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第2章 学校編
第27話 入学試験(1)
しおりを挟むアスタリストダンジョンをクリアしてから数ヶ月が経った…
魔術を使い始めてわかったことだが、人の身体には魔力というものが秘められている。
その魔力をイメージと共に放出することで魔法と成すのだ。
使える魔法は等級ごとに変わり、等級が上がるにつれ強い魔法が打てるようになる。
使える魔法のイメージは自分の記憶の中に刻まれ、より鮮明にイメージすることが魔法の練度を上げるコツだ。
俺が今使える魔法は全属性の中級魔法まで。
つまり、全属性の【バレット】系と【ランス】系。
そして神固有魔術【神の制裁】。
初めて聞く魔術だが、神固有魔術と書いてあるため俺しか使えない魔術なのだろう。
魔術を使うためには魔力を消費する。
そして魔力の保有量は人によって違うのだ。
今の俺では中級魔術の【ランス】系を10発程打ったら魔力が切れてしまう。
魔力を増やす方法を沢山探って見たのだが、未だ発見されていないという。
魔術の才が手に入ったのに、相変わらず才能は無いままか…
だが心配することはない!
実は魔力保有量を増やす方法を俺は知っているのだ。
それはひたすら魔術を使い魔力切れを起こすことだ!
そうすれば魔力保有量が強化される…はず。
魔力切れで保有量を増やしていくのはファンタジーの基本だからね!
きっと増えてくれるさ…きっと。
それからというもの、暇さえあれば魔術を使い魔力切れを起こし、回復したらまた魔術を使い魔力切れを起こす。
魔力保有量が増えることを願ってひたすら繰り返した。
そしてついに剣魔術教育学校の入学試験日がやってきた。
魔力保有量はというと…
なんと増えたのだ!
ちっぽけだった魔力が、当初に比べ約10倍程に膨れ上がった。
やっぱり魔力切れがきっかけだったらしいね。
さすがファンタジー!
こんなに魔術が使えるようになるんだったら、試験科目を剣術と魔術にすれば良かったかな?
しかし、もう試験日が来てしまったんだ。
今考えても仕方がない。
筆記試験の内容もしっかりと勉強したしね!
きっと受かるはずだ!
緊張しながらも俺は剣魔術教育学校に足を運んだ。
「まず初めに筆記試験を行います!受験者はこちらに進んでください!」
案内役の人が道案内をする。
まずは筆記試験…
俺は案内役の人に導かれ教室に案内される。
受験者の人数が多いため、何クラスにも分けて筆記試験を行うようだ。
俺は席に着く。
「では、これより筆記試験を始める!
制限時間は全教科合わせて2時間だ!
各自全力を尽くせ!始め!」
筆記試験が始まる。
掛け声に合わせみんな紙をペラペラとめくり始める。
俺も遅れを取る訳には行かないな。
俺もみんなと少し遅れ紙をめくる。
なんだこれ…
俺は問題用紙を見て絶句する。
この問題…簡単すぎる!
ほとんど全部分かるぞ!?
俺の手は止まることなく次々と空白を埋めていく。
政治と作法の問題は少し躓くところもあったがだいたい8割は取れただろう。
そして歴史は前日叩き込んだおかげで9割程取れている自信がある。
肝心の計算だが、簡単すぎた。
恐らく100点で間違いないのではないだろうか。
もしかしたら首席とか?有り得ちゃうかも?
と、調子に乗るのは程々にしよう。
まだ実技試験が残っている。
「続いて剣術の試験を行う!
受験者はこの奥にある武道場に集まれ!」
剣術を受ける者は先へ進み、魔術を受ける者は校門前へ戻っていく。
俺も剣術を受ける人の列に沿って進む。
さて、剣術の試験はどんな内容なのだろうか!
「これより剣術の試験を始める!
全員試験用の木剣を取れ!」
たくさんの木剣が机の上に並べられる。
刃が欠けている物や持ち手が擦れている物、色々な木剣がある。
これは木刀によって試験結果が左右されそうだ。
「比較的マシな木剣は…これだな」
俺は周りの木剣を見比べ、比較的マシな物を手に取った。
「全員木剣を手にしたな!
剣術の試験は2種類行う!
まずは的を斬ってもらう!」
試験官の声と共に鉄の鎧を装備した模型が出現する。
「これを木剣で斬れって!?無理だって!」
「案ずるな!完全に斬る必要はない!
傷のつき具合によって点数を付ける!チャンスは1回だ!」
なるほど、剣筋と威力を見る試験か。
「名前を呼ばれたものから順に試験を受ける!1人目はヨカフ・トンシー!」
ヨカフが前に出て剣を構える。
ヨカフ!?
ヨカフってあのいじめっ子のヨカフ・トンシー!?
まさかヨカフがこの学校に入学しているとは…
絶対に関わらないようにしよう。
「はぁぁ!【ストップ】!」
ヨカフの剣が一瞬その場に停止し、数秒後重い斬撃が的を潰した。
「なんだ今の技!」
鉄の鎧を装備した模型はぺちゃんこに潰れている。
「点数100点!」
おいおいおい…
いきなり100点出ちゃうのは違うだろって。
「「「うぉぉ!すげー!」」」
ここは俺が100点出して盛り上がるはずなのにー!
それにしても今の技はなんだったんだ?
ヨカフの職の能力なのだろうか?
「次メリア・フォン・ユメツリオ!」
黒髪ロングの美少女が前に出る。
次やる人が可哀想だ___
俺はその人の姿を見ると俺の脳内に衝撃が走った。
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