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もののけ執事とお座敷少女5
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「おうどんも、美味しかったです……」
私は満足の息を吐くと、手を合わせて「ごちそうさまでした」と口にした。すると夜音さんが「いえいえ、お粗末様でした」と言葉を返す。
「……ぜんぜん、粗末じゃなかったですけど」
「当たり前ですよ。謙遜というやつです。日本人の美徳であり短所でもあるアレです」
『当たり前』なんて付け加えられたら、謙遜にならないと思うんだけどな。まぁ、夜音さんらしいか。
夜音さんはカチャカチャと食器を片づけはじめる。それを手伝おうとしたら「そんなことより、仕事をとっとと済ませて寝てください。そして八時間は寝てください」と言われてしまった。……夜音さんは本当に、お母さんみたいだ。態度は怖いけど。
座卓の上が片づいたので、夜音さんに夜食……と言うにはがっつりとしたご飯のお礼を言ってから、ノートパソコンを再び開く。
夜音さんは「三時就寝ですよ、三時。それまでに寝てなければ、寝かしつけです」と言い残してから、天袋に帰っていった。座敷ちゃんは、私の隣で興味深そうにノートパソコンを覗き込んでいる。
「文字がいっぱい書いてある」
「そう、これが私のお仕事」
「小説家?」
「ううん、webライター」
「うぇぶらいた?」
「えっとね。人が知りたいと思うことを、人に伝えるために文字にするお仕事かな」
「ふーん。うぇぶらいたは、外には行かないの?」
「基本的には、ずっと家の中かなぁ」
……自分の仕事を明確な言語として説明するのは、なかなか難しいな。
そんなことを思いながら、たどたどしく説明をする。
座敷ちゃんは「なるほど」と言いつつも、少し首を傾げていた。
座敷ちゃんと話をしながらカタカタを文字を打ち込んでいく。お腹が満ちたおかげか、気分転換ができたからか。筆の走りは上々で、二時頃には残りの文字数を埋めることができた。
「よし……」
クライアントにデータを送信し、ほっと一息つく。直しがなければこれで完了だ。
「お姉ちゃん、お仕事終わった?」
「うん、終わったよ」
「じゃあ、今日は一緒に寝てもいい?」
「いいよ。お布団、大きいからね」
祖母の家の布団は大きくて立派な羽毛布団だ。二人で寝ても余裕はあるだろう。
歯を磨いて寝間着に着替えてから、布団をよいしょと押入れから出す。座敷ちゃんも毛布や枕を出したりと、布団を敷くのを手伝ってくれた。
二人で布団に入ると、昨日よりも温かい。人の体温って温かかったなぁ……なんて、少ししみじみとしてしまう。
「お姉ちゃん、手、繋いでいい?」
「うん、いいよ」
伸ばされた手をぎゅっと握ると、嬉しそうに微笑まれる。
「あのね、お姉ちゃん」
「なに?」
「私、頑張るからね」
「……うん?」
頑張るってなにをだろう。お座敷少女業をってことなんだろか。
私自身でも案件を獲得する努力はするつもりだし、無理はしないでいいんだけどな。
「座敷ちゃん。無理はしなくていいんだよ?」
「でも……頑張るから!」
そう言って座敷ちゃんは、なぜか泣きそうな顔になった。
私は満足の息を吐くと、手を合わせて「ごちそうさまでした」と口にした。すると夜音さんが「いえいえ、お粗末様でした」と言葉を返す。
「……ぜんぜん、粗末じゃなかったですけど」
「当たり前ですよ。謙遜というやつです。日本人の美徳であり短所でもあるアレです」
『当たり前』なんて付け加えられたら、謙遜にならないと思うんだけどな。まぁ、夜音さんらしいか。
夜音さんはカチャカチャと食器を片づけはじめる。それを手伝おうとしたら「そんなことより、仕事をとっとと済ませて寝てください。そして八時間は寝てください」と言われてしまった。……夜音さんは本当に、お母さんみたいだ。態度は怖いけど。
座卓の上が片づいたので、夜音さんに夜食……と言うにはがっつりとしたご飯のお礼を言ってから、ノートパソコンを再び開く。
夜音さんは「三時就寝ですよ、三時。それまでに寝てなければ、寝かしつけです」と言い残してから、天袋に帰っていった。座敷ちゃんは、私の隣で興味深そうにノートパソコンを覗き込んでいる。
「文字がいっぱい書いてある」
「そう、これが私のお仕事」
「小説家?」
「ううん、webライター」
「うぇぶらいた?」
「えっとね。人が知りたいと思うことを、人に伝えるために文字にするお仕事かな」
「ふーん。うぇぶらいたは、外には行かないの?」
「基本的には、ずっと家の中かなぁ」
……自分の仕事を明確な言語として説明するのは、なかなか難しいな。
そんなことを思いながら、たどたどしく説明をする。
座敷ちゃんは「なるほど」と言いつつも、少し首を傾げていた。
座敷ちゃんと話をしながらカタカタを文字を打ち込んでいく。お腹が満ちたおかげか、気分転換ができたからか。筆の走りは上々で、二時頃には残りの文字数を埋めることができた。
「よし……」
クライアントにデータを送信し、ほっと一息つく。直しがなければこれで完了だ。
「お姉ちゃん、お仕事終わった?」
「うん、終わったよ」
「じゃあ、今日は一緒に寝てもいい?」
「いいよ。お布団、大きいからね」
祖母の家の布団は大きくて立派な羽毛布団だ。二人で寝ても余裕はあるだろう。
歯を磨いて寝間着に着替えてから、布団をよいしょと押入れから出す。座敷ちゃんも毛布や枕を出したりと、布団を敷くのを手伝ってくれた。
二人で布団に入ると、昨日よりも温かい。人の体温って温かかったなぁ……なんて、少ししみじみとしてしまう。
「お姉ちゃん、手、繋いでいい?」
「うん、いいよ」
伸ばされた手をぎゅっと握ると、嬉しそうに微笑まれる。
「あのね、お姉ちゃん」
「なに?」
「私、頑張るからね」
「……うん?」
頑張るってなにをだろう。お座敷少女業をってことなんだろか。
私自身でも案件を獲得する努力はするつもりだし、無理はしないでいいんだけどな。
「座敷ちゃん。無理はしなくていいんだよ?」
「でも……頑張るから!」
そう言って座敷ちゃんは、なぜか泣きそうな顔になった。
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