悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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第四章 悪役令嬢は王女と共に戦場を駆ける

276.悪役令嬢は次の動きを伺う

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 クールナー平原の中腹にスーリアル側の防衛拠点であるアンサルド砦がある。

 砦から続く道の先にはガスパール領の最大の城塞都市パーレンダム。今回の目的はさらにそこから東に進んだところにあるキルリス砦を占拠する事だ。このキルリス砦はスーリアルの東側の要所で山野の多いスーリアルではここに向かう街道を抑えれば、西進出来ない。

 だからこそ、スーリアルではキルリス砦の手前に城塞都市があり、さらにキルリス砦に向かうまでの各所に小さな城や砦が点在している。今回の計画では私とアリエルで意見が分かれているところではあるけれど、城塞都市パーレンダムまでの道のりに関しては意見が一致している為に、キルリス砦攻略に関してはパーレンダムを落としてからにしようと、落ち着いた。

 そういえば、リビオラ砦からクールナー平原の死屍累々の惨状については援軍到着のすぐ後に報告があって聞いている。スーリアルのガスパール領を現在進軍中なわけだけど、そこの領主であるガスパール侯爵はクールナー平原に散ったようだ。多くの捕虜を抱える事になったわけだけど、その辺りの処理はレシアス侯爵にお任せしてあるので、いいようにしてくれると思う。因みにスーリアルには奴隷制度が色々とあるらしくて、捕虜となった者は奴隷落ちになりたくないと自死する者もいるらしい。

 現在、クールナー平原の結構目立つところに陣を敷いているのだけど、これはアリエルが言いだした案なのだけど、私としては電撃戦で一気にパーレンダムまで占拠する方がいいと思ったのだけど、敢えて時間を掛けることでスーリアルがどういう行動に出るのか確認したい――と、いう話なんだけど、実際、これは私も気になるところではあったから、了承したわけなんだけど、実は私が了承した要因に後方から早掛けで報告に来たレシアス侯爵の部下から、先の戦いでスーリアル側の戦闘参加人数の概算を聞いて気になっていた事があったからだ。

 私達がトオミで確認していた人数はおおよそ1万5千くらいだと思っていた――のだけど、どうも倍以上の人数がいたらしい。まぁ、目視での判断だから仕方ないところなんだけど、そこをどうにか機械的に判断出来る方法があればいいんだけど。

 っと、閑話休題――

 そもそも、3万の軍というのは普通に考えて一国の規模でも、かなりの軍勢となる。因みにハーブスト公爵領に属する騎士団全軍でも通常で動かせるのは3千、退役した老人達も召集すれば5千くらいまではいけるかもしれない。なお、ミストリアに所属する全軍勢合わせても3万から5万なのよね。当然、ミストリアは徴募兵の割合というのが、非常に少ないのよね。でも、スーリアルは奴隷兵や徴募兵が多いと聞いているので、軍の人数自体が多いという事はありそうなんだけど。

 と、まぁ、そういうワケで私もスーリアルの動きに関しては関心があるのよね。私達の動きを見て彼等がどうするか――油断は禁物だけど、相手の兵器――銃や大砲の威力や構造も分かったし。注意しないといけないのは冒険者と魔術師なのも確実で、人数的な優位性とかも考慮しておかないとダメだけどね。

「エステリア、一部の捕虜をこちらに寄こすようにレシアス侯爵に伝えて欲しい――あー、そうだな。アンネマリーに指示して動いて貰おうか」
「そうね。一応筋を通すのね」
「まぁ、時間を掛けるならその方が良いだろう。あと、エステリアが言っていたリンリィを後方に回す件だが、リンリィはそれで良いのか?」

 アリエルの質問にリンリィは笑顔で「私は問題ありません」と、答える。本来は傍にいてアリエルのサポートをして欲しいところだけど、占領地が広がる事を元々想定していなかったから、後方の中継器の配備や機器の取り付けなんかをマリーに背負わせるわけにはいかないだろうし、ある程度は仕方ないところ。

 そんなやり取りをしていると、エルーサがスッと「よろしいでしょうか?」と、小さく挙手をする。

「どうしたの? エルーサ」
「後方の機器設備などに関することであれば、私の方でメンバーを見繕って動いた方が良いかと具申致します。リンリィ様は王女殿下とお嬢様の側にいらした方が良いと思います」
「――それで、問題ないのか?」

 と、アリエルの言葉にエルーサは落ち着いた雰囲気で肯定する。

 まぁ、我が家の一部面子であれば、その辺りも問題無いかな――以前にやっているし、ハーブスト公爵領と王都を結ぶ通信中継器の設置なんかもやってたし、大丈夫なのは確かね。

「ええ、我が家の精鋭部隊から一部人間が外れちゃうけど、リンリィが傍にいるという方が今は大事かな。エルーサ、すぐに人員を招集して、動くようにお願いね」
「畏まりました」

 エルーサはいつものように気配を感じさせない動きで去っていく。


「さて、特に大きな戦い無く終わりたいところだがな……」

 アリエルはそう言いながら小さく苦笑する。それは私も願うところだけど、そうは簡単にはいかないが故に言っていることもよく分かる。でも、動き出したことはそう簡単に止まることは無い。
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