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もののけ執事とお座敷少女16
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ずっと眠っていたくなるような、心地良い感触のものに体を包まれている。
一度は薄目を開けたけれど、それに顔を擦り付けながら私は二度寝という怠惰を貪ろうとしてしまう。
だけど……
「芽衣様、朝でございますよ」
『それ』自身が発した声によって、私は惰眠から引き起こされた。
そうだ。昨日はお布団になった佐助君で眠ったんだった!
「お、おはよう。佐助君」
「はい、おはようございます。昨夜はよくお眠りのようで良かったです」
「佐助君のお布団が、すごく気持ち良かったおかげだよ」
本当に、ここ数年なかったくらいによく眠れた。だけど布団が生きているというのは、なんとも不思議なものだ。……いびきとかよだれとか、大丈夫だったかな。
私は慌てて身を起こすと佐助君の上から退いた。すると佐助君はポンと人型になって、ぺこんとこちらに頭を下げた。
「眠れたのでしたらようございました。寝が浅いと思う時は、いつでもお呼びくださいませ」
「ありがとう……」
明るい笑顔でそう言われたけれど、快眠のために人を呼びつけるのは気が引ける。だけど、本当に気持ち良かったなぁ……
「そうだ、座敷ちゃんは」
「昨夜一度目を覚ましまして、その時に根津が食事を摂らせました。今はまた寝ておりますが、直に目を覚ますでしょう。順調に回復しておりますよ」
佐助君の言葉を聞いて、私は安堵の息を零した。お話ができるくらいに回復するといいな。倒れるような無茶は止めさせないといけないから。
「さ、芽衣様。朝食を用意しますね」
「佐助君が?」
「はい、夜音様に頼まれておりますので! 好き嫌いはありますか?」
「特には……」
好き嫌いなくなんでも食べられる。これは数少ない私の自慢である。
「良かったです! では、そうですね。座敷童子も起きたら食べられるようなものがいいですよね」
佐助君はしばらく考えた後に、ポンと手を打つ。そしてにっこりと笑った。
「豚バラとかぶのスープにでもしましょうか。お米は昨日の雑穀米の残りでもいいですか?」
「うん! 美味しそう!」
「では、材料を確保して参りますね」
子狸の姿に変わると、佐助君はとてとてと愛らしい足取りで天袋に向かう。
だけど大きな尻尾が重くてなのか上手く天袋まで飛び上がれない様子だったので、体を抱えてあげると照れたようにぺこりと頭を下げられた。手助けされつつ天袋に入った佐助君は、しばらくすると白い袋を咥えて戻ってくる。そして今度は難なく、畳にぴょんと飛び下りた。上るのは不得意でも、下りるのは平気らしい。
「では、ご飯を作って参りますので」
佐助君は人型になると、大きな尻尾を振りつつ台所に向かう。
彼が去った後、座敷ちゃんと根津ちゃんの様子が気になって寝室の襖を開けると……
眠っている座敷ちゃんと、座敷ちゃんに寄り添うようにしながらハムスター姿になって眠っている根津ちゃんが目に入った。
その平和な光景を目にして、私はほっとしながら襖を閉めた。
一度は薄目を開けたけれど、それに顔を擦り付けながら私は二度寝という怠惰を貪ろうとしてしまう。
だけど……
「芽衣様、朝でございますよ」
『それ』自身が発した声によって、私は惰眠から引き起こされた。
そうだ。昨日はお布団になった佐助君で眠ったんだった!
「お、おはよう。佐助君」
「はい、おはようございます。昨夜はよくお眠りのようで良かったです」
「佐助君のお布団が、すごく気持ち良かったおかげだよ」
本当に、ここ数年なかったくらいによく眠れた。だけど布団が生きているというのは、なんとも不思議なものだ。……いびきとかよだれとか、大丈夫だったかな。
私は慌てて身を起こすと佐助君の上から退いた。すると佐助君はポンと人型になって、ぺこんとこちらに頭を下げた。
「眠れたのでしたらようございました。寝が浅いと思う時は、いつでもお呼びくださいませ」
「ありがとう……」
明るい笑顔でそう言われたけれど、快眠のために人を呼びつけるのは気が引ける。だけど、本当に気持ち良かったなぁ……
「そうだ、座敷ちゃんは」
「昨夜一度目を覚ましまして、その時に根津が食事を摂らせました。今はまた寝ておりますが、直に目を覚ますでしょう。順調に回復しておりますよ」
佐助君の言葉を聞いて、私は安堵の息を零した。お話ができるくらいに回復するといいな。倒れるような無茶は止めさせないといけないから。
「さ、芽衣様。朝食を用意しますね」
「佐助君が?」
「はい、夜音様に頼まれておりますので! 好き嫌いはありますか?」
「特には……」
好き嫌いなくなんでも食べられる。これは数少ない私の自慢である。
「良かったです! では、そうですね。座敷童子も起きたら食べられるようなものがいいですよね」
佐助君はしばらく考えた後に、ポンと手を打つ。そしてにっこりと笑った。
「豚バラとかぶのスープにでもしましょうか。お米は昨日の雑穀米の残りでもいいですか?」
「うん! 美味しそう!」
「では、材料を確保して参りますね」
子狸の姿に変わると、佐助君はとてとてと愛らしい足取りで天袋に向かう。
だけど大きな尻尾が重くてなのか上手く天袋まで飛び上がれない様子だったので、体を抱えてあげると照れたようにぺこりと頭を下げられた。手助けされつつ天袋に入った佐助君は、しばらくすると白い袋を咥えて戻ってくる。そして今度は難なく、畳にぴょんと飛び下りた。上るのは不得意でも、下りるのは平気らしい。
「では、ご飯を作って参りますので」
佐助君は人型になると、大きな尻尾を振りつつ台所に向かう。
彼が去った後、座敷ちゃんと根津ちゃんの様子が気になって寝室の襖を開けると……
眠っている座敷ちゃんと、座敷ちゃんに寄り添うようにしながらハムスター姿になって眠っている根津ちゃんが目に入った。
その平和な光景を目にして、私はほっとしながら襖を閉めた。
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