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最終章 デスティザーク編
第132話 デスティザークVSフール
しおりを挟む「メリア!これを使って!」
ルイスが私に向かって1本の剣を投げる。
「この剣…」
軽い…手に馴染む…長さも丁度いいわ…!
「ルイス!良いレイピアね!ありがと!」
「剣が変わったくらいでいい気にならないでよねっ。君は僕には勝てないんだからっ」
「どうかしらね?」
メリアがレイピアを鞘から引き抜く。
「このレイピアのデビュー戦にしては丁度いい相手ね!
ここからは第2ラウンドよ!」
◆◆◆
俺はティフィラスと戦いながら、隙を見てメリアにレイピアを投げた。
「ルイス!良いレイピアね!ありがと!」
どうやら気に入ってくれたみたいだな。
実はあのレイピアはパメリア共和国でガーフナーさんに創ってもらったやつだ。
元々俺用じゃなくてメリア用に仕立ててもらったんだ。
だからあのレイピアを持ったメリアは最強になるだろうな。
「神ルイストリアァ!」
ティフィラスは強大な腕を素早く振る。
「【転移】」
俺は【転移】で軽々と躱している。
それにしてもこいつ、体力に底が見えない…
まともに相手をしたらこっちが削られるだけだ。
まずは一旦時間を稼いで、メリアが参戦してくれるのを待つか。
「逃げるなぁぁ!」
ティフィラスがルイスに向かってくる。
「【転移】」
俺は先程と同じように【転移】を使い避ける。
しかし___
「___ここだなぁ!!」
「はっ!?そんなの___」
___ピコンッ
《致命的ダメージを感知致しました。『結界の護り』を発動致します。本日、残り使用回数0回》
俺の周りに結界が発動し、ティフィラスの攻撃を防ぐ。
「くそがぁ!変な技を使いやがってぇ」
「今何が起きた…」
俺は間違いなく【転移】を使ってあいつの後ろへ避けたはず…
しかし、気づけばあいつは転移した俺の目の前に…
「まさか…転移読み…!?」
「どうしてわかったか教えてやろうかぁ?」
まさか俺でも気づかない【転移】の法則が___
「勘だよぉ…勘。ただの勘だぁ」
「勘…だと!?」
ふざけてる…ただの勘で転移読みが出来るわけない…
それともあいつの職による特殊な能力か?
転移先を読まれた以上、もう【転移】は通用しない…
さすが1stと言うだけあって紛れもなく強いな。
「今度こそ死んでもらうぜぇ。神ルイストリアァ」
◆◆◆
「はぁはぁ…はぁ…」
「はぁ…はぁ…」
シベルトとアシューは一晩中殴り続け、夜が明けようとしていた。
「(この2人速すぎる…!俺が入る隙が全くねぇ…!)」
「どうやら、貴方の方が体力の消耗が激しいようですね…」
「気づいてないと思ったか?お前、まだ本気じゃないだろ?」
「くっくっくっくっ…さすがに気づかれてしまいましたか…」
シベルトは不気味に笑い、纏っていたコートを脱ぎ捨てた。
「その腕!?」
「さすがデスティザークだ。その腕はキメラだな」
長い間隠されていたシベルトの腕が露になる。
黒く太い腕に鋭い鉤爪…
「まだこの力の扱いには慣れていませんが…使って差し上げましょう。
早く帰らなければティフィラス様が先に仕掛けてしまうかもしれませんしね」
「それは感謝する」
「(さっきまでは片手で戦っていたということか!?ただでさえ師匠と互角だったのに、これ以上強くなったら…!)」
「本当はあの忌まわしいルイストリアを殺すために取っておきたかったのですが…実に惜しい…」
「は…ルイスを殺す…だと!?」
シベルトの言葉を聞いたハリーの表情が険しくなる。
「おや?お知り合いですか?」
「知り合いも何も、ルイスは俺の息子だ!殺すとはどういうことだ!説明しろ!」
「なるほど…貴方を殺したら、ルイストリアは悲しむでしょうかね…?」
その瞬間、シベルトが不気味に笑った。
「逃げろ!ハリー!」
異変に気づいたアシューが急いでハリーに近づく。
「消え___」
___ザクッ…
一瞬の出来事だった…
「し…師匠…?」
ハリーの視点では、いきなりシベルトが消え、気がつけば目の前にある黒く太い腕がアシューを貫いていた。
「おや…?狙いを誤ってしまいましたか…」
「し、師匠!?!?!!!お前ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!」
ハリーが怒りのあまり剣を振り上げる。
「そんな剣、当たるわけが___なっ!?」
「逃がすわけ…ないだろ…!」
アシューは貫かれながらも、シベルトの腕を引きちぎる勢いで押さえ込む。
「離しなさい!」
「うぉぉぉぉ!!」
シベルトを押さえるアシューの力がますます強くなる。
「はぁぁぁ!!!」
ハリーがシベルトの首に狙いを定める。
「これじゃ本当に…!やめろ!離せ!このクソババアがぁ!!」
___スパッ
ハリーの剣がシベルトの首を斬り落とし、この戦いは幕を閉じた。
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