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9.文化祭
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いよいよ文化祭当日。
私は少し緊張していた。
髪型、変じゃないかな? 藤堂くんに可愛いって言ってもらえるかな?
せっかくの文化祭なので、私は髪を巻いてハーフアップにしてみたのだ。
鏡に映る姫花は、自分で言うのもなんだけど物凄く可愛い。クラスでやる和風カフェの衣装もきっと似合うはず。
だけどやっぱり好きな人のことになると少し自信がなくなってしまう。
転生前や転生最初の頃は、こんなに可愛いから人生イージーモードだと思った。
だけど、藤堂くんに出会って、努力の大切さ、努力したら成功するかは分からないけれど確実に成長することを知った。
この恋が上手くいかなかったとしても、得られるものはある。
私はそう感じるようになっていた。
もしかしたら『俺バラ』の姫花もそう感じていたのかな?
今の私は原田陽太のことが好きではないけれど、『俺バラ』の姫花が彼をずっと想い続けている理由が何となく分かった気がする。
◇◇◇◇
「詩穂、おはよう」
「ああ、おはよう姫花。今日髪型可愛いじゃん」
「ありがとう、詩穂」
教室に入るなり、詩穂に髪型を褒められた。
「おい、見てみろよ。苺谷さん可愛いな」
「苺谷さんが可愛いのはいつものことだろう」
「そうだけど、髪型がだよ。いつものサラサラロングも良いけど今日のも可愛いぞ」
「おお、確かに」
男子達が密かにそう噂しているのを聞いて少し照れてしまう。
「苺ちゃん、桐ちゃんおはよう!」
一ノ瀬くんの溌剌とした声が響く。
「「おはよう、一ノ瀬くん」」
私ほ詩穂の声がハモった。
それにより一ノ瀬くんは爆笑していた。彼が来ると一段と空気が明るくなる。
「おはよう」
そしてついに藤堂くんもやって来た。
「おはよう、藤堂くん」
私がニコリと笑うと、藤堂くんは若干目を逸らした。
そして詩穂と一ノ瀬くんが他の子達に呼ばれた時にこう言ってくれた。
「苺谷さん、髪型、似合ってるよ」
それは欲しかった言葉。
私は嬉しくなる。
「ありがとう、藤堂くん」
多分私の声のトーンは一オクターブ位高くなっている気がした。
◇◇◇◇
文化祭が始まると、校内が賑やかになる。
今日は初日だから生徒だけの校内祭。明日は生徒の家族や地域の人達も来る一般祭だ。
「一年二組、和風喫茶やってまーす!」
「是非いらしてくださーい!」
吹奏楽部のステージ発表を終えた私は、藤堂くんと一緒に看板を持ってお客さんの呼び込みをしている。
やっぱり藤堂くんは燕尾服もカッコいいな。まさに大正ロマンという感じだ。
私はチラリと藤堂くんを見て思わずニヤけてしまう。
呼び込み中だから他の模擬店で遊ぶことは出来ないけれど、二人で文化祭の雰囲気を楽しんでいる。
まるでデートだ。
その事実に、私は少しテンションが上がる。
「この場所、人多いな」
藤堂くんがポツリと呟く。
確かに生徒達がごった返している。
「そうだね。だけど、通り抜けないと教室に戻れないよね」
「うん……」
藤堂くんは少し考える素振りをしていた。
「あのさ、苺谷さん。俺の袖、握ってて。ここではぐれたら面倒なことになりそうだからさ」
その言葉にドキッとしてしまう。
藤堂くんの……袖を握る……。手を繋ぐわけじゃないけれど、何か恋人っぽいシチュエーションだよね……。
自分の頬が赤くなるのが分かった。
藤堂くんは私から少し目を逸らし、同じように頬を赤らめているような気がした。
私は恐る恐る藤堂くんの袖を握り、生徒達がごった返す場所を歩き始める。
藤堂くんといるとドキドキするだけでなく、安心感もあった。
私は少し俯きながら口角を上げた。
◇◇◇◇
「お、俊介、苺ちゃんお帰りー!」
「姫花、藤堂くん、宣伝お疲れ様」
和風カフェをしている一年二組の教室に戻ると、一ノ瀬くんと詩穂が出迎えてくれた。
私達四人は今から休憩なので、一緒に文化祭を回る約束をしていたのだ。
焼き鳥、クレープ、たこ焼きなど、文化祭の定番模擬店や、迷路やお化け屋敷を回ったりした。
これぞ青春という感じだ。
しばらくすると、藤堂くん、詩穂、一ノ瀬くんがトイレに行きたいということで、私は一人になる。
「あれ? 姫花ちゃん?」
「あ、碧先輩」
一人で待っていたら、碧先輩に話しかけられた。
碧先輩はクラスTシャツを着て、デカデカと『焼きそば販売中!』と書かれた看板を持っている。どうやら碧先輩のクラスは焼きそばの模擬店を出しているらしい。
「姫花ちゃん、今一人なの?」
「はい。トイレに行った友達を待ってます。碧先輩は宣伝中ですか?」
「うん。うちのクラス、グラウンドで焼きそばの模擬店出してるから。もし良かったら買いに来てよ」
「はい。後で友達と行ってみます」
そう答えた後、私と碧先輩はこの前碧先輩が読んでいた論文のことで談笑していた。
前世生物学系の研究室に所属していたから、碧先輩との話は結構楽しい。
碧先輩が『俺バラ』のヒロイン雪野碧であるということはすっかり忘れて、普通に友達になっていた。
そうしているうちに、藤堂くん達がやって来て、碧先輩も宣伝の仕事に戻った。
その後私達四人は碧先輩のクラスの焼きそばを食べたり他のクラスの模擬店を回り、楽しく過ごしていた。
私は少し緊張していた。
髪型、変じゃないかな? 藤堂くんに可愛いって言ってもらえるかな?
せっかくの文化祭なので、私は髪を巻いてハーフアップにしてみたのだ。
鏡に映る姫花は、自分で言うのもなんだけど物凄く可愛い。クラスでやる和風カフェの衣装もきっと似合うはず。
だけどやっぱり好きな人のことになると少し自信がなくなってしまう。
転生前や転生最初の頃は、こんなに可愛いから人生イージーモードだと思った。
だけど、藤堂くんに出会って、努力の大切さ、努力したら成功するかは分からないけれど確実に成長することを知った。
この恋が上手くいかなかったとしても、得られるものはある。
私はそう感じるようになっていた。
もしかしたら『俺バラ』の姫花もそう感じていたのかな?
今の私は原田陽太のことが好きではないけれど、『俺バラ』の姫花が彼をずっと想い続けている理由が何となく分かった気がする。
◇◇◇◇
「詩穂、おはよう」
「ああ、おはよう姫花。今日髪型可愛いじゃん」
「ありがとう、詩穂」
教室に入るなり、詩穂に髪型を褒められた。
「おい、見てみろよ。苺谷さん可愛いな」
「苺谷さんが可愛いのはいつものことだろう」
「そうだけど、髪型がだよ。いつものサラサラロングも良いけど今日のも可愛いぞ」
「おお、確かに」
男子達が密かにそう噂しているのを聞いて少し照れてしまう。
「苺ちゃん、桐ちゃんおはよう!」
一ノ瀬くんの溌剌とした声が響く。
「「おはよう、一ノ瀬くん」」
私ほ詩穂の声がハモった。
それにより一ノ瀬くんは爆笑していた。彼が来ると一段と空気が明るくなる。
「おはよう」
そしてついに藤堂くんもやって来た。
「おはよう、藤堂くん」
私がニコリと笑うと、藤堂くんは若干目を逸らした。
そして詩穂と一ノ瀬くんが他の子達に呼ばれた時にこう言ってくれた。
「苺谷さん、髪型、似合ってるよ」
それは欲しかった言葉。
私は嬉しくなる。
「ありがとう、藤堂くん」
多分私の声のトーンは一オクターブ位高くなっている気がした。
◇◇◇◇
文化祭が始まると、校内が賑やかになる。
今日は初日だから生徒だけの校内祭。明日は生徒の家族や地域の人達も来る一般祭だ。
「一年二組、和風喫茶やってまーす!」
「是非いらしてくださーい!」
吹奏楽部のステージ発表を終えた私は、藤堂くんと一緒に看板を持ってお客さんの呼び込みをしている。
やっぱり藤堂くんは燕尾服もカッコいいな。まさに大正ロマンという感じだ。
私はチラリと藤堂くんを見て思わずニヤけてしまう。
呼び込み中だから他の模擬店で遊ぶことは出来ないけれど、二人で文化祭の雰囲気を楽しんでいる。
まるでデートだ。
その事実に、私は少しテンションが上がる。
「この場所、人多いな」
藤堂くんがポツリと呟く。
確かに生徒達がごった返している。
「そうだね。だけど、通り抜けないと教室に戻れないよね」
「うん……」
藤堂くんは少し考える素振りをしていた。
「あのさ、苺谷さん。俺の袖、握ってて。ここではぐれたら面倒なことになりそうだからさ」
その言葉にドキッとしてしまう。
藤堂くんの……袖を握る……。手を繋ぐわけじゃないけれど、何か恋人っぽいシチュエーションだよね……。
自分の頬が赤くなるのが分かった。
藤堂くんは私から少し目を逸らし、同じように頬を赤らめているような気がした。
私は恐る恐る藤堂くんの袖を握り、生徒達がごった返す場所を歩き始める。
藤堂くんといるとドキドキするだけでなく、安心感もあった。
私は少し俯きながら口角を上げた。
◇◇◇◇
「お、俊介、苺ちゃんお帰りー!」
「姫花、藤堂くん、宣伝お疲れ様」
和風カフェをしている一年二組の教室に戻ると、一ノ瀬くんと詩穂が出迎えてくれた。
私達四人は今から休憩なので、一緒に文化祭を回る約束をしていたのだ。
焼き鳥、クレープ、たこ焼きなど、文化祭の定番模擬店や、迷路やお化け屋敷を回ったりした。
これぞ青春という感じだ。
しばらくすると、藤堂くん、詩穂、一ノ瀬くんがトイレに行きたいということで、私は一人になる。
「あれ? 姫花ちゃん?」
「あ、碧先輩」
一人で待っていたら、碧先輩に話しかけられた。
碧先輩はクラスTシャツを着て、デカデカと『焼きそば販売中!』と書かれた看板を持っている。どうやら碧先輩のクラスは焼きそばの模擬店を出しているらしい。
「姫花ちゃん、今一人なの?」
「はい。トイレに行った友達を待ってます。碧先輩は宣伝中ですか?」
「うん。うちのクラス、グラウンドで焼きそばの模擬店出してるから。もし良かったら買いに来てよ」
「はい。後で友達と行ってみます」
そう答えた後、私と碧先輩はこの前碧先輩が読んでいた論文のことで談笑していた。
前世生物学系の研究室に所属していたから、碧先輩との話は結構楽しい。
碧先輩が『俺バラ』のヒロイン雪野碧であるということはすっかり忘れて、普通に友達になっていた。
そうしているうちに、藤堂くん達がやって来て、碧先輩も宣伝の仕事に戻った。
その後私達四人は碧先輩のクラスの焼きそばを食べたり他のクラスの模擬店を回り、楽しく過ごしていた。
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