無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

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第2章 学校編

第39話 アオ・サトラム

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突然だが…僕にはやらなければならないことがある。

家族を助けるという大事な使命だ…

僕の名前はアオ・サトラム。
平民の元に産まれ、何不自由ない暮らしをしていた。

両親や街の人達からはとても可愛がられ、幸せだった。

兄弟はおらず一人っ子だった為両親にはすごく愛情を注いでもらっていた。

僕のお母さんは街でも有名な美人で、そんな人を落としたお父さんはすごく努力家だった。

僕はそんな家族のことがとても大好きだ。
この幸せな空間が一生続けばいいのに…そう思っていた。

僕が8歳の頃、突然にしてその幸せは崩壊した。

ある1人の人物によって…

いつものようにお母さんと僕の2人で街へ買い物に行っていた時のこと。

その日はいつもより人通りが少なく、お母さんの綺麗さが一際目立っていた。

しかし、それが仇となりある人物の目に止まってしまった。

その人物とは、アスタリスト王国の王子であるヘルウィー・ドル・アスタリストだ。
歳は10歳くらいで、評判が悪いことで有名だった。

彼は僕のお母さんを見つけるや否や直ぐに駆け寄って来てこう言った。

「ぐへへへ、お前には俺様の下に来る資格がある。連れてこい」

ヘルウィー・ドル・アスタリストは僕のお母さんを連れ去ろうとしたのだ。

ヘルウィーの指示により、護衛の兵たちがお母さんを無理やり連れ去ろうとする。

「やめなさい!離して!」

母は必死に抵抗するも、兵士2人がかりで押さえつけられる。

「やめて!お母さんを返して!」

僕は必死に抵抗したが、所詮子供の力など届くわけがなかった。

「チッ、黙れガキが!」

「きゃっ!」

僕は兵士に蹴り飛ばされる。

動けなくて下を向いていると、いつの間にかお母さんは連れ去られてしまっていた。

僕はどうしようもできず重い足取りで家に帰った。

「おかえり!遅かったじゃな___どうしたんだその怪我は!?それに母さんはどうした!?」

「…連れていかれちゃった…お母さんが…王子様に」

「は…?連れていかれた…?王子に…?」

父は直ぐに察することが出来た。

「そんなのおかしいだろ…!くそっ!くそっ!くそっ!」

父は机を叩きながら泣き叫ぶ。

その日を境にお父さんは変わってしまった。

努力家で家族思いだった父から、酒にまみれ暴力的な人へと変わってしまったのだ。

私はお父さんは頼ることが出来ないと分かり、1人でお母さんを助けに行くことにした。

門番に王子に連れ去られた者の子供だと話したらすんなりと通してくれた。

「アオ!来ちゃダメ!」

謁見の間にはヘルウィーと無様な姿の母がいた。

母は裸にされ、腹の辺りには奴隷印と思われる焼印が入っていた。

「お前にひとつ提案をしてやろう」

ヘルウィーが気持ち悪い笑みを浮かべ話しだす。

「お前の母が助けたいか?なら母の代わりにお前が働け。俺様の下僕になれ」

「アオ、だめよ!今すぐ帰りなさい!」

お母さんの声は届かず、僕の頭にはお母さんを助けることしかなかった。

「わかりました」

この返事によって恐ろしい悪夢が始まったのだ。

僕の腹にも奴隷印が入れられ、ざまざまな命令が下された。

下僕になってからわかったことだけど、ヘルウィーの職はなんと『中級悪魔 屈強級』だったのだ。

悪魔といえば人間よりも上位の存在…
あれは人では無い…魔物なのだ。

そして12歳の頃、剣魔術教育学校に王子のコネで入学し、ある命令が下された。

それは___

「メリア・フォン・ユメツリオを殺せ。
そして剣魔術教育学校を潰すんだ」

「…仰せのままに」

そして私は今回の課外授業で作戦を実行することにした。

ヘルウィーの職は『中級悪魔 屈強級』。
数々の能力の中に、魔物を生み出す能力があるのだ。

その能力を使って強い魔物を生み出し、剣魔術教育学校の生徒を皆殺しにする作戦だった。

しかし、生徒の中に規格外の存在がいることに気がついた。

それはルイストリア・フールだ。

彼は無能級なはずなのに、幻想級であるメリア・フォン・ユメツリオより強い。

本当は僕だけでこの作戦を遂行する予定だったが、化け物がいる以上ヘルウィー王子の力を借りざるを得ないと判断した。

「どうかお願い致します」

「ルイストリア・フールか…よかろう。くっくっく、この手であの女を堕とすのが楽しみだ…!」

ヘルウィーが自前の右手を見つめながら、不気味に舌なめずりをする。



◆◆◆



「メリア、アート、シシー、無事か!?」

俺はアオが作り出した落とし穴を覗き込む。

「私たちは無事よ!何とか抜け出せそう!」

メリアがベトベトの液体にまみれて俺に笑顔で手を振る。

これはー…うん。
変なことを考えるのはやめておこう。

「僕たちのことは大丈夫だから早く他の皆を助けに行ってあげて!」

「皆が危ない…」

確かに、あと少しすれば自力で抜け出せそうだ。
それに魔物が出ても3人なら大丈夫だろう。

「わかった!後で絶対合流だ!」

俺はメリア達に別れを告げ、発煙筒が上がっている方へと走り出す。

何とか間に合ってくれ!!


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