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最終章 デスティザーク編
第136話 ルイスVSメリア
しおりを挟むティフィラスの身体が再生を終えた直後___
___ガシッ
「!?なにをするんだぁ!」
俺は背後からティフィラスを抱え込む。
「お前を必ず殺す…」
「俺様は死なねぇ!」
「…断片ひとつ残らず焼き尽くす…」
「っ!?」
俺の言葉にティフィラスが反応する。
「貴様何をする気だぁ!」
「たとえ…俺がどうなろうと…お前を必ずここで殺す…!」
こいつを殺すためにはこの選択肢しかない…
デスティザーク…お前たちはやりすぎた…
「貴様ぁぁぁぁぁ!」
「【多重詠唱】【複合魔術】【エクスプロージョン】×10!!」
俺はティフィラスを抱えたまま魔術を唱えた。
◆◆◆
「はぁ、はぁ、はぁ…!」
私はルイスがいる門の方に向かって必死に走っている。
ドカンッ!!
「!?まただわ…!」
ルイスがいる門の方で爆発が起こる。
さっきも爆発は起きたけど、今の爆発の方が大きかった…
ルイス…お願いだから無事でいて…!
私は必死に走った。
そして門の前に着いた時、私が見た光景は信じ難いものだった。
「…なに…これ…」
辺り一面が吹き飛び、中心にただ1人佇む少年の姿があった。
「ルイス…!」
呼んでも反応は無い。
「ルイス大丈___」
私がルイスに近づこうとしたその時…
「___近づいてはなりません!」
背後から誰かに呼び止められる。
「あなたは…?」
「私はルイストリア様によって召喚された使徒、ネルフェと申します」
「使徒…わかったわ」
メリアはネルフェの立ち振る舞いや僅かな神々しさに使徒ということを納得する。
「私はメリアよ!今のルイスについてあなたの方が詳しそうだから協力するわ!」
「ご協力感謝致します」
メリアとネルフェは協力関係を示す握手を交わした。
「それで、今のルイスになんで近づいちゃいけないの?」
「ルイストリア様の能力【神の怒り】をご存知ですか?」
「ええ、分かるわ。確かバイルスと戦った時に使ったやつよね」
言われてみれば、あの時のルイスと今のルイスは似た雰囲気を感じるわね。
「その通りです。しかし、その時とは状況が違います」
「あの時は魔力が切れて意識を失ったけど…」
「ルイストリア様は完全な神となり、無限の魔力を手に入れたのです」
「無限の魔力!?さすがルイスね…!」
「【神の怒り】は能力が上昇する代わりに、暴走状態に入るのです。そして解除方法は魔力が切れること…」
「それってつまり…!?」
「元のルイストリア様に戻すのは実質的に不可能と思われます…」
「そんな…」
もう元のルイスに戻らないって言うの…
でも、ネルフェの言葉には何か違和感が…
不可能…実質的に…?
そんな言い回しをするってことは…!
「実質的にってことは方法があるにはあるのよね?」
「ありますが…可能性は低いと___」
「___それでも可能性があるなら全て試すわよ!」
「…」
「何よ?」
「メリア様はすごくルイストリア様のことを思われていらっしゃるなと…」
「…!な、なにか文句でもあるわけ!?」
メリアが顔を赤らめ後ろを向く。
「いえ…私の考えが間違いでした…」
ネルフェは考えを改め、メリアに頭を下げる。
「では、早速作戦を説明致します。
まず今のルイストリア様は暴走状態にありますが、敵意や殺意を向けなければ攻撃してくることはないと思われます。ただし、容易に近づくと敵意があると見られる可能性が高いです」
さっき私が近づいちゃった時は反応しなかった…
つまりあの爆発跡の手前辺りまでなら近づけるということね。
「そして、ルイストリア様を元に戻す方法についてですが、暴走状態は一種の洗脳に当たります。洗脳を解くためにはその洗脳よりも深く根付いた思い出や記憶に関するものが必要になるのですが…」
ネルフェが急に俯いて黙り込む。
「どうしたのよ?」
「…ご存知かと思われますが、ルイストリア様は転生者、つまり深く根付いている記憶は前世に関係しているものなのです…
この世界で前世と関係するものを見つけるのは___」
「___それなら私しかいないじゃないの!」
「…はい?」
ネルフェは何言ってるのこの人と言いたげな顔で私を見つめる。
「実は私も転生者なのよ!ルイスと同じ元日本人!」
「……えぇぇ!?」
ネルフェは一瞬フリーズした後、静かな性格からは想像できないような驚き方をする。
「まっ、まさかそんな奇跡が…!」
「私もびっくりしたわよ。まさかほかにも転生者がいるなんてってね!」
ルイスと同じ日本人、更には同じ高校を通ってたんだからね!
この世界で私以上に前世のルイスと関わりがある人はいないわよ!
「つまり、ルイスを助けられる可能性が大きくなったってことよ!」
「驚きました…まさかメリア様も転生者だったとは…
しかし、これで少しは希望が見えました!」
「私に任せなさい!早速助けるわよ!」
「お待ちください…実はまだ問題があるのです…」
またもやネルフェが俯いて黙り込む。
「暴走状態を解除するためにはルイストリア様の記憶の中に入ることが必要です。その間は私たちの身体はもぬけの殻状態。おまけに能力の使用範囲がルイストリア様の敵対範囲内…
私たち2人だけではどうにも___」
「___どうやら助けが必要みたいだね」
ネルフェが諦めかけたその時、金髪の少年と赤髪、銀髪の少女3人組がネルフェに声をかけた。
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