無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

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第3章 世界編

第82話 多重詠唱

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俺が1番恐れていること…
それは、職を打ち明けることによってこの関係が崩れてしまうことだ。

神と知り、今まで通りの対等な関係が築けなくなってしまうのは避けたい。

職関係なしに友達としてみんなには接して欲しい。

しかし、それをするのはすごく難しいことだと思___

「そんなの当たり前よ!」

メリアが俺の頼みに即答する。

「ルイスが神だとしても、ルイスはルイス。僕たちの仲間だよ」

「神が仲間…!」

シシーが自慢げに胸を張る。

「みんな…!」

俺は自然と涙が零れてくる。

「これからも頼りにしてるわよ!」

「ルイスにはずっと親友でいて欲しいからね」

「ルイスはいい仲間…」

「みんなありがとう…!」

良かった…
みんなと旅をすることが出来て…!

「これからもよろしく!」

俺は涙を拭い前を向く。

「任せなさい!」

「もちろん!」

「よろしく…」

メリア、アート、シシーでルイスを取り囲んで微笑んだ。

それからはみんなで楽しく夜ご飯を堪能した。

メニューはというと…うん。
予想はしていたけれど魚だけだった。

でも初めて食べる味付けですごく美味しかった!
シシーが骨まで食べていたのは驚いたけどね。

夜ご飯の後は宿の部屋を取ってみんなで軽く会話でもした。

「ふぁ~…眠くなってきたわね」 

メリアが口を押さえてあくびをする。

「もう時間も遅いし寝ようか」

「ルイス今日はありがとね!」

「こちらこそありがとう」

「じゃあお休みなさい!」

「おやすみ」

みんな各々の部屋に戻っていく。

もちろん部屋は男子と女子で分かれて2部屋取っている。

「アート、今から神の欠片を飲もうと思う」

俺は部屋に戻り神の欠片を亜空間から取り出す。

「それを飲めば新しい力が得られるんだね」

「そうなんだけど、飲むとどうしても気を失っちゃうんだ」

「じゃあどんな能力を手に入れたか分かるのは明日になるんだね」

「そうだね」

本当はネルフェと会って教えて貰えるんだけど、ネルフェのことはまだ言わないでもいいかな。

「じゃあ俺はもう寝るね。おやすみ」

「うん、おやすみ」

俺は蓋を開け、神の欠片を飲み干した。



「ルイストリア様、お待ちしておりました」

いつも通り、真っ白な部屋でネルフェが出迎えてくれる。

ん?でもなんかいつもと違うような…。

「ネルフェ…なんか存在感?がはっきりした?」

「存在感…ですか…?」

「うーん、なんか前は幽霊みたいな感じだったけど、今は形がはっきりしているというか…」

「恐らくそれは、ルイストリア様が力を取り戻しているからでしょうね」

「俺の力とネルフェの力は繋がっているってことか」

俺が力を取り戻した時、もしかしたら現実世界にネルフェが来れちゃったりして…

「可能性としては充分有り得ます。
私も元は現実世界に存在していましたので」

「ネルフェ!心を読むのは禁止だよ!」

「申し訳ありません。以後気をつけます…」

ネルフェが俺に叱られガッカリしたような態度を露わにする。

「それにしてもネルフェが現実世界に来れたとして、みんなに紹介するのが楽しみだな」

「そうですね。
ところで、新しく手に入れられたお力を説明なさいますか?」

「そうだった!お願い!」

今回戦闘に使える能力を手に入れられれば、武術大会で優勝することも確実になるだろうな。

どんな能力なんだろうか…!

「今回ルイストリア様が手に入れられたお力は、神固有魔術【多重詠唱】でございます」

「【多重詠唱】…?」

「【多重詠唱】とは、同じ魔術を同時に1つまでしか唱えられなかったのを、一気に短縮して魔術を重複して使用できるようになります」 

「魔術を同時使用?つまり詳しく言うと?」

「詳しく言いますと、例えば【ファイアボール】を放った後すぐに【ウォーターボール】を放って水蒸気を作ったり、【ファイアランス】を唱えた後【ウィンドバレット】で加速させたりなど、ルイストリア様が得意とされている技の詠唱時間が短くなり、複数の魔術を同時に唱えられるのです」

「じゃあ放たないで水蒸気を作ったり、ひとつの魔術を唱える時間でふたつの効果を発揮できるってことか…!」

「それだけではありません」

「まだあるの!?」

「同じ魔術を同時に唱えることも可能です。
例えば【ファイアランス】を10発同時に唱えたり、魔力が持つならば100発唱えることも可能です」

「そんなことも出来るの…!?」

改めて神固有魔術の力は凄まじいな…

「使用する際は【多重詠唱】を唱えた後発動する魔術と個数を唱えてください。
以上で【多重詠唱】の説明は終わりとなります」

「説明ありがとう。
起きたら早速試してみるよ!」

試すのが楽しみだな!

「そろそろお時間です」

「前と比べて今日は長く話せたから良かったよ」

「そうですね。私も楽しかったです」

ネルフェはお辞儀をして俺を見送る。

俺の意識はそこで遠のいた。


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