もっと熱いバトル展開を望んでいたのは分かるけど、そうなるとリンリィでも勝てるかどうか。と、私は考えていた。

「魔法による防御に関しても競技にすればいいのにね」

 私がそう言うとアリエルは「そんなのいる?」と、思わず素で返事して周囲を確認して小さく咳払いをする。

「やられる前にヤレ。が、一番いいのではないか? そこまで防御を重要視する意味がイマイチわからぬのだが――」
「私は防御系の魔法や魔術は基礎的な部分として重要視したいと思っているわ。防御方法を知れば生存率が確実に上がる事を考えれば大事でしょ?」
「なるほど。しかし、魔力系の防御は基本的に魔力量に依存する場合が殆どだろう?」

 と、アリエルは言うが、そこも術式と方法を考えれば魔力量の問題をある程度クリアする事が出来る。

「そもそも、お主らの場合は魔法を発動させる前に止めれるだろう?」
「まぁ、それはそうだけど、これから技術的に発展していくと、その技術も難しいモノになっていくから、防御系の術式が重要だと遅かれ早かれ気付く筈よ」

 まぁ、そう言いながらもアリエルみたいに天性の素質で魔法が使えて、近接戦闘もずば抜けているタイプには意味がない――と、言っても問題無いわけだけど、多くの者達はそうでは無い。と、いうことを考えればやはり防御系統の履修は重要なハズよ。

「そういうものなのか――ふむ、一考の余地アリか」
「一応、防御と攻撃を同時に行うみたいなやり方も出来るし、戦術は広がるわよ」
「なるほどな」

 これはお母様から叩きこまれたところもあるのだけど、咄嗟に防御魔法が使えるかどうかってのは大事なのよね。それに魔術であれば、もっと複雑な防御結界なんかも使えるわけだし、様々な手段がある方が絶対的に有利になるのはあからさまって話なのよね。

「お嬢様、そろそろお時間となります」

 と、ナスターシアが声を掛けて来てアリエルは「分かった」と、楽し気にスッと立ち上がる。私もそれについて行く形で立ち上がり、会場に用意されている壇上へ向かう。

『本日は優勝者への表彰授与にアリエル殿下にお越しいただいております。皆様、盛大なる拍手でお迎えください』

 司会進行の生徒がそう言うと、会場から一斉に拍手が鳴り、アリエルは一瞬私を見て面倒臭そうな視線を向けるが、ニコリと私が微笑むと「むー」と、言いながら堂々たる姿で壇上へ上がる。

 そして、拡声の魔道具を手渡されそうになったアリエルはカッコつけてそれを拒否し、お母様と同じように魔法を多重発動させ、会場全体に声を響かせる。

『今日は一日、非常に楽しませて貰った。我がミストリアには素晴らしい魔術師となる逸材が多くいる事に私は満足している。そして、この魔法競技大会において素晴らしい結果を残した、アーマリア侯爵令嬢リンリィに敬意を表したい』

 はぁ、見様見真似でお母様の魔法をさらっと再現するところが、この娘が天才って思うところよね。既に知っている術式だから、私には出来るけれど、幾度か練習しなければ難しいと思うわ。

 そんな事を思っていると、案内役に呼ばれたリンリィが壇上へやって来るわけだけど、凄く近況しているわね。

「ご、御前を失礼いたします。アーマリア侯爵が娘リンリィ、お呼びにまかりこしました」

 そして、こういう時は私が先に対応するのが慣習なので、私はアリエルの魔法をサラッと改変して、周囲の音を拾うようにしてから、出来るだけ静かに落ち着いた雰囲気で声を出す。

「面をあげなさい。アリエル殿下より、表彰を行います」
「は、はいっ」

 そう言ってアリエルを見ると何とも言い難い表情を隠しながら小さく咳払いをして、傍に居た学園長から表彰状を受け取って、リンリィに手渡す。

「これからも、精進することを願う。魔法競技大会優勝者としてこれからの活躍を期待する」

 と、言った時の表情がややニヤケ顔でリンリィも思わずへにゃりと微笑むのであった。なんとも、嬉し恥ずかしな感じだけど、やっぱり喜ばしいわね。リンリィが頑張ったからだもの。後で、他の娘達も褒めちぎりに行こうと心に決めつつ、周囲には悟られないようにリンリィにそっと紙を手渡す。

「また、来年もここで観覧することを楽しみにしている」

 アリエルはそう言って身を翻し、学園長にも礼を言ってから会場を後にする。私もそれについて行く形で会場を後にした。

「ふぅー、緊張した」
「まだ、学園内なのだから、気を緩めない。近衛も笑いを堪えている者がいるわよ」
「ふんっ、知らん。あー、エステリアはまだ帰らぬのだな?」
「ええ、この後、今日大会に出ていた者達に会ってから帰る予定だから」
「あいわかった。今日は付き合ってくれて助かった」

 と、アリエルは楽しそうにそう言った。なんと言っても久しぶりの外出ですものね。まぁ、本当ならクリフト殿下が来る予定だったわけだけど。そんなやり取りをしながら、学園の前に用意された馬車まで見送ってから、私はアリエルと別れた。

「さて、戻るとしますか。あ、エルーサ。お母様達は?」
「既に会場を後にしているそうです。ディラン様は先程までは居たそうですが、フラッとどこかへ消えたそうです」
「まぁ、ディラン兄様はそういう方だからしかたないわね。では、エルーサ。今日は許可を取ってあるのでサロンまでついて来て頂戴ね」
「はい、よろこんで」

 そうして、私は既に集まっているであろう者達が待つサロンへ向かうのであった。
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