元社畜、スキル『おっさん』で快適な異世界ライフを送る~全てのおっさん(達人)のスキル使い放題はチート過ぎる!!~

荒井竜馬@書籍発売中

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第3話 色々な『おっさん』スキル

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「『おっさん探検家』のスキル凄いな。危険な場所とか、魔物が近くにいるのかも分かるようになるなんて」

 俺はスキル『おっさん』の力を使って、順調に街へと向かっていた。というのも、『おっさん探検家』の力のおかげで、魔物と戦わずに最短距離を移動で来ているからだ。

 一体、どの世界の探検家の力なのかは分からないが、おっさん探検家ならできてしまいそうな気がするのが不思議な所だ。

「ん? あっちに魔物がいるのか」

 魔物の反応があって振り向くと、ここから百メートルほど遠くで魔物が誰かと戦っているみたいだった。

 しばらくその方向をじっと見ていると、ぼやーっと魔物と戦っている誰かの気配のようなものがヒト型になって見えてきた。

「やけに小さくないか? え、もしかして子どもか?」

 対峙している魔物の気配と比べて、あまりにも気配の大きさが違い過ぎる。もしかして、子供が襲われているのか?

「くそっ、最初の一回以外、魔物と戦わずにこれたのに!」

 俺はそんなことを言いながら、魔物と子供の気配がする方に走り出していた。

 子供が危険なのに放っておけるはずがない。仕方がないだろ、それがおっさんなんだから!

 スキル『おっさん』でおっさん探検家のスキルを使っているせいか、森の中だというのに関係なく走り回ることができた。

 まぁ、若手の探検家ほどスピードはないわけだが、素の状態と比べると比較にならないほど速い。

 それから、すぐに子供のもとに駆け付けた俺は茂みの中から飛び出した。

「おい! 大丈夫か!」

 茂みから飛び出た先では、俺の一回り以上大きなクマの魔物と小学生高学年くらいの子供がいた。その周りにはすでに倒されている魔物たちが数体いた。

……この子が数体の魔物たちを倒したのか? 男の子、でいいんだよな?

 その少年は肩よりも少し長い髪を揺らしながら、剣を片手に肩で息をしていた。よく見てみると、整っている顔に泥がついていたり、腕や脚に傷を負ったりしている。

 すると、その少年は俺の声に気づいて顔を上げた。

「~~~~!」

 ん? 今なんて言ったんだ?

 少年が何かを叫んでいるのだが、何て言っているのかが聞き取れない。

 これって、異世界の言葉だから分からないってことか?

 それなら……おっさん通訳者のスキルを使えばどうだろうか?

『おっさんスキル発動:おっさん通訳者』


 俺がそう考えると、頭の中で何かがかちりとハマって急に少年の言葉が分かるようになった。


「おっさん! ダメだ、すぐに逃げろ!」


「お、おっさんって」

 少年は手で払うようにして俺を遠ざけようとしていた。そんな中、俺は一人顔を引きつらせてしまっていた。まさか、ずっとおっさんって叫ばれていたなんて。

 ……自分のことをおっさんだと認めていながら、他の人に言われると改めてズシッと来るものがあるな。

「いや、確かに小学生くらいの子からしたら、もう十分おっさんなんだよなぁ」

「ガアアア!」

 俺が一人そんなことを考えていると、クマのような魔物が俺の方に向かってきた。さっきの狼のような魔物よりも速く、一撃がとても重そうだ。

「おっさぁん!!」

 少年の声を聞きながら、俺はおっさんスキルを使う準備をする。

 これだけ強そうな相手の攻撃に対して、カウンターで合わせるのはさすがに怖すぎる。一歩間違えれば、即死だもんな。

 相手の力を利用とかできたらいいのかもしれない……そうなると、あれしかないか。

 すると、クマのような魔物が右手の大振りで俺を狙おうとしてきた。俺はクマのような魔物に攻撃される前に、スキル『おっさん』を発動させる。

『おっさんスキル発動:おっさん合気道家』

 そんな声が脳内に直接聞こえてきて、頭の中で何かがかちりとハマった。その瞬間、クマのような魔物の一撃に合わせるように体が勝手に動いた。

 体が数歩後ろ斜めに引かれて、クマのような魔物の攻撃を華麗にかわしながら、屈んだ状態で魔物の懐に入り込む。

そして、魔物の懐に入れた体を魔物とくっつけてから、グッと起こした。

「ガアアーーアアア!!」

 すると、クマのような魔物が空中でぐるんっと一回転して、地面に体を叩きつけた。

 ズゥンッ! 鈍い音を立てながら体を叩きつけたクマのような魔物は、顔を歪めて打ちつけた頭を抱えていた。

「え? ワ、ワイルドベアが丸腰のおっさんにあしらわれた?」

 少年は目の前で起きたことが信じられないのか、目を見開いていた。

 まぁ、突然現れた中年がクマを投げたんだから、驚くよな。

 俺はクマの魔物が倒れているうちに少年のもとに駆けよった。

「大丈夫か? 大きな怪我とかはしてないか?」

「あ、ああ。うちは大丈夫だけど、おっさん何者だ?」

「いや、何者っていうほどじゃないんだけどな」

 俺はどう答えたものかと考えて頭を書いてそう答える。すると、さっき投げたクマの魔物が呻きながら立ち上がって、俺たちに襲い掛かってくるタイミングを計っていた。

 さすがに、地面に叩きつけただけじゃ一撃で倒れてくれないか。

 ……何か刃物でもあればいいんだけどな。

 そんなことを考えていると、不意に少年が持っている剣が目に入った。うん。刃物があるのなら案外早く片付けることができるかもしれない。

「君。その剣、少し貸してくれないか?」

「剣? いいけど、おっさん剣使えるのかよ?」

 少年は手に持っていた剣を俺に手渡しながら、そんな言葉を口にした。

 まさか、魔物と対峙している状況でこんなに簡単に剣を貸してくれるとは思わなかったな。

 もしかしたら、さっきの初手で少年を驚かせたから、実力者だと思われているのかな。

 それなら、期待を裏切らないだけの活躍はしないとな。

「使ったことはない。けど、使えないわけじゃない」

 俺はそう言いながら、今の状況にぴったりのスキル『おっさん』を発動させた。

『おっさんスキル発動:おっさん剣士』

 剣を構える俺を見て、少年が一瞬息を呑んだのを感じた。

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