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第十七夜 イケメン僧侶はアイドル 前編
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「枕草子」にも、
「読経や説教をする僧侶は、イケメンの方がいい。イケメンであればあるほど、尊いことを語っているような気がする。逆にブサイクだと、説教のありがたみも感じず、内容もすぐ忘れてしまう」
とあるように、寺や宮中で行われる法事は、娯楽の少ない宮中の女性たちにとって、現代で言う、アイドルのコンサートのようなものであった。イケメンで説教の上手い若い僧侶は、女官たちにとって、まさしくアイドルだったのであ
清少納言さまが、誰が見てもわかるくらいにウキウキされている。
元々明るい方だが、今日はびっくりするくらいに明るい。
「はあ~い、蔦葛ちゃん、元気してる?」
いきなり背後から抱きつかれた。
「ど、どうなされたのですか?」
「明日、何があるか知ってる?」
「明日?」
何があるというのか。
「最慶寺で、法事があるのよ」
「はあ」
「そこの空澄さまっていうお坊さまが、超麗しいお方なのよ」
ようやく話が飲み込めた。
「そんで、ステキにバチ当たりなお方なの」
来た来た。やはりそういう話か。
「まずお声がね。とっても艶っぽいの。アタイ、お経聞いてるだけで濡れてきちゃってさ」
うん、確かにバチ当たりだ。
「そんで、法事が済んでから、声をおかけしたのよ。もちろん向こうも慣れたもんで、すんなりことが運んだわ」
いつの間にか、他の侍女たちも集まってきて、清少納言さまの話に聞き入る。
「彼ったら、脱がせるのも上手いの。それから、指と口で、全身を愛撫してくれた。それだけで、三度はイかされちゃった」
それから、声をひそめて、
「彼の舌って、すごい長いの。それがホトの中をうごめく感じが、どんなものか想像できる?」
聞き入る侍女たちの瞳が、だんだん潤んできた。きっと私の瞳も、潤んでいるのだろう。そして、潤んでいるのは瞳だけではない。
「もちろんその間も、手は優しく、私の乳を揺らすの」
清少納言さまが、ご自分の体を抱き締めると、誰からともなく、きゃあ、と嬌声があがった。
「読経や説教をする僧侶は、イケメンの方がいい。イケメンであればあるほど、尊いことを語っているような気がする。逆にブサイクだと、説教のありがたみも感じず、内容もすぐ忘れてしまう」
とあるように、寺や宮中で行われる法事は、娯楽の少ない宮中の女性たちにとって、現代で言う、アイドルのコンサートのようなものであった。イケメンで説教の上手い若い僧侶は、女官たちにとって、まさしくアイドルだったのであ
清少納言さまが、誰が見てもわかるくらいにウキウキされている。
元々明るい方だが、今日はびっくりするくらいに明るい。
「はあ~い、蔦葛ちゃん、元気してる?」
いきなり背後から抱きつかれた。
「ど、どうなされたのですか?」
「明日、何があるか知ってる?」
「明日?」
何があるというのか。
「最慶寺で、法事があるのよ」
「はあ」
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ようやく話が飲み込めた。
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来た来た。やはりそういう話か。
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うん、確かにバチ当たりだ。
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それから、声をひそめて、
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