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最終章 デスティザーク編
第135話 暴走
しおりを挟む「ルイストリア様!それだけは…なりません…!」
ネルフェが必死に俺を止める。
ネルフェには俺がなにをしようとしているのか感じ取られてしまったか…
「約束を守れなくて悪い」
「ルイストリア様!どうかお考え___」
「___考えは変わらない。それに今の俺じゃあいつに勝てない…」
戦っててわかった…あいつは強い…そして非道だ。
「ネルフェ、俺を元に戻してくれることを信じているぞ」
「ルイストリア様…!」
あいつはここで必ず仕留める。
たとえ、俺が暴走しようと…
「ティフィラス・ザーク…俺はお前を許さない…楽に死ねると思うな…」
俺はティフィラスを睨みつける。
メリア、アート、シシー、アオ、ネルフェ、父さん、アシュー師匠…すまない…
「【神の怒り】…」
俺は【神の怒り】を使用した。
その瞬間、俺を中心に爆発が起こり強力な突風が吹き荒れる。
「【結界】!」
「あぁん?」
「ハリー様、ここは危険なので離れます。街の中へ避難しましょう」
「あ、ああわかった。(ルイス…一体なにをしたんだ…!あそこまでの力を持っていたなんてな…)」
ハリーはアシューを抱え、ネルフェと共に街へ避難した。
「貴様ぁ力を隠していたのかぁ?」
俺とティフィラスが対峙する。
ドクンッ
「…」
ドクンッドクンッ
…殺す…
鼓動が加速し、俺の心は憎悪で膨れ上がる。
「実はなぁ、俺様も取っておきがあるんだぁ」
ティフィラスは懐から、紅い液体が入った注射器を取り出す。
そして、自分の胸に刺した。
「この薬はザークドロップスの完全上位互換だぁ。これを使った俺様にはぁ誰も勝てやしな…い…うっ…ぐぅ…」
怪物のようなティフィラスの身体がさらに変貌する。
見た目の変化はあまりないが、明らかに能力は大幅に上昇している。
「ぐぁ……グォォォォォ!」
ティフィラスが叫ぶと地面が揺れる。
「この力ぁ…最高の気分だぜぇ…!」
「…」
「お前に勝ち目は無くなったなぁ。死ねぇぇ!」
ティフィラスが先程とは比べ物にならない速さで迫ってくる。
「【転移】」
「【転移】を使ったって無駄なんだよなぁ!」
ティフィラスは転移先を読み、腕を振り下ろす。
その瞬間___
___スパッ
「はぇ…?」
ティフィラスの腕が宙を舞った。
「あぁ…ぁ、俺様の腕がぁぁぁ!?」
「殺す…楽には殺さない…」
スパッ
俺はもう片方の腕も切り落とす。
「貴様なんだその強さはぁぁぁ!」
「黙れ…【フリーズ】」
「うごがぁ…!」
ティフィラスの口を凍らせ、強制的に黙らせる。
「【フリーズ】…」
「なぁにぃ!?」
さらにティフィラスの足を凍らせ、身動きを封じる。
「死ね…」
俺は時雨丸を地面に突き立て、ティフィラスの目の前に手を構える。
…殺す…
「【多重詠唱】【複合魔術】【エアランスファ___」
___グシャッ
俺が魔術を放とうとした瞬間、黒く太い腕によって俺の右腕が潰れた。
「…」
俺は左手で時雨丸を掴み、即座に後ろへ退く。
「驚いたかぁ?」
ティフィラスが見せつけるように両腕を見せる。
ティフィラスには切り落としたはずの腕が付いていた。
「実はなぁ、再生能力もあるんだよなぁ。つまり俺様は死なねぇのさぁ!
それに比べお前は右腕を___」
「___【神の恵み】…」
潰れた俺の右腕が、何事も無かったかのように戻る。
「ひゃっひゃっひゃっひゃっ…面白くなってきたじゃねぇかぁ!」
「殺す…殺す…!」
俺は時雨丸を握りしめティフィラスに駆け寄る。
「【転移】…【転移】…【転移】!」
俺は【転移】を繰り返し、ティフィラスを撹乱させる。
しかし…
「意味ねぇなぁ!」
ティフィラスの拳は完全に俺を捉えていた。
振り下ろした時雨丸はティフィラスの拳に弾かれ、透かさずもう片方の腕が俺の肩を抉った。
しかし…
「殺す…!」
肩を抉られながらも、俺はもう一度時雨丸を振り下ろす。
「こいつぅぅ!」
ティフィラスは防御が間に合わず、俺はそのままティフィラスを真っ二つにした。
「「真っ二つにしたくらいで…」」
ティフィラスの断面がくねくねと動き、真っ二つにしたはずの身体がくっつき始める。
「俺様を殺せると思うなよぉ!」
ティフィラスの身体が再生を終えた直後___
___ガシッ
「!?なにをするんだぁ!」
俺は背後からティフィラスを抱え込む。
「お前を必ず殺す…」
「俺様は死なねぇ!」
「…断片ひとつ残らず焼き尽くす…」
「っ!?」
俺の言葉にティフィラスが反応する。
「貴様何をする気だぁ!」
「たとえ…俺がどうなろうと…お前を必ずここで殺す…!」
こいつを殺すためにはこの選択肢しかない…
デスティザーク…お前たちはやりすぎた…
「貴様ぁぁぁぁぁ!」
「【多重詠唱】【複合魔術】【エクスプロージョン】×10!!」
俺はティフィラスを抱えたまま魔術を唱えた。
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