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番外編
短編まとめ1
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お月様の活動報告にちょこちょこ上げている短編のまとめその1です。
『モブのお顔は印象が薄い』(悩むモブ令嬢と、テンションが高い婚約者)
『シャルル王子はモブ令嬢がお好き』(婚約者に夢中な王子のお話)
『フィリップ王子の困惑』(兄から見た弟たち)
----------------------------------------
『モブのお顔は印象が薄い』
私は、鏡の前で首を捻っていた。
今日は王宮でシャルル王子とお会いする日。
なのでせっかくだから彼から頂いたドレスを着て登城しようと思ったのだけれど……。
「やべぇ。ドレスに顔が負けてる……」
そう、そうなのだ。
私はそもそもモブ。スチルに背景として溶け込むようなお顔じゃないとその仕事が果たせない。つまり没個性の極みのような顔立ちなのだ。
シャルル王子から頂いた赤の胸元がとっても大きく開いているセクシー仕様のドレスは、私の顔に完全に勝利していた。
「……シャルル様が、がっかりしないといいなぁ」
そんなことを呟きながら美麗すぎるお顔の婚約者の顔を思い浮かべる。
……彼の方が、この派手なドレスが似合いそうな気がする。
くっそ、美少年め。ずるい。
なんとなく重い気分で支度をし、王宮へと向かうと。
「アリエル! 私が贈ったドレスを着てくれたのか! 似合う、とても似合うな! 流石アリエルだ。アリエルはせっかく可愛らしい顔をしているのに、いつも地味なものを着ているからもったいないと思っていたんだ。素敵だぞ」
テンションがめちゃくちゃ高い婚約者に出迎えられた。
シャルル王子は私の周囲をぐるぐると旋回し『可愛い』『好きだ!』を連発する。
……この婚約者に私の容姿は、どう見えているんだ。
婚約者の美的感覚が少し変わっていてよかったなと思いながら、両手をそっと広げるとシャルル王子は私の胸に嬉しそうに顔を埋めた。
----------------------------------------
『シャルル王子はモブ令嬢がお好き』
アリエルが好きだ。
あの日彼女とぶつかった時に受けた衝撃は、筆舌に尽くしがたい。
私の顔を包み込む、包容力が感じられる弾力。
彼女の体臭と控えめの香水が混じったほんのり甘やかな香り。
そのたわわな果実に手で触れ夢中で揉むと、この世のものではないかのような柔らかな感触が手のひらに伝わる。
触覚も、嗅覚も、全ての感覚を動員し私はそれを味わった。
――ああ、この人が欲しい。
その後の私は沸き上がったその気持ちに、実に忠実に行動したのであった。
「シャルル……」
「なんですか、兄上」
今はアリエルと兄上とのお茶会中。
長椅子の上で私はアリエルの豊満な胸に顔を埋めて匂いを嗅ぎながら、兄上に返事をした。
ちらり、とアリエルの方を見上げると、彼女は羞恥で顔を真っ赤にして震えている。
……可愛いな。
ものすごく美形だというわけではないが素朴な雰囲気でよく見ると整っている、そんなアリエルの顔が私は好きだ。
私も兄上も顔が派手すぎるのだ。アリエルくらいで丁度いいのじゃないかと正直思う。
「アリエル、可愛い」
思わず正直な気持ちを口からこぼすと、アリエルは更に真っ赤になる。
兄上は心なしか気まずそうに私達から目を逸らし紅茶を啜った。
「……兄上、何か言いたいことがあったのでは?」
「これはアリエル嬢と俺との交流を深める目的もある茶会だ。お前がそんな風にしていては、アリエル嬢も話しづらいだろう」
兄上の話を聞き流し私がアリエルの胸を揉むと、アリエルは『ひぇっ』と小さく悲鳴を上げた。
それに構わずたわわな至宝を揉み続けると兄上はため息をついて、明後日の方向を向いた。
……兄上となんて、話さなくていい。
アリエルは確実に私の顔が好きだ。その証拠に、よく私の顔を凝視し見惚れて赤くなっている。
――つまりはきっと、兄上の顔も好きだ。
それにしても素晴らしい感触だな……こんなお茶会切り上げてアリエルともっと愛し合いたい。
「兄上、邪魔だから出て行ってください」
「いや……むしろ部屋に行ってやれ。ここでするな」
私がそう言うと兄上は呆れたように返し、窓の外に目を向け遠い目をした。
後でアリエルにめちゃくちゃ怒られたが……私は後悔していない。
----------------------------------------
『フィリップ王子の困惑』
弟……シャルルは昔から聡明だった。
俺がもしも暗殺などでいなくなっても、弟がいればこの国は安心だ。
素直にそう思える、俺の自慢の弟。
その聡明なシャルルが何故こんなことになったのか……。
シャルルの婚約者のアリエル嬢も含めたお茶会の日。
シャルルは今日も婚約者殿の胸に埋もれ、繰り返し睦言を囁いていた。
彼女といる時のシャルルはいつもこの調子である。
その光景を見ながら飲む紅茶の味は、なんだかとても渋い味がする……そんなことを思ってしまう。
シャルルの婚約者殿はなんというか……少し地味……いや、清楚系の見た目である。
弟の趣味はもっと派手な女性かと思っていたので、清楚な見た目の彼女にご執心と知った時は少し驚いた。
ふわりと伸びた黒髪、切れ長な黒の瞳。よく見ると整った、好感が持てる顔立ち。
まぁ、清楚なのはある一部分を覗いてなのだが。
シャルルが現在埋もれている彼女の胸は、なんというかすごい。
細い腰の上に、どん、と立派なサイズのメロンが二つ鎮座している。
それは張りがあり、美しい形の曲線を描いており、つんと上を向いていた。
……男なら二度見三度見をついしてしまうような、非常に魅力的な胸なのだ。
「はぁ……アリエル、アリエル」
弟は幸せそうにその男の憧れに顔を埋めている。
……少し羨ましい、なんて思う心を俺は紅茶と共に飲み下した。
『モブのお顔は印象が薄い』(悩むモブ令嬢と、テンションが高い婚約者)
『シャルル王子はモブ令嬢がお好き』(婚約者に夢中な王子のお話)
『フィリップ王子の困惑』(兄から見た弟たち)
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『モブのお顔は印象が薄い』
私は、鏡の前で首を捻っていた。
今日は王宮でシャルル王子とお会いする日。
なのでせっかくだから彼から頂いたドレスを着て登城しようと思ったのだけれど……。
「やべぇ。ドレスに顔が負けてる……」
そう、そうなのだ。
私はそもそもモブ。スチルに背景として溶け込むようなお顔じゃないとその仕事が果たせない。つまり没個性の極みのような顔立ちなのだ。
シャルル王子から頂いた赤の胸元がとっても大きく開いているセクシー仕様のドレスは、私の顔に完全に勝利していた。
「……シャルル様が、がっかりしないといいなぁ」
そんなことを呟きながら美麗すぎるお顔の婚約者の顔を思い浮かべる。
……彼の方が、この派手なドレスが似合いそうな気がする。
くっそ、美少年め。ずるい。
なんとなく重い気分で支度をし、王宮へと向かうと。
「アリエル! 私が贈ったドレスを着てくれたのか! 似合う、とても似合うな! 流石アリエルだ。アリエルはせっかく可愛らしい顔をしているのに、いつも地味なものを着ているからもったいないと思っていたんだ。素敵だぞ」
テンションがめちゃくちゃ高い婚約者に出迎えられた。
シャルル王子は私の周囲をぐるぐると旋回し『可愛い』『好きだ!』を連発する。
……この婚約者に私の容姿は、どう見えているんだ。
婚約者の美的感覚が少し変わっていてよかったなと思いながら、両手をそっと広げるとシャルル王子は私の胸に嬉しそうに顔を埋めた。
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『シャルル王子はモブ令嬢がお好き』
アリエルが好きだ。
あの日彼女とぶつかった時に受けた衝撃は、筆舌に尽くしがたい。
私の顔を包み込む、包容力が感じられる弾力。
彼女の体臭と控えめの香水が混じったほんのり甘やかな香り。
そのたわわな果実に手で触れ夢中で揉むと、この世のものではないかのような柔らかな感触が手のひらに伝わる。
触覚も、嗅覚も、全ての感覚を動員し私はそれを味わった。
――ああ、この人が欲しい。
その後の私は沸き上がったその気持ちに、実に忠実に行動したのであった。
「シャルル……」
「なんですか、兄上」
今はアリエルと兄上とのお茶会中。
長椅子の上で私はアリエルの豊満な胸に顔を埋めて匂いを嗅ぎながら、兄上に返事をした。
ちらり、とアリエルの方を見上げると、彼女は羞恥で顔を真っ赤にして震えている。
……可愛いな。
ものすごく美形だというわけではないが素朴な雰囲気でよく見ると整っている、そんなアリエルの顔が私は好きだ。
私も兄上も顔が派手すぎるのだ。アリエルくらいで丁度いいのじゃないかと正直思う。
「アリエル、可愛い」
思わず正直な気持ちを口からこぼすと、アリエルは更に真っ赤になる。
兄上は心なしか気まずそうに私達から目を逸らし紅茶を啜った。
「……兄上、何か言いたいことがあったのでは?」
「これはアリエル嬢と俺との交流を深める目的もある茶会だ。お前がそんな風にしていては、アリエル嬢も話しづらいだろう」
兄上の話を聞き流し私がアリエルの胸を揉むと、アリエルは『ひぇっ』と小さく悲鳴を上げた。
それに構わずたわわな至宝を揉み続けると兄上はため息をついて、明後日の方向を向いた。
……兄上となんて、話さなくていい。
アリエルは確実に私の顔が好きだ。その証拠に、よく私の顔を凝視し見惚れて赤くなっている。
――つまりはきっと、兄上の顔も好きだ。
それにしても素晴らしい感触だな……こんなお茶会切り上げてアリエルともっと愛し合いたい。
「兄上、邪魔だから出て行ってください」
「いや……むしろ部屋に行ってやれ。ここでするな」
私がそう言うと兄上は呆れたように返し、窓の外に目を向け遠い目をした。
後でアリエルにめちゃくちゃ怒られたが……私は後悔していない。
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『フィリップ王子の困惑』
弟……シャルルは昔から聡明だった。
俺がもしも暗殺などでいなくなっても、弟がいればこの国は安心だ。
素直にそう思える、俺の自慢の弟。
その聡明なシャルルが何故こんなことになったのか……。
シャルルの婚約者のアリエル嬢も含めたお茶会の日。
シャルルは今日も婚約者殿の胸に埋もれ、繰り返し睦言を囁いていた。
彼女といる時のシャルルはいつもこの調子である。
その光景を見ながら飲む紅茶の味は、なんだかとても渋い味がする……そんなことを思ってしまう。
シャルルの婚約者殿はなんというか……少し地味……いや、清楚系の見た目である。
弟の趣味はもっと派手な女性かと思っていたので、清楚な見た目の彼女にご執心と知った時は少し驚いた。
ふわりと伸びた黒髪、切れ長な黒の瞳。よく見ると整った、好感が持てる顔立ち。
まぁ、清楚なのはある一部分を覗いてなのだが。
シャルルが現在埋もれている彼女の胸は、なんというかすごい。
細い腰の上に、どん、と立派なサイズのメロンが二つ鎮座している。
それは張りがあり、美しい形の曲線を描いており、つんと上を向いていた。
……男なら二度見三度見をついしてしまうような、非常に魅力的な胸なのだ。
「はぁ……アリエル、アリエル」
弟は幸せそうにその男の憧れに顔を埋めている。
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