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もののけ執事とお座敷少女17
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歯を磨いて、顔を洗い。メールチェックをしていると、佐助君がお盆を持って部屋に戻って来た。
お盆の上に載っているお皿からは、美味しそうな湯気が漂っている。
夜音さんにご飯を作ってもらい、佐助君にご飯は作ってもらい……。私は彼らにこんなに甘えてしまっていてもいいのだろうか。せっせと机に皿を並べる佐助君を眺めながら、しみじみとそんなことを考えてしまう。
「どうしました、芽衣様」
私の視線に気づいた佐助君が、くるりとこちらを向いて声をかけてくる。
「いや、その。皆に世話をしてもらいっぱなしだなぁ……と、申し訳なくて」
夜音さんには『仕事』という名目がある分、気持ち的に多少はお世話になりやすい。
だけど佐助君や根津ちゃんは違うのだ。彼らに私の世話をする義理なんてものはない。
「気にしないでくださいませ。芽衣様の安全が確保できた百合様はとてもご機嫌でして、近頃おやつが増えております」
「おやつ……」
「はい! 芽衣様を大事にすればするほど、僕たちの待遇は良くなるでしょう。こんなに素晴らしいことはございません。人間の世界で言う、Win-Winでございます。だから僕は、毎晩でも芽衣様のお布団になります」
「Win-Win……」
夜音さんの動機がはっきりとしているように、佐助君の動機も現金かつ、はっきりとしたものらしい。……私に気を使って、こう言ってくれているのかもしれないけれど。
「それに、芽衣様からは……百合様と同じ優しい匂いがします。僕や根津は、きっと芽衣様のことを好きになれます」
佐助君はそう断言すると、にこりと愛らしく笑った。
祖母と同じ匂い? それは私に、祖母の血が濃く出ていることと関係があるのかな。
「さて、ご飯にしましょう」
「そうだね、佐助君」
「根津も呼んで参りますね。根津、根津。ご飯ですよ」
佐助君が襖を開けて小声で呼ぶと、根津ちゃんが音もなくやって来る。そして私を見ると「おはようございます」とぺこりと頭を下げた。私も「おはよう」と挨拶を返す。
「根津ちゃんお疲れ様。疲れたでしょう?」
「いえ。私たちは人と比べて、少ない休息でも平気ですので」
「……そうなの?」
「はい」
根津ちゃんの言葉には嘘はない……ような気がする。佐助君も「僕たちはその気になれば、一月は眠らなくても済むのです」と笑って言った。『もののけ』ってすごい。
「さ、芽衣様。お食べください」
お腹が空いていた私は、促されていそいそと座卓に向かった。
座卓の上には三人分の、野菜と豚肉が入ったスープと茶碗に盛られたお米が載っている。『かぶのスープ』と聞いていたので入っているのはかぶだけだと思っていたけど、スープにはかぶの葉と人参も入っていた。野菜たっぷりで、美味しそうだなぁ。
お盆の上に載っているお皿からは、美味しそうな湯気が漂っている。
夜音さんにご飯を作ってもらい、佐助君にご飯は作ってもらい……。私は彼らにこんなに甘えてしまっていてもいいのだろうか。せっせと机に皿を並べる佐助君を眺めながら、しみじみとそんなことを考えてしまう。
「どうしました、芽衣様」
私の視線に気づいた佐助君が、くるりとこちらを向いて声をかけてくる。
「いや、その。皆に世話をしてもらいっぱなしだなぁ……と、申し訳なくて」
夜音さんには『仕事』という名目がある分、気持ち的に多少はお世話になりやすい。
だけど佐助君や根津ちゃんは違うのだ。彼らに私の世話をする義理なんてものはない。
「気にしないでくださいませ。芽衣様の安全が確保できた百合様はとてもご機嫌でして、近頃おやつが増えております」
「おやつ……」
「はい! 芽衣様を大事にすればするほど、僕たちの待遇は良くなるでしょう。こんなに素晴らしいことはございません。人間の世界で言う、Win-Winでございます。だから僕は、毎晩でも芽衣様のお布団になります」
「Win-Win……」
夜音さんの動機がはっきりとしているように、佐助君の動機も現金かつ、はっきりとしたものらしい。……私に気を使って、こう言ってくれているのかもしれないけれど。
「それに、芽衣様からは……百合様と同じ優しい匂いがします。僕や根津は、きっと芽衣様のことを好きになれます」
佐助君はそう断言すると、にこりと愛らしく笑った。
祖母と同じ匂い? それは私に、祖母の血が濃く出ていることと関係があるのかな。
「さて、ご飯にしましょう」
「そうだね、佐助君」
「根津も呼んで参りますね。根津、根津。ご飯ですよ」
佐助君が襖を開けて小声で呼ぶと、根津ちゃんが音もなくやって来る。そして私を見ると「おはようございます」とぺこりと頭を下げた。私も「おはよう」と挨拶を返す。
「根津ちゃんお疲れ様。疲れたでしょう?」
「いえ。私たちは人と比べて、少ない休息でも平気ですので」
「……そうなの?」
「はい」
根津ちゃんの言葉には嘘はない……ような気がする。佐助君も「僕たちはその気になれば、一月は眠らなくても済むのです」と笑って言った。『もののけ』ってすごい。
「さ、芽衣様。お食べください」
お腹が空いていた私は、促されていそいそと座卓に向かった。
座卓の上には三人分の、野菜と豚肉が入ったスープと茶碗に盛られたお米が載っている。『かぶのスープ』と聞いていたので入っているのはかぶだけだと思っていたけど、スープにはかぶの葉と人参も入っていた。野菜たっぷりで、美味しそうだなぁ。
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