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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
222.悪役令嬢の護衛騎士見習いは主を想う
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力を上手く制御しながら渾身の一撃で自身の兄を吹き飛ばす。少し前までならこんなことは出来なかった――全てはエステリア様のおかげだ。
彼女はアリエル殿下の騎士となって欲しいと思っているようですが、残念ながら私はエステリア様の騎士でありたいと思っている。正直、正式な護衛騎士と任命されるのは高学に入ってからになるが、それまでにエステリア様に認められる騎士となりたい。
「ったく、いきなり強くなっているのはどういうことだい?」
兄が立ち上がりズボンに付いた砂埃を払うけれど、汚れは全く落ちていないのは洗濯しないとどうにもならないだろう。
「エステリア様から多くを学んでいますからね」
と、私が言うと兄は悔し気に「くぅ~、羨ましい!」と、言ったけれど、ここで俺にも教えろと言わないあたりが兄が良い人である証拠だ。
「兄上の方はどうですか?」
「うーむ、クリフト殿下も中々に向上心のあるお方ではあるのだが、どちらかと言えば力任せなところがあるからなぁ。俺もそうではあるが、お前を見ているとそれではいかんと思うところだ。先日、父上にも相談したのだがな――なかなか答えに辿り着けていない」
そう言いながら兄は再び剣を構える。
「さぁ、もう一本いこうか!」
「は、はい! 兄上!」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
その後、数回兄と手合わせをしていたが、母に「いい加減になさい」と、止められて私達は苦笑しつつ止めざるを得なかった。
「くぅ、10本やって半分以上も妹にしてやられるとは……」
「マルコが弱いワケではありません。ルアーナが少しだけ強かっただけです。マルコがより強くなりたければ自身で気付かねばなりませんね」
と、母上は私がどうやって強くなったかを理解しているようだ。騎士として父と母は赤鬼青鬼という二つ名を持っていて、特に母上はグラファスの赤い鬼神とも呼ばれている上級騎士でもある。その辺りは当然といえば当然かもしれない。
「それにしても、ルアーナはよく研鑽していますね」
「すべてはエステリア様のおかげです」
そう言うと母上は「さすがはステファニー様の娘ですか」と、興味深そうにそう呟いた。周辺国でも有名なミストリアの双子姉妹であり、現女王のキャロライン陛下とハーブスト公爵夫人であるステファニー様と共に戦った事がある父と母の話は幾度も聞いたことがあるし、ミストリア内でも伝説的な将でもある。母曰く「我が家はキャロライン様派閥です」と、言っているがステファニー様のことも大概大好きな感じがある。
「二人が王家を守るための力をより高める為のヒントを母から少しだけ教えてあげましょう」
自身で気付けといいつつも、こうしてヒントを与えてくれるあたり、母上は激甘なのだけど、おかげで私も兄上も強くなったと言える。父上も相当の使い手ではあるけど、正直、教えるのは苦手なようだけど、兄は父から学ぶことは多いと常に言っているので、何か感じるところがあるのだろう。
「身体強化の扱いを考える事よ」
「――身体強化の扱い?」
と、兄は不思議そうな表情を浮かべる。これは私がエステリア様に言われた事と同じだった。ある程度、強者と言われる人達はこれに気が付くのだろう。そして、若干10歳にして、その答えに辿り着いているエステリア様は本当に凄いお方だ。
「さ、これ以上は自身で解決なさい。これは昔、伸び悩んでいた私にかの方が言ったのよ。『例えヒントがあったとて、自身で得ることが重要だ』とね。二人とももっと強くなれるわ。なんと言っても私と旦那様の子なのだから」
母上は楽し気にそう言って「さ、屋敷に戻るわよ」と、歩き出す。母上が言ったかの方はキャロライン陛下かステファニー様のどちらか――いいえ、二人に言われた可能性もあるかもしれない。
そう考えると剣の腕では私より上というアリエル殿下の事も気になってくるけれど、やはり、私はエステリア様の護衛騎士になりたいという気持ちが溢れ出す。
学園の催しである武闘大会にクリフト殿下の側近となる兄を含め誰も参加していない事が悔やまれる――けれども、エステリア様が突出し過ぎても継承権を含めた問題に発展しそうで如何ともいえぬ感じなのがもどかしい。
エステリア様はアリエル殿下を支えると仰っておられる。私はそのエステリア様をいかにして支える事が出来るのだろうか?
彼女はアリエル殿下の騎士となって欲しいと思っているようですが、残念ながら私はエステリア様の騎士でありたいと思っている。正直、正式な護衛騎士と任命されるのは高学に入ってからになるが、それまでにエステリア様に認められる騎士となりたい。
「ったく、いきなり強くなっているのはどういうことだい?」
兄が立ち上がりズボンに付いた砂埃を払うけれど、汚れは全く落ちていないのは洗濯しないとどうにもならないだろう。
「エステリア様から多くを学んでいますからね」
と、私が言うと兄は悔し気に「くぅ~、羨ましい!」と、言ったけれど、ここで俺にも教えろと言わないあたりが兄が良い人である証拠だ。
「兄上の方はどうですか?」
「うーむ、クリフト殿下も中々に向上心のあるお方ではあるのだが、どちらかと言えば力任せなところがあるからなぁ。俺もそうではあるが、お前を見ているとそれではいかんと思うところだ。先日、父上にも相談したのだがな――なかなか答えに辿り着けていない」
そう言いながら兄は再び剣を構える。
「さぁ、もう一本いこうか!」
「は、はい! 兄上!」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
その後、数回兄と手合わせをしていたが、母に「いい加減になさい」と、止められて私達は苦笑しつつ止めざるを得なかった。
「くぅ、10本やって半分以上も妹にしてやられるとは……」
「マルコが弱いワケではありません。ルアーナが少しだけ強かっただけです。マルコがより強くなりたければ自身で気付かねばなりませんね」
と、母上は私がどうやって強くなったかを理解しているようだ。騎士として父と母は赤鬼青鬼という二つ名を持っていて、特に母上はグラファスの赤い鬼神とも呼ばれている上級騎士でもある。その辺りは当然といえば当然かもしれない。
「それにしても、ルアーナはよく研鑽していますね」
「すべてはエステリア様のおかげです」
そう言うと母上は「さすがはステファニー様の娘ですか」と、興味深そうにそう呟いた。周辺国でも有名なミストリアの双子姉妹であり、現女王のキャロライン陛下とハーブスト公爵夫人であるステファニー様と共に戦った事がある父と母の話は幾度も聞いたことがあるし、ミストリア内でも伝説的な将でもある。母曰く「我が家はキャロライン様派閥です」と、言っているがステファニー様のことも大概大好きな感じがある。
「二人が王家を守るための力をより高める為のヒントを母から少しだけ教えてあげましょう」
自身で気付けといいつつも、こうしてヒントを与えてくれるあたり、母上は激甘なのだけど、おかげで私も兄上も強くなったと言える。父上も相当の使い手ではあるけど、正直、教えるのは苦手なようだけど、兄は父から学ぶことは多いと常に言っているので、何か感じるところがあるのだろう。
「身体強化の扱いを考える事よ」
「――身体強化の扱い?」
と、兄は不思議そうな表情を浮かべる。これは私がエステリア様に言われた事と同じだった。ある程度、強者と言われる人達はこれに気が付くのだろう。そして、若干10歳にして、その答えに辿り着いているエステリア様は本当に凄いお方だ。
「さ、これ以上は自身で解決なさい。これは昔、伸び悩んでいた私にかの方が言ったのよ。『例えヒントがあったとて、自身で得ることが重要だ』とね。二人とももっと強くなれるわ。なんと言っても私と旦那様の子なのだから」
母上は楽し気にそう言って「さ、屋敷に戻るわよ」と、歩き出す。母上が言ったかの方はキャロライン陛下かステファニー様のどちらか――いいえ、二人に言われた可能性もあるかもしれない。
そう考えると剣の腕では私より上というアリエル殿下の事も気になってくるけれど、やはり、私はエステリア様の護衛騎士になりたいという気持ちが溢れ出す。
学園の催しである武闘大会にクリフト殿下の側近となる兄を含め誰も参加していない事が悔やまれる――けれども、エステリア様が突出し過ぎても継承権を含めた問題に発展しそうで如何ともいえぬ感じなのがもどかしい。
エステリア様はアリエル殿下を支えると仰っておられる。私はそのエステリア様をいかにして支える事が出来るのだろうか?
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