138 / 140
最終章 デスティザーク編
第138話 幼馴染
しおりを挟む「ここがルイスの記憶の中?」
私は周りをよく見渡す。
よく見ればこの道を私は知ってる。
この道は、いつも玲二の家に向かう時に通っていた。
この先の突き当たりを左に行くと玲二の家が___
「___玲二もう起きてるかな?」
「っ!?」
私が道を懐かしんでいると、後ろから誰かが歩いてくる。
聞き覚えのある…いえ、聞き覚えのあるってもんじゃない程聞いた声…
「早く行ってびっくりさせたら玲二どんな反応するかしら!」
「…私…!?」
その少女の正体は紛れもなく前世の私、華恵原 恵だった。
私はネルフェが作戦を決行する前に言っていたことを思い出す。
確か、記憶の中に出てくる人物は、前世のルイスと深い関わりがあるって…
私がここに、それもこの道を通ってるってことは…まさかルイスって…!?
「誰かが来たようですがご安心ください。ここはルイストリア様の記憶の世界。私たちは居ない存在として扱われ___」
「___ネルフェさん!」
私は興奮のあまりネルフェの方を掴む。
「どっ、どうされたのですかメリア様?」
「あの女の子…前世の私よ!」
「そっ、そんなことが!?」
「間違いないわ!それにこの道を通る時はいつも…とにかく、もしかしたら私は前世のルイスのことを知っているかもしれないわ!」
「本当ですか!?なら早く前世のメリア様について行きましょう!」
「ええ!急ぐわよ!」
私はネルフェの手を引っ張り、私の後を付いて行く。
この突き当たりを左に曲がったら…
前世の私は突き当たりに着くと左に曲がる。
「この気配、前世のルイストリア様のところに向かっています。ルイストリア様の家は恐らく___」
___ピーンポーン
前世の私がある家のインターホンを鳴らした。
「___あそこだと思われます」
その家こそ、何度も通った幼馴染である八神 玲二の家だった。
「あらー恵ちゃんじゃないの!玲二ったらまだ寝てるのよ。今起こしてくるから上がっちゃって!」
「お邪魔しまーす!」
「玲二のお母さん…懐かしいわね…」
「メリア様…?どうして涙が…」
「えっ、うそ…私泣いてた?」
私の目からは知らぬ間に涙が零れていた。
「まだ…ルイスが玲二って決まった訳じゃないのに私…うっ…玲二…」
ガチャ
前世の私が家に入ってからしばらく経った後、家のドアが空いた。
「玲二のこと驚かしちゃおうかしら!」
家から出てきた私は、隅の塀の裏に隠れる。
ガチャ
「行ってきます」
「気をつけるのよー」
「分かってる」
そして、次にドアが空いた時出てきたのは…
「玲二…!もう…玲二のことを一生見れないと思っていた…」
玲二を目にした途端、私は泣きそうになる。
「ネルフェさん…」
「はい。あの方が前世のルイストリア様で間違いありません」
「ありがとう…ネルフェさん…!」
私は涙を零しながらもネルフェに感謝を伝える。
「恵?どこいったんだ?」
「わあ!!」
「うおっ!!」
「あはは!玲二の反応おっもしろーい!」
「びっくりさせんなよ!」
塀の裏に隠れていた私が玲二を驚かせている。
この光景…どこか見覚えが…
「ネルフェさん、この記憶って具体的にはいつの記憶なの?」
「この記憶はルイストリア様の前世の最後の記憶です。つまりこの記憶の日、ルイストリア様は___」
ファァァン!!
ネルフェと話していると、後ろからトラックのクラクションが鳴り響いた。
「今の音ってまさか…」
私は恐る恐る振り返る。
「うぅ……めぐ…み………」
そこには血だらけで倒れている私と、私に必死に手を伸ばす玲二の姿があった。
「そっか…私はこれで…」
この時、私は即死だったから何も覚えていない。
私を庇って玲二は…
戻ったら色々と謝らないといけないわね…
「そろそろ記憶が終わります。この後はルイストリア様の眠った心を呼び起こしに行きます。メリア様なら必ずルイストリア様を呼び起こしてくださると信じています」
「ええ、任せなさい」
今度は私が玲二を助けるわ!
その瞬間、周りの景色が見覚えのある光景から真っ白な空間へと移り変った。
「メリア様、あれを…」
ネルフェが白い空間の先を指差す。
「ルイス…!?」
そこには、手足を鎖で繋がれたルイスの姿があった。
20
あなたにおすすめの小説
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます
黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。
しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。
全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。
超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!?
万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。
一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。
「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」
――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。
これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる