無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

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第3章 世界編

第93話 武術大会(3)

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「第1回戦6試合目、アート選手とシシー選手は会場へお越しくださいにゃ!」

「行ってくるね」

「2人とも頑張ってね」

「シシー負けちゃダメよ!」

「頑張る…」

それぞれの杖を握りしめ、2人は会場へ向かった。

「私御手洗に行ってくるわね!」

「ああ、いってらっしゃい。
さてと…」

1人になってしまった…

そういえば最近予言書の存在をすっかり忘れてたな。
ちょうど暇だし、待ち時間に少し読もうかな。

俺は久しぶりに予言書を取り出し、どこまで呼んだか記憶を頼りにページをめくる。

「確かここら辺まで読んだんだっけ?」



〈ライクリック王国主催の武術大会に優勝すればアオを生き返らせることが可能だ。
アクトル王国の次はライクリック王国に向かうといい。


最近、君は予言書を確認し無さすぎじゃないか。
俺が君のために書いた本だと言うのに…

今見てる時は、どうせライクリックダンジョンをクリアした後なんだろうな。
この本を見ていればレベルエンハンスのことを事前に知れたと言うのにな…

俺の事をもっと頼ってくれてもいいと思うんだけどな…〉



なんか…すごく拗ねてないか?
たしかに最近確認し無さすぎだとは思っています…
これからはちゃんと確認するようにします…



〈さて、気を取り直して予言の続きをしようか。

武術大会では気をつけた方がいい相手が1人いる。
それは025というやつだ。
数ある未来のうち最も起こりうる可能性が高いものをここに書き記している。
まぁ、俺なりに法則を見つけたからほぼ確実ではあるんだが、それでも未来が見えないやつがいる。
それは常識から外れた存在、本来そこにいなかった存在だ。
025とやらは上手く未来が見えない。
つまり、常識から外れた存在だということだ。
警戒を怠らないようにしてくれ。

武術大会の優勝者は君だ。
その後は襲撃がある。

襲撃を乗り切った後、。〉



(※文字の上に・が付いているものを赤い文字で書かれているものとします。)



ドサッ

俺の手から本がこぼれ落ちる。

久しぶりに見る赤い文字は過去のトラウマを思い出させた。

大切な仲間を助けられなかったあの絶望を…



◆◆◆



「それでは第1回戦6試合目、アート選手対シシー選手。…始めにゃ!」

審判が中央に立ち、合図とともに挙げていた手を下ろす。

「「「いけー!!やれー!!」」」

会場が歓声で包まれる。

「シシーとちゃんと戦うのって初めてじゃないかな?」

「…ん…負けない…」

「僕だって負けないよ。お互い全力で戦おう」

お互い一瞬の隙も見せずに睨み合う…

「【ファイアランス】…」

最初に仕掛けたのはシシー。
アートに向けて【ファイアランス】を放つ。

「【ウィンドエッジ】!」

「むっ…」

アートは【ウィンドエッジ】を的確に【ファイアランス】に当てて相殺する。

「今度は僕からだよ。【ウィンドバレット】!」

アートが【ウィンドバレット】を放つ。
しかし、シシーへ向けてではなく、何故か下斜め後ろへ向けて。

「なにをして…!?」

シシーはアートの予測外の行動に驚く。

「【ウィンドバレット】の風圧を使えば、こうやって素早く移動することが出来るんだよ」

「そんなのずるい…」

「これが僕なりの策だよ。【ウィンドバレット】!」

アートがさらに【ウィンドバレット】で加速し、シシーにトドメを刺しに行く。

「いや…来ないで…!」

「これで終わりだよ!【ウィンド___」

「___【ヘルフレイム】…!!」

「___おっと!!」

シシーは焦りのあまり、咄嗟に【ヘルフレイム】を放った。

「「「え………???」」」

全員がシシーの行動に目を丸くする。

「シ、シシー…?超級魔術は禁止じゃ…」

「…あ…」

「自分で使ってて気づいてなかったのか…」

アートが頭を抱える。

「シ、シシー選手!超級魔術の使用により失格にゃ!よって勝者アート選手!」

「「「………」」」

あまりにあっさりとした終わり方に全員が戸惑う。

「アート選手は2回戦の待機部屋へ、シシー選手はここで脱落となりますにゃ!」

「じゃあまたねシシー」

「またね…」

アートとシシーはお互い背を向け、反対方向へ歩いて行く。


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