悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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第四章 悪役令嬢は王女と共に戦場を駆ける

270.悪役令嬢の護衛騎士見習いは初陣を果たす

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 私の両親は戦乱の時代に現在のキャロライン女王陛下と共に戦場を駆った事を本当に物心つくころから話をされてきた。そして、現在、私は11歳なのだけど、両親が初めての戦場に出たのは12歳の時だったらしい。両親より若干早い初陣となるわけだけど、再び戦乱の時代がやって来たのだと両親は少し悲し気な表情を浮かべていたのが、とても印象的だった。

「ルアーナ様、斥候部隊はしばらくこの場から動く事は出来ないようです。敵性勢力はまだこちらには気が付いておりません、今の内に叩いてしまいましょう」

 と、ファウィラが物騒な武器を手に取ってそう言う。確かに彼女の言う通りで、私は皆に指示を出す。まずは森の中のどの位置に敵がいるかを確認する。

「ミルレーン嬢、敵の位置は?」

 私がそう言うと、ダンディバル卿が返事を返す。

「ルアーナ嬢、申し訳ないが、ミルレーン嬢は今、目を飛ばしているから、少しだけ待って欲しい」
「どれくらい必要だ?」
「――そうですね、1ルーン内には返答出来ると思います」

 私は「分かった」と、答え、皆に警戒するように指示を出す。全員が近接用の武器を手に構える。部隊内全員がアリエル殿下から渡された武器を手にしている――が、これはエステリア様が作られた物だということも皆、知っている。

 普通ではあり得ない光景が繰り広げられているのだが、パッと見は分からないだろう。下士官である貴族では無い者でさえても、魔剣を持っている状態というのは異常だ。私も自身の剣をふと見ながら思わず苦笑してしまう。

 まさか、この歳で魔白金ヒヒイロカネで作られている剣を差す事が出来るとは思いもよらぬ話なのだから。

 しかし、この一年間、結構な訓練をしたと思いつつ、そして、最後に剣を賜った時には思わず涙を流してしまったくらい、中々の経験をしたと思う。

「すいません、お待たせしました。現在、付近には敵性勢力と思わしき一団――人数は少し分かりかねますが南東の距離やく300ルーンです。これから、国境を越えてクールナー平原へ向かいますので、こちらには誰も近寄らせないようお願い致します。また、ダンディバル様には斥候としてルアーナ様の方についてください」
「あい分かった。ミルレーン嬢、数名こちらに貸して貰えると助かる」
「そちらも、了解しました。サリーンとミュル、あとビビアンヌもダンディバル様につくようにお願いします」

 と、ミルレーン嬢は指示を出し、皆が動き出す。

「では、私達も行こうか。アシューヌとフィッティの小隊はミルレーン嬢の警護として残れ! 白薔薇騎士団第二部隊行くぞ! ダンディバル卿、案内頼む!」
「畏まりやした!」

 動く時は風の如く、一気に動く。ダンディバル卿はさすがクーベルト辺境伯の騎士団でも上位の騎士であり、ベテランの斥候役だ。その動きも身体強化の扱いもここにいる中ではファウィラと比べても精度が非常に高い。素早く移動しながらも周囲の情報を確保しながら、また、ミルレーンの指示で彼についた者達も必死に喰らい付いている。

「ダンディバル様、このまま真っ直ぐですが、迂回した方が良いかもしれません」
「――だな。ルアーナ嬢、このまま南側から回った方が良さそうです」
「分かった、そのまま先行頼む!」

 と、移動しながら会話し、ダンディバル卿の後を皆でついていく。

「ダンディバル卿、敵が見えたら引いて欲しい、私が初弾の攻勢を掛ける!」

 私はそう言いながら、アリエル王女殿下とエステリア様の会話を思い出す――


 ◆ ◆ ◆ ◆

「今までの戦史における戦闘の基礎は先ず魔法戦、近接戦、回復魔法による回復、近接戦、魔法――みたいなパターンで戦闘をして、最終的にお互いが回復魔法による回復と近接戦闘で疲弊し、崩れた方が負ける。って感じなんだけど、これって凄く非効率というか、精神的にしんどいわよね」
「確かにな。初手で大魔法をぶち込むにしても、それまでの時間というのが中々に問題だろうしな。まぁ、即死さえしなければ、回復魔法で大概は回復させることが出来るのはなぁ」

 と、アリエル王女殿下は腕を組んでそう言った。攻撃魔法というのは基本的な話になるが、視界に入っている事が前提で、遠く離れた場所に攻撃を行う場合、高台や開けた場所から放つ事になるけれど、その範囲というのはある程度限定される――と、いうのが基礎的な知識になる。当然、高度で威力の高い魔法になればなるほど、発動させるまでに時間と魔力が必要になる為に実際で戦闘で使えるか? と、いうところになると難しいと言われる所以でもある。

「超超々高速詠唱であったとしても、扱える者というのが非常に限られているし、結局、広範囲の火力というのは自分自身も巻き込んでしまう可能性もあるしね。そういう意味では魔銃だと発動距離を延ばせるのは利点ではあるんだけどね」
「まぁ、両軍がぶつかり合うというのが分かっていれば――という条件付きだな。一番いいのは奇襲を掛ける際に出来るだけ派手な魔法を使ってからの突撃が手とすれば一番効果がありそうだな」
「――確かに奇襲においてはそうかもしれないけど、結局のところ、相手の息の根を確実に止めれないと回復魔法で回復してこられれば、面倒よ?」

 エステリア様はそう言いながらも、手はあるような雰囲気でそう言った。私は彼女等がどう考えているか、必死に神経を集中させる。

「フフッ、まずは爆破系の魔法をぶちかます。相手がこちらに気が付いていないという事が前提になるだろうが、音、視界を奪う。まぁ、当然威力も大事だが、これで混乱必須だ。そこに次は氷系か水系の魔法を撃つ。火責めの後に水責めは結構堪えるぞ。そこから突撃だ。出来るだけ、先頭の奴らは殺さなくてもいい、出来るだけ深手を負わせて、後方に位置する魔法使いを狙う。出来れば、そこは魔銃を使いたいところだが――」
「そうなると、結局、剣と銃の二刀スタイルが一番って話にならない?」
「まぁ、そこが最適解だからなぁ」


 ◆ ◆ ◆ ◆


 そして、私は小さく笑ってしまう。あの方達に与えられた武器と知恵で、証明してみせよう。このルアーナ・グラファスが! 私はそう強く心の中で呟きながら、ここ数年必死に勉強して来た魔術と魔法の知識を使った超々々々高速詠唱と高威力などなど、様々な効果を組み込んだ超熱爆破スパークエクスプロ―ジョンを放った。
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