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恋敵

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あれから、俺は無事に大学は卒業した。
そんでもって、就職もしないで、ヴァンと暮らしてる。
一応は、ヴァンの手伝いもしてるけど、そんなに役に立って無い気がするのは、俺だけじゃないはず。
でも、そんな俺にも、ヴァンは優しい。

「ヒロ?そんなことをしたら、ヒロの指が荒れてしまうから。新しいハンドクリームを塗るから、こっちへ来て」

とか

「ヒロの仕事は、味見係だよ♡ヒロの好きな味が、私の好きな味だから」

とか

甘い。
甘すぎる。
あまぁーーーーーーーいぃ!!!

でも、それにどっぷり浸かってる俺もいる。

「ヴァン~っ、ハンドクリームより、ヴァンに舐めて欲しいっ」

とか

「俺が一番好きなのは、ヴァンの味だぞ♡」

とか

要するに、現在、絶賛、新婚さん状態だ。

幸せかって?
そんなの決まってる。
めちゃくちゃ幸せだ。

ただ、気掛かりはある。

「…はぁ、なんでかな…」

一向に子供は産まれない。
そりゃあ、毎日、その…励んでる。
ヴァンは、子供が産まれなくても良いって言ってたけど、ほら、俺、何もしてないから。
やっぱり、嫁として、子供は産みたいよな…

「神様の子供って、どうやって産まれるわけ…?」

こんな経験したことある奴が、そもそもいないだろ。
グーグ○先生も、知恵○も、答えてくれない。

「はぁ…分からん。とりあえずメルカ○の配達してこよ」

俺は、ヴァンに頼まれてた配達に行く。
初めは、一人で行かせて貰えなかったけど、俺が頼みに頼んで、よくやく許可が出た。
ヴァン曰く、俺は魅力的過ぎて、すぐに誰かに惚れられるらしい。
んな訳無い。
妄想激しすぎるだろ、ヴァン。

「ま、そんだけ愛されてるってことだよな」

ふんふん、と気分良く街へ向かった。

「ありがとうございましたー」

ちゃんと宅急便に商品を持ち込めた。
よし、一仕事終わり。
そんな大したことはやってないけど、自分を褒めるタイプだからね、俺は。

「あれ?ヴァンさんとこの、居候さん?」

ふいに声を掛けられて振り向くと、家によく届け物をしてくれる配達員さんだった。
居候…まあ、いいけど。
俺も、そう自己紹介したし。

「こんにちは。どうも、いつもお世話になってます」

出来るだけ、にこやかに挨拶する。
周りとの関係性って大事だよね。特に田舎は。

「いやいや、こちらこそ。あ、そういえば、街に来たら案内するって言いましたよね?」

いつの間にか、目の前にいた。
え、はや。

「最近出来たカフェがあるんだけど、お茶でもどうですか?」

頬を撫でられた。
ゾクッと寒気がする。
優しい笑顔なのに、何だか恐い。

「いや、今、急いでるから、また今度!」

俺はダッシュで車に戻る。
ハンドルを握る手元が狂いそうになるけど、どうにか走り出す。

俺をじーっと見続ける視線から離れるように、全速力で山へと帰った。

「おかえり、ヒロ」

にこやかに迎えてくれるヴァン。
俺は、思わず抱き着いた。

「ヒロ?どうしたの?」

ヴァンが優しく抱き締め返してくれる。
安心する香り。
きっと山菜を採ってたんだろう。

「ヒロ…?まさか、誰かに触られた?」

ビクッと身体が揺れる。

「…この匂いは、アイツか」

ヴァンの声が硬く尖る。
俺は、なぜだか罪悪感に苛まれる。

「偶然、配達の時に会って。何も無かったけど、その、頬を触られて…」

ベロリ、と頬を舐められた。
ひくんっと下半身が反応する舐め方。

「…許せないな、アイツ。やっぱり私のヒロを狙って…」

そのまま、ベロベロと顔全体を舐められる。
どんどんと下半身が熱くなる。

「んっ、そんなこと、ないってば、考え、すぎっ、からかわれてる、だけだよっ」

配達員さんは、筋肉がある男らしいタイプのイケメン。
あんなイケメンが、俺に、とか考えられない。
からかってるだけだと思う。

「…ヒロは、純粋過ぎる。ヒロが思うよりも、この世は、欲にまみれているんだよ」

ええ、分かります。
目の前の人が、欲にまみれた顔してますから。
ついでに、俺も、すっかり欲にまみれてますから。

「ヴァン、ベッド、行こ…?」

「はぁ、私もそう思ってた」



昼間から、俺達は睦み合う。

「新しく作った金の輪は、やっぱりヒロに似合う」

クリクリと乳首の輪を弄られて、腰が跳ねる。

「ん、でも、幅が広くなって、前より乳首が少し引っ張られてる気がするっ、んっ」

「そうしてるんだよ。ヒロの身体を私好みにして良いって言ったよね?だから、少しずつヒロの乳首を伸ばしてるの」

先っぽも、指の腹で捏ねられる。
蕾が、キュウキュウと求めてる。

「服を着ても分かる位にココをツンと伸ばしたら、ヒロは恥ずかしくて外へ出られなくなるだろう?早くそこまで育てないとヒロは狙われ易いから。それに、服に擦れるだけで射精するようにしたいんだ。ふふふ、楽しみだな」

シュコシュコと乳首を擦られ、ぼんやりする。
気持ち良い。
腰が勝手に揺れる。
もっと、もっと…

「舐めてぇ、ヴァン~っ、吸って?いっぱい、ヴァンの好きな乳首に育ててっ?」

じゅうぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!!

思い切り吸い付かれた。

「ああぁぁぁぁーーーーーーーーーーっっっ!!」

射精した。

「乳首で射精出来て、偉いね。流石は私のお嫁さんだ」

褒められた。
顔中にキスが降ってくる。
嬉しい。
ヴァンに、嫁として認められて嬉しい。
俺でも役に立ててる?

「はぁ、はぁ、もっと、たくさん、乳首でイケるようにしてっ、俺、がんばるから…」

ヴァンが、にやりと妖しく笑う。
格好いい♡

「じゃあ、一晩中かわいがってあげるからね。私に任せて」

「うん、お願いしますぅ…」

ほんとに一晩中、乳首責めされた。
嘘だろ。誰か嘘だと言ってくれ。

「あんっ、あっ、あっ、あっ、ああーーーっ!!も、出ないよぉ、ヴァン、たすけ」

「うん、偉いね、ヒロ。ちゃんと乳首だけでドライでイケるようになったよ。流石は私のお嫁さん。覚えが早いよ」

限界になる度に、ヴァンは俺を優しく褒めてくれた。
褒められたくて、良い嫁だと褒められると嬉しくて、俺は頑張った。

「や、イクの、止まらな、ヴァン、ヴァンっ」

「大丈夫、私に掴まって」

捕まってはいます、既に。

「ほら、ずっと気持ち良いの続いてて、いい顔だよ、ヒロ。すっかり溶けて、私しか見えないでしょう。ヒロは、私だけ見てくれれば良いんだよ。外になんて出ないで」

俺の頭は真っ白で、ぽやぽやしていた。
だから、分からなかった。

剛直が宛てがわれたことにも。

そのまま、思いきり貫かれた。
声も出ない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ずっと、抱き潰しておけば、ヒロは外へ出られない。回復したら、また抱き潰して、と繰り返せば出られない」

アイツの匂いがしたヒロの頬を撫でる。
絶対に奪われないように策を練らなくては。

「アイツ…前からヒロのことを、いやらしい目で見やがって…」

最近、我が家へ来るようになった配達員は、見たことのない若者だった。
特に気にも留めて無かったが、ある日、玄関でアイツとヒロが談笑してるのを見た。

「あははっ、面白いんですね」

「いや、ほんとなんですって」

年齢も近く、細身で美しいヒロと、男らしい体格の配達員。
やけに似合っていた。
二人の姿が、一枚の絵のように脳裏に焼き付いて離れない。

「あれ、なんか付いてますよ」

するっと配達員の手がヒロに触れようとした。
何も付いていないのに。

「私がやる。君は、次の仕事があるだろう。ご苦労さま」

アイツの腕を掴んでギリギリで阻止した。
触れさせてたまるものか。

「ーーっ!うわ、びっくりした!力あるんですね、ヴァンさん」

「ちょっと、ヴァン?!急にどうしたの?」

パッと腕は離したが、人懐こい笑顔を向けられた。
胡散臭い笑顔が、信用ならない。
腕をへし折る位の力で掴まれて、笑顔っておかしいだろう。
筋肉は伊達じゃないってことか?

「じゃ、また来ますね!ヒロさんも、たまには街に来て下さいね!案内しますから」

爽やかに去っていく青年の後ろ姿を、ヒロは嬉しそうに手を振って見送っていた。

「許せない…」

あれから、ヒロは、街への配達という名のメルカ○の商品送付をやりたがった。
理由は簡単。
アイツに会うために違いない。
しかも、一人で行きたいと、何度も嘆願された。
オンラインの有料相談で、束縛のし過ぎはダメだと言われた。
お互いに、一人の時間を持つことで、長く続く恋愛が出来ると。

「ヒロ…アイツと逢引してるのか…」

ヒロを腕の中に抱いているのに、ヒロの心が分からない。
寂しくて、虚しくて…

「私から離れられない身体になれば、ヒロはアイツのところには行かない…」

ヒロの身体を、私無しでは、一時もいられなくしてしまおう。
そうして、私は再びヒロの首筋に歯を立てた。

より私に近付ける為に。
もっと私を求める為に。
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