【R18】悪役令嬢は元執事から逃げられない

夕日(夕日凪)

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本編

月のための箱庭

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目が覚めると、そこはベッドに机、クローゼットがあるだけの簡素な部屋だった。
知らない部屋で寝ている事に驚き……見られる範囲の周囲を見渡すけれど誰もいない。
そして違和感に気付く。
この部屋には、窓が無いのだ。
……ここは、地下なんだろうか……。

「ここは……?」

身を起こすと下腹部に重だるい違和感を感じてマクシミリアンにされた事を思い出した。
恐る恐る自分の体を見ると薄手の白いワンピースを着せられており、汗と体液まみれだった体はなんだかさっぱりとしている。
しかし下着は着せて貰っていないらしく、下半身が空気を感じて心もとなかった。
馬車を飛び降りた際の擦り傷などは綺麗に手当てしてあった。
誰かに気絶している間に世話をされたのか……あんな、辱めにあった残滓が残る体を。
想像しただけで気が遠くなる。
あの後マクシミリアンが3回……いや、4回……?わたくしの中に精を放った頃に意識は手放してしまった。
気絶している間も、中に出されてしまったんだろうか……。
下腹部を思わず撫でるけれど、分かるはずもない。
……妊娠していたらどうしよう……。
そんな可能性を考えて涙目になってしまった。
愛の無い、子供を身ごもるなんて辛すぎる……。
マクシミリアンはわたくしをどうする気なんだろう。

『……貴女は、私のものになるんです』

マクシミリアンはそう言った。
ならばここは……彼が用意した部屋なんだろう。
この部屋で犯され続け、子を孕まされるんだろうか……でも何のために?
マクシミリアンには愛するヒロイン……シュミナ・パピヨンがいる。
彼らは確かに、仲良く寄り添い、愛し合っていた。
だからこそわたくしは……自分の『物』が取られてしまうと焦りを感じ……彼女を殺そうとしたのだ。
今考えると……なんて浅ましい感情だったのだろう。

(彼が居ない今なら……逃げられるかもしれない)

そう思い、ベッドから下りようと足を動かした時に、違和感がある事に気付いた。
チャリッと足首から音がする……そっと布団をめくってみると、そこには足枷と壁に繋がっている細い鎖があった。

「え……なに、これ」

鎖を引っ張ってみるけれど案外丈夫なようでピンと張るだけで壁から外れる気配も千切れる気配もない。
部屋に備え付けてある風呂場、トイレには届く長さになっているようで……マクシミリアンの意図が透けて見えて、蒼褪めた。

(これって……監禁……)

どうして……どうしてなの?
先程わたくしが『どうして』と問うた時、マクシミリアンは言っていた。
『それくらい……ご自分で考えられないのですか?』と。
いくら考えても彼の行動は恨みからだという結論になってしまうけれど……。
それにしては何か違和感があるのだ。
復讐したいだけならば、それこそゲーム中のように……暴力を振るって娼館に落とす、そっちの方がシンプルで道理にかなっている気がする……当然されたら困るのだけれど。
なのに彼は……。
憎い女に対して、恋人のように唇を重ね、時間をかけて丁寧に愛撫をし、何度も何度も膣内に精を放ち、子供が出来たら産んでもいいなんて訳が分からない事を言う。
あのマクシミリアンの行為は、どう考えても恋人のシュミナ・パピヨンとやるべき行為じゃないの?
それに加えこの監禁だ。
これがマクシミリアンの住居だとすると、同じ場所にシュミナもいるのかしら。
いや……そんな訳が無い。きっと別邸か何かね。
でも男爵家の三男でシュラット侯爵家に仕える身分(わたくしの罪を告発した今となっては仕えているかは怪しいのだけれど……)のマクシミリアンが別邸まで用意出来るのかしら……。
何にしても……わたくしが性の捌け口なのだとしても、シュミナへの裏切りじゃない。

「ビアンカ、目が覚めたのですね」

扉が開いて、マクシミリアンが入って来た。
彼はシンプルな白のシャツと黒のズボンを履いており、わたくしの側に仕えていた頃の見慣れた執事服ではない彼の姿にはどうしても違和感を感じてしまう。
……でも、もう貴方はわたくしの執事じゃないんだものね。
そしてわたくしも『ビアンカ・シュラット侯爵令嬢』ではなくただの『ビアンカ』だ。

「ここは……どこなの?」

答えてくれるだろうか……そう思いながらも訊ねてみた。

「貴女と私の、家ですよ」

マクシミリアンがさらりと言うので目が丸くなる。
わたしと……マクシミリアンの?シュミナじゃなくて?

「待って、マクシミリアン。貴方の恋人の……シュミナ・パピヨンは?」

わたくしがそう問うと、マクシミリアンは可笑しそうに声を立てて笑った。
そしてベッドに近付いて来ると、わたくしの横に腰を下ろした。

「マ……マクシミリアン?」

前世のゲーム中も、今世のわたくしの執事をしていた時も。
マクシミリアンがこんなに感情豊かに声を上げて笑うシーンなんて見た事が無い。
彼は無口で、冷静で、冷徹で、無表情で、本当に愛する者の前でしか表情を崩さない。
そんな人だった……はずなのだ。

「ああ、本当に鈍くて可愛いですね、ビアンカは」

彼は熱の篭った視線を投げながら、わたくしの頬を撫でた。
その手のひらの感触に、先ほどの事を思い出して思わず後ずさるけれどすぐ壁にぶつかってしまう。
鈍い?可愛い?マクシミリアンは、何が言いたいの?

「あの娘は、利用させて頂いただけですよ。身分を失いただの女になった貴女を……手に入れる為に」

……シュミナ・パピヨンを利用した?
わたくしを手に入れる為に?
彼女を使って……わたくしが罪を犯すように仕向けたという事……?

「分かりませんわ……」

訳が分からなくて、ゆるゆると被りを振るとマクシミリアンがまた楽しそうに笑う。
そしてしなやかな動きでわたくしの方に移動すると、壁に追い詰めるように片手を付いた。
……前世のわたくしであれば『推しの壁ドン!』なんて思うのだろうけれど、実際にこんな事をやられても恐怖しか湧かない。
彼は本当に嬉しそうに笑いながら、わたくしの髪を一房取ると口付けた。

「貴女は、気付いてなかったですからね。私が……どんな劣情を抱えて貴女のお側に居たか」
「劣……情……?」

マクシミリアンには縁遠い言葉だと、実際に散々犯された今でも思ってしまう。
彼はいつでも清廉な空気を身に纏い、どちらかというと下世話な事を嫌っていると……そう思っていたから。

「はい、お側に仕えながらずっと……。貴女の苛烈な心を折り、絶望させ、処女を奪い、ドロドロになるまで犯し、逃げられないくらいの快楽で満たして、私の子を孕ませたいと思っておりました。私を犬のように蔑む貴女に、私の存在だけを刻み付けたいと。私にだけ感情を向ける存在になって欲しいと……例えそれが憎しみだとしても」

彼のあまりの言葉に、呆然とするしかなかった。
信じられない……彼の心の中には、わたくしへの憎しみしかないと……思っていた。
だけどまさか、こんな事を考えていたなんて。
わたくしの隣に仕えながら……ずっとわたくしを犯したいと、思っていたの?
そんな事、ある訳がない。きっとこれは夢なんだ。

そんな現実逃避をしながらマクシミリアンから目を逸らそうと身じろぎをすると……彼が先程たっぷり出したものが蜜壺から零れて。
ああ、これが現実なのかと、引き戻された。

「ああ、やっと……やっと貴女は私のものだ」

まるで恋する乙女のように頬を染めてうっとりとし、美しい顔に柔らかな優しい笑みを浮かべ。
熱が篭った視線をわたくしの怯えた視線に絡めながら彼は囁く。
そして……わたくしの肩を押してベッドに押し倒した。
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