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転生王子と婚約披露パーティー6
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「つまりはブリッツ様に恋愛相談をしていたら、キスの作法を教わる流れになったと。これはこれで、BLがはじまる流れな気がするんだけど……」
俺の言葉を聞いたピナは唸りながらブツブツとなにかを言っている。最後の方はよく聞き取れなかったが、誤解が解けたようでなによりだ。
「俺はティアラ嬢一筋だから……困るんだ、妙な噂が立つのは」
ピナは跪いてトラウザーズの染みを抜きながら、大きな目を丸くした。なんだ、その顔は。
「……言いたいことがあるなら、正直に言ってくれ」
「婚約者に一途だなんて、意外だなぁと」
「本当に正直に言ったな」
「いえいえいえ! 失礼しました!」
なんだかおかしくなって、俺は思わず声を立てて笑ってしまう。このメイドと話していると、前世の友人と話しているような気分になる。彼女の気さくさがそう思わせるのだろうか。……まぁ、前世の俺の友人なんて中二病を患った同性しかいなかったわけだが。
ティアたんともこんな風に、話せるようになれればいいんだけどな。
「さて、そろそろ戻るか」
「そうですね! 私もお仕事がありますし!」
ピナはふんふんとうなずいて俺の言葉に同意した。この少女は、本当に俺に興味がないらしい。実に気楽でいいな。
俺とピナは連れ立って廊下へと出た。そこで俺は、ティアラ嬢の好みを教えてもらった礼のことを忘れていたな、と思い出す。
「そうだ。先日はティアラ嬢の好みのことを教えてくれて、ありがとう。本当に助かった」
「いえいえ、お安いご用ですよ。ドレスは喜んでもらえましたか?」
「……感想は、まだ聞けていないな」
「きっと! お気持ちは伝わっていると思います!」
ピナは両手をぎゅっと握りしめて、俺を励ますように言ってくれる。
口調も態度もかなり砕けてなかなかの不敬罪ものだが、励ましてくれる彼女の気持ちが素直に嬉しい。そしてこの子はなんというか……ヒロイン属性という印象だ。ピンクの髪だし。
「伝わってると、いいな」
ティアたんの姿を思い浮かべて、俺はふっと笑みを浮かべる。そんな俺をピナもなんだか嬉しそうに見つめていた。
前方を見ると戻りが遅い俺を心配したのか、ティアラ嬢とブリッツがこちらへと向かって来るのが見える。ティアラ嬢の姿を見たピナは、とたんに怯えた表情になった。
「ピナ?」
「ひ、ひぇええ」
ピナはなぜか慌てて俺の後ろに隠れる。なにをそんなに怯えているのかとティアラ嬢を見ると。
その表情は……なぜか激しい怒りに満ちていた。
「ひぇ」
俺の口からも思わず怯えた声が漏れる。なぜだ、なぜティアたんは怒っているんだ。待たせすぎたか!?
ティアたんは俺の前に立つと、上目遣いで俺を睨んだ。
……可愛い。上目遣いのティアたん、最高に可愛い。ちょっとほっぺが膨らんでるのも可愛いな。ああ、ツンツンしたい。むしろそのもちもちのほっぺをはむはむしたい。
いや、そんなことを考えている場合ではない。
「どうしたんだ、ティアラ嬢」
「……婚約者を放置して、メイドごときとずいぶんと楽しそうにしていらっしゃるのですね」
ティアラ嬢の言葉に俺とピナは固まってしまう。
そしてブリッツは……声を殺しながら、腹を抱えて笑っていた。
俺の言葉を聞いたピナは唸りながらブツブツとなにかを言っている。最後の方はよく聞き取れなかったが、誤解が解けたようでなによりだ。
「俺はティアラ嬢一筋だから……困るんだ、妙な噂が立つのは」
ピナは跪いてトラウザーズの染みを抜きながら、大きな目を丸くした。なんだ、その顔は。
「……言いたいことがあるなら、正直に言ってくれ」
「婚約者に一途だなんて、意外だなぁと」
「本当に正直に言ったな」
「いえいえいえ! 失礼しました!」
なんだかおかしくなって、俺は思わず声を立てて笑ってしまう。このメイドと話していると、前世の友人と話しているような気分になる。彼女の気さくさがそう思わせるのだろうか。……まぁ、前世の俺の友人なんて中二病を患った同性しかいなかったわけだが。
ティアたんともこんな風に、話せるようになれればいいんだけどな。
「さて、そろそろ戻るか」
「そうですね! 私もお仕事がありますし!」
ピナはふんふんとうなずいて俺の言葉に同意した。この少女は、本当に俺に興味がないらしい。実に気楽でいいな。
俺とピナは連れ立って廊下へと出た。そこで俺は、ティアラ嬢の好みを教えてもらった礼のことを忘れていたな、と思い出す。
「そうだ。先日はティアラ嬢の好みのことを教えてくれて、ありがとう。本当に助かった」
「いえいえ、お安いご用ですよ。ドレスは喜んでもらえましたか?」
「……感想は、まだ聞けていないな」
「きっと! お気持ちは伝わっていると思います!」
ピナは両手をぎゅっと握りしめて、俺を励ますように言ってくれる。
口調も態度もかなり砕けてなかなかの不敬罪ものだが、励ましてくれる彼女の気持ちが素直に嬉しい。そしてこの子はなんというか……ヒロイン属性という印象だ。ピンクの髪だし。
「伝わってると、いいな」
ティアたんの姿を思い浮かべて、俺はふっと笑みを浮かべる。そんな俺をピナもなんだか嬉しそうに見つめていた。
前方を見ると戻りが遅い俺を心配したのか、ティアラ嬢とブリッツがこちらへと向かって来るのが見える。ティアラ嬢の姿を見たピナは、とたんに怯えた表情になった。
「ピナ?」
「ひ、ひぇええ」
ピナはなぜか慌てて俺の後ろに隠れる。なにをそんなに怯えているのかとティアラ嬢を見ると。
その表情は……なぜか激しい怒りに満ちていた。
「ひぇ」
俺の口からも思わず怯えた声が漏れる。なぜだ、なぜティアたんは怒っているんだ。待たせすぎたか!?
ティアたんは俺の前に立つと、上目遣いで俺を睨んだ。
……可愛い。上目遣いのティアたん、最高に可愛い。ちょっとほっぺが膨らんでるのも可愛いな。ああ、ツンツンしたい。むしろそのもちもちのほっぺをはむはむしたい。
いや、そんなことを考えている場合ではない。
「どうしたんだ、ティアラ嬢」
「……婚約者を放置して、メイドごときとずいぶんと楽しそうにしていらっしゃるのですね」
ティアラ嬢の言葉に俺とピナは固まってしまう。
そしてブリッツは……声を殺しながら、腹を抱えて笑っていた。
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