【R18】夫に離縁されましたが、十歳年下の獅子公爵令息に求愛されています

夕日(夕日凪)

文字の大きさ
10 / 24

9

しおりを挟む
「オスカー様のお言葉は……本当に熱烈ですね」
「ああ、なんと言っても大事な番だからな! マリーン嬢が嫌でなければ、これからも言葉で好意を伝えさせてくれ!」

 どんな顔をしたものかと思案したあとに真顔で告げれば、オスカーは得意げな顔で胸を張りつつそう返してきた。しかし次の瞬間には、その表情は不安に満ちたものとなる。

「その。遊びに来ても……いいのだよな? こ、好意を伝えるのも迷惑ではないか?」

 そして、おずおずと上目遣いでマリーンを見ながらそう訊ねた。そんなオスカーの様子に、マリーンの母性本能がきゅっと締めつけられる。

(本当に……可愛い方)

 オスカーは幼く、マリーンから見て愛らしすぎる。だからどれだけ口説かれても、男性恐怖症となっているマリーンが『怖い』と感じることもない。
 ──それはオスカーにとって僥倖でもあり、不幸でもあるのだろう。
 オスカーが成長すれば、それも変わっていくのかもしれないが。

(オスカー様は、大人になったらどんな青年になるのかしら)

 今でさえこんなにも人目に立つ美少年なのだ。きっと誰もが目を瞠り褒めそやすような美青年となるのだろう。

「マリーン嬢?」

 想像の翼を飛ばしていたマリーンに、オスカーが怪訝そうな顔で声をかける。マリーンは慌てて口を開いた。

「ぜひいらしてください。好意を伝えることも、過度でなければ問題ないです。私たちは『お友達』ですものね」
「そ、そうだな。友達だ」

『友達』という言葉に、オスカーはぺしょりと耳を下げる。しかし次の瞬間には、めげずに口を開いた。

「どれくらいのペースでの来訪なら、マリーン嬢の迷惑ではないだろうか」
「ふふ。暇を持て余しておりますから、いつでも遊びに来てくださいな」

 マリーンの立場は『隠居生活』に近いものだ。日々は本を読み、刺繍をし、茶を飲んでいるうちに穏やかに過ぎていく。そこにオスカーの来訪が加わると、どのようなものになるのだろうか。想像してみると、それは悪いもののようには思えなかった。
 ……子供が生まれれば、忙しくなるだろうが。それはまだ先の話だ。

「そ、そうか! それは嬉しいな!」

 オスカーはぱっと表情を明るくすると、ぴるぴると小さな耳を震わせる。そんな彼の様子に……マリーンの手は自然に小さな耳へと伸びていた。オスカーはその手を見て、マリーンが触れやすいように頭をそっと下げる。

「あ、失礼を……!」

 はっと我に返り手を途中で止めると、顔を上げたオスカーが眉を下げて残念だという顔で見つめてくる。

「触れて、くれないのか?」
「触れていいのですか?」
「……当たり前だ。マリーン嬢に触れられることが、嫌なわけがない」
「ふふ。じゃあ、少しだけ」

 ふたたび手を伸ばし、赤く柔らかな毛に覆われた耳を撫でる。するとオスカーは、長いまつ毛を伏せて気持ちよさげに息を吐いた。

「……頭も」
「頭もですか?」
「……子供っぽいだろうか」
「いいえ!」

 耳を撫でる手を髪へと移動し、柔らかな髪を優しく撫でる。すると綺麗な顔が、少しだらしなく笑み崩れた。
 そんなオスカーを見て口元を緩ませながら頭や耳を撫でていると、主人の様子を心配したジャクリーンが部屋を訪れ……。

「あら。ずいぶんと仲良くなったんですねぇ」

 と、目を丸くされてしまうのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~

tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。 番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。 ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。 そして安定のヤンデレさん☆ ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。 別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

処理中です...