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第2章 学校編
第38話 課外授業(2)
しおりを挟む俺たちはアオを含めた5人組で課外授業を行うことになった。
「皆さん準備は出来ましたかー?」
「「「はーい!!!」」」
「それじゃあ出発しますよー!」
俺達は各自で準備を終わらせ、街の外へと出発した。
「みんな、ここから先は森だ。
魔物が出るからしっかり気を引き締めるんだ」
「何か緊急事態になった時は、さっきみんなに配った発煙筒を使ってね!
そしたらすぐに助けに行くから!」
「…全力でやれば…大丈夫…」
発煙筒…
俺たちの班はアオに発煙筒を持たせることにした。
アオの職は『罠を仕掛ける者 有能級』。
直接戦闘に関わることは無く、逃げるのにも長けている為、アオが適切だと判断した。
俺は本当は反対なんだけどな…
まぁ、このパーティーなら緊急事態に陥っても対処することは可能だろう。
「それじゃあ朝決めた5人組で出発してくれ!
目的はコボルトの討伐だ!討伐したら証として耳をちゃんと取って来るんだぞー」
今回の目的はコボルトの討伐。
コボルトは初級の魔物で戦闘職の者であれば簡単に倒すことができる。
ましてや5人組で戦うなどコボルトが可哀想になるくらいだ。
「それじゃあ出発しましょ!」
「レッツゴー!」
メリアとアオがピックニックに行くかのように元気に出発する。
メリアに加えアオまで、さっき気を引き締めてって言われたばかりなのに…
それから俺たちはどんどん森の奥へと進んで行った。
この森に起きている異変など知らずに…
「ねえ、もう森に入ってだいぶ経つのにまだ魔物は出ないわけ?」
「たっ、確かに…!1回も魔物と遭遇してないね」
メリアの言葉に対してアオがぎこちなく賛同する。
「魔物が少ない日とか……?」
「いや、それはないよ。
魔素の濃度は薄くない。なんならいつもより濃いくらいだ。
魔物はいるはずなのに出会わない。
濃度が高く、数が少ない…」
アートは顎に手をつけて考え、的確に状況を推測する。
「濃度と数………まさか…!?」
アートが閃いたかのように大きな声を出す。
「何かわかったのか?」
「早く戻って知らせないと…!
課外授業は中止だ!!」
アートは何か分かったのか、慌てて戻ろうとした…が、その時___
「ウォォォォ!」
森の奥から咆哮が上がる。
俺たちが異変に気づいた頃には、既に事態は深刻化していた。
「みんな緊急事態だ!」
「アートどういうことなのか説明してくれ!」
「濃度が高くて数が少ない…即ち、強い魔物が発生していると言うことだ…!」
「うそ…それじゃあ他の皆は!」
「早く助けに行かないとまずい状況になる…」
どうやら俺が思っていたよりも不味い状況になってるようだ。
「みんな急いで引き返そう!」
「あれ見て…!」
俺達が引き返そうと後ろへ振り向いた時、メリアが何かを見つける。
「あれは発煙筒!?」
「沢山上がってる…」
俺たちの背後にはクラスメイトが上げたと思われる煙の柱が無数に立っていた。
「早く助けに行こう!」
俺たちはアートを先頭に後ろへ引き返そうとした…が___
「悪いね!【トラップ 落とし穴】!さらに【トラップ 粘着液】!」
なんとアオが俺たちの足元に落とし穴を作り、さらにそこに粘着液をかけた。
「危ない!」
「なに…!?」
「アオ何して…!?」
「アオ…?」
俺は間一髪で落とし穴を抜け出し、粘着液を避けることが出来た。
しかし、アートやシシーそれにメリアまで。
アオのトラップによって捕まってしまった。
「へぇー、今の避けることができるんだ…
無能職って聞いてたけど結構やるみたいだね」
「何がしたいんだアオ!」
まさかとは思っていたが、本当にアオがこんなことをするなんてな。
やはり俺の危機察知センサーは間違っていなかったんだ…!
「悪いけど、君達を戻らせる訳にはいかないんだよね。
それに、殺したい人物もいるし」
アオが俺の前に立ちはだかる。
「まさか…!
君はこの事態に関係があるのか!?」
魔物の凶暴化、強敵の出現。
俺たちが戻ることで魔物が討伐されるのを防ぐ為…
そして殺したい人物…
アオは今起きているこの事態に関係しているに違いない!
「へぇー、意外と察しがいいんだね。
悪いけど、僕も暇じゃないんだ。大人しくして欲しいな。【トラップ 拘束鞭】!」
アオがトラップを使い無数の鞭を召喚する。
「俺だって、この事件に関わっている君を野放しにする訳にはいかないんだ…!」
俺は鞭を避けながらアオに接近する。
「乙女に近づかないでくれる?【トラップ トラバサミ】!【トラップ くくり罠】!」
アオが次々とトラップを設置し、俺の接近を妨げる。
「そんなの効かない!【収納】!」
俺はアオが仕掛けた罠をことごとく亜空間へ収納していく。
「そんな!?きゃっ!」
俺は無防備になったアオに駆け寄り、先程収納した拘束鞭で拘束する。
「んあっ…!やめっ…あっ…!」
アオが変な声を出して必死に抗う。
あのー…アオさん?
変な声出さないで頂けます?
俺は正しいことをしているだけなのに、なんか変なことしている気分になってくるじゃないか!
「ルイス何をしてるの…!?」
落とし穴の中からメリアの声が響く。
メリアに変な誤解されちゃったじゃないか!
ここは上手く誤解を解かないと…!
「あっ、えと、拘束してるだけだよ!」
「拘束!?ルイスあんた一体どんなプレイを…!?」
「んっ…!」
馬鹿か俺はー!?
さらにやばい方向に進んじゃったじゃないか!
もう誤解を解くのは諦めるか…
さらに悪い方向に進む気しかしない…
とりあえずメリア達を助けないと!
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