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第2章 学校編
第34話 日本人
しおりを挟むそれから剣術組と魔術組共に厳しい訓練を行い昼時を迎えた。
「はぁ~疲れた~」
「もう魔力が切れそうだよ~」
「つらい…」
俺たち3人は教室の椅子に座りだらけている。
メリアは少し用事があるからと言ってどこかに行ってしまった。
結構急いでたようだから何か急用でもできたのだろか?
ぐーー
「今のはなんの音だ?」
アートがお腹を抑えてそっぽを向く。
少し顔が赤くなっているように思える。
「アート?」
「…えへっ、えへへっ」
「笑って誤魔化すな!
まぁ、俺もお腹空いたしお昼でも食べようか!」
「そうだね。」
俺たちは各自で持ってきていたお弁当を広げる。
「みんな待って!」
メリアが慌てて教室に入ってくる。
手には大きなお弁当箱が下げられている。
「みんな私抜きで食べようとしてたの?いい度胸ね!」
「メリアこそどうしたんだそれ?」
俺はメリアの手に下げられている弁当箱に視線を向ける。
「これはねー…じゃじゃーん!」
メリアが何段にも積まれたお弁当箱を広げる。
「うわーすごい!」
「どれも高級そうだな」
「美味しそう…」
「みんなで食べましょ!」
「さすがは王女様、敵わないね!」
「「………??」」
俺とシシーはアートの言葉に思わず黙り込む。
「王女様…?」
「そうだよ?」
「言ってなかったかしら?
私はメリア・フォン・ユメツリオ、ユメツリオ王国の王女よ!」
「「………えー!?」」
確かに今考えてみればメリアの姓はユメツリオだ。
なぜ今まで気づかなかったんだ…!
一緒に帰ったり馴れ馴れしく接したり、俺めちゃくちゃ無礼なやつじゃないか!?
「王女様だとは知らずに無礼を働いたことをお許しください!!」
俺は咄嗟にメリアに土下座をする。
「いいのよ!
私は堅苦しいのより友達として接してもらった方が嬉しいから!
土下座なんてしないでよ!」
「良かった…」
俺は胸を押えほっとする。
「ぷっぷっ、ルイス今のポーズ面白かったよ」
「初めて見た…ぷっ」
アートとシシーは俺の土下座に対して笑う。
「おい笑うなアート!それにシシーまで!」
アートはいいとして普段静かなシシーまで笑ってるじゃん!
そんなにおかしい___まてよ…?
シシーは今初めて見たと行ったか…?
アートだって恐らく初めて見て面白かったから笑っているのだろう。
それじゃあなぜメリアは土下座を知ってるんだ…?
考えられる理由は…もしかしたらメリアの国は土下座の文化があるのかもしれない…
または、メリアは前世の記憶を持ち___
「早くご飯食べましょ!」
俺が重要な考えにたどり着こうとした時にメリアが話を切り出す。
「冷めちゃったら勿体ないしね」
「早く食べる…」
「そうだね、食べようか!」
俺は胸の前で手と手を合わせる。
「「いただきます!!」」
俺とメリアは同じ手を合わせたポーズで同じ言葉を発する。
「「………?」」
アートとシシーは不思議そうな顔で俺とメリアを見ている。
「さっきから初めて見る面白いポーズやってるけどどーゆー意味なの?」
いただきますの意味…
いただきますは日本でしかない。土下座もそうだ。
つまり、メリアがこの意味を答えられるのならば、メリアは日本人だったということになる。
俺メリアの方に視線をやる。
「私?えーっとね、いただきますの意味はね、食事をする前にこれから食べるお肉や野菜の命に感謝して敬意を表す意味があるんだよ!」
「へぇー敬意かー」
「そんなこと考えたこと無かった…」
「ルイスとメリアって物知りだね!」
「これは私の故郷の習わしでね!」
「故郷ってユメツリオ王国のこと?」
「うーん、少し違うかな?私が産まれる前のー…って言ってもわかんないか!
この話は気にしないで!」
これで確信した。
今の故郷の話し方からして恐らく前世のこと。
そして前世、つまり前の世界で土下座やいただきますがあるのは地球で日本しかない。
メリアは間違いなく日本人だったんだ。
つまり、俺と同じ転生者だということだ!
「じゃあ食べよう!」
「そうだね!」
俺たちはメリアが持ってきてくれた料理に手をつける。
「美味しい!」
「美味いな」
「おいしい…」
俺らはしばらくメリアの持ってきてくれたお弁当を頬張った。
メリアと前世について話したいんだけど、そろそろ切り出していいかな。
「メリア、少し話したいことがあるんだけど少しいいかな?」
俺はメリアと2人きりになれる様に誘い出す。
「いいよ!」
メリアは元気に着いてきてくれた。
俺は学校の少し人だかりが少ない場所にメリアを導く。
「なぁ、メリア」
「どうしたの?」
「地球、日本って知ってるか?」
日本というワードを聞いてメリアの身体が一瞬微かにビクついた。
「知ってるんだな」
「知ってるけど…ルイスはなんで知ってるの?」
「俺もメリアと同じだからだ」
「同じ…?」
「俺は転生者だ…」
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