悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る

221.悪役令嬢は武闘大会を楽しむ その6

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「考えると騎士爵家の達は意外と面白いわね」

 と、私の呟きに周囲の視線が集まる。いや、実際なかなかに面白い子が多いのだ。華奢な身体から超強力な一撃が狙えるティルヘイム騎士爵令嬢フィリアンヌや、魔力の扱いが得意なウェーベラント騎士爵令嬢ハーファリア、そして、先程の試合で登場したバロール騎士爵令嬢ミルレーンも速度重視の斥候タイプの戦闘スタイルで相手を翻弄しつつも、古武術っぽい武術というのは流石に面白かった。

「気になったのだけど、各家に体術ってあるのかしら? 大帝国とかでも流派的なものとかもあったりするのかしら?」

 私の質問に皆が不思議そうな顔をする。この反応はそういう感じの技術体系はないのかもしれない。

「――確かにバロール騎士爵など体術が得意だという話は聞いた事があります。しかし、体術というのは戦場での技術と言われることはあるのですが、無手で戦うのは普通は考えられない話ですからね」

 ルアーナの言葉に私は「なるほどね」と、答えながら戦場での戦い方や冒険者の戦い方を考えると確かに武闘家みたいな拳で戦うみたいなスタイルは見たことも聞いたことも無いことに気が付く。ある程度武器のリーチがあった方が有利だし、魔法もあるし、肉弾戦をするってのはとても非効率だから、この世界では重視されていないのかもしれない。

「今日はこの辺りで終わりかしら――」
「ですね。明日も予選が続きますし、本日はこちらで解散いたしますか?」

 と、ミーリアが落ち着いた雰囲気でそう言ったのを私は少しだけ考える仕草を見せてから素直に返答を返す。

「そうね。明日の事を考えればこちらで解散しておきましょう」

 私はそう言って席を立ち、皆を伴って会場を後にしてエルーサと合流して馬車に乗り家に帰る。

 帰りの馬車の中で珍しくエルーサが口を開く。

「お嬢様、今日は楽しめたようですね」
「ええ、そうね」

 と、返事をしたけれど、そんなに表情に出ていたのだろうか。それに自分ではそこまで楽しい! と、いう感じでは無かったけれど、楽しくなかったか? と、聞かれれば楽しかったので間違いでは無い。

「お母様にも相談案件が幾つかあるのだけど、それより前にエルーサにはお願いしておこうかしら」
「――お嬢様が望むなら聞きますよ」
「キチンと話を聞いてから判断なさいよ」

 私がそう言うとエルーサは何事も無かったかのように「お嬢様が私に無理を強いるなど無いと思っていますから」と、言う。まぁ、それは当然だと思うけど、ちょっと納得がいかないわ。

「で、どのようなことをすればよろしいのですか?」
「定期的に行っている訓練会で、何人かエルーサに面倒を見て貰おうと思うのだけど、どうかしら?」
「なるほど。将来的にお嬢様の下に付けることが可能な人材を育てよ――と、いうことでしょうか?」

 そこまで仰々しいモノではないけど、まぁ、間違ってはいない。

「ええ、それから幾人かには私が作った武器を渡そうと思っているの――これに関してはお母様に許可を取らないと後々面倒になりそうだし」
「それは当然ですね。ハッキリ言って拒否する意味が無いくらいのお話でしたね」

 と、言いながらも楽し気に微笑むエルーサ。時折、こういった意地悪を言うのだけど、その時は絶対に楽し気なところ、前から思ってはいたけど、エルーサって絶対にドSだわ。

「そういえば、武器と言えば魔銃や魔導剣を渡すということでしょうか?」
「魔銃や魔剣――魔導剣は出来るだけ知られないようにしておきたいわね」
「それはその方がよいでしょうね。あの武器は携帯携行性が高い上に性能としても使い方を熟知すれば、暗器としても有用ですから」

 そう、それが一番の問題なんだよね。女王やお父様も表には見えないように空間収納アイテムボックスに入れているらしいし、閣下からも外では使わないようにと言われているのよね。魔導洞窟ダンジョンでもブンブン振り回したけど、見られていた可能性も無くは無い話だけど、まぁ、その辺りは周囲の人達がなんとかしているのでしょう。

 後はアレね、ツヴァイハンダーを作るのと、盾形――と、いうより盾としても機能する魔道具を作るのをお母様に報告しておかないとね。

 そんな事を言っている間に我が家に到着し、エルーサにエスコートされて馬車を降りる。

「やぁ、おかえり」
「あら、ディラン兄様。これからお出かけなのかしら?」

 と、私が言うと次兄は「いや、今帰って来たところだよ」と、相変わらずの飄々とした雰囲気でそう言った。生真面目なタイプの長兄に比べて、この人って何を考えているか全然分からない感じなのよね。まぁ、優しい兄だし、悪い感じは無いのだけど。

「武闘大会の方はどうだい? エステリアは決勝のみの参加だって噂を聞いたけど」
「どこ情報ですか――まぁ、その通りではあるんですけど」
「はっはっはっ、本当だったんだね。それは残念だね。まぁ、それまでゆっくり仲間達の活躍を見守っておくことだね」

 そう言いながら次兄はスッと腕を出し、私は小さく溜息を吐いてからその腕を取って屋敷の中へ向かうのであった。
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