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エメラルドとアメジストの輝きは一つになる
二人の時間は宝石のようで
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シンシアとティモシーは晴れて婚約者同士になった。
しかし、今すぐに結婚ではなかった。
シンシアはティモシーからプロポーズされたことをメラニーに伝えると、祝福されたがお腹の子が生まれて少し経過するまでは侍女でいて欲しいと懇願された。
よって、シンシアとティモシーは二年後に結婚することが決まった。
そしてその二年の間、一つだけ大きな事件が起きた。
ティモシーの父であるションバーグ公爵家当主ドノヴァンと義兄ラザフォードがハノーヴァー王家の不興を買ったのだ。
これによりドノヴァンとラザフォードは身分を剥奪され平民に堕とされた。もちろん公爵夫人であるグレンダも平民堕ちである。
そして王太子レスリーと国王の采配で、何とティモシーがションバーグ公爵家の当主になったのだ。
それにより二人の婚約に関してはネンガルド王国とナルフェック王国の間で話し合いがなされ、国を超えた大掛かりな政略的なものとされた。
レスリーとメラニーの婚姻によりネンガルド王国とナルフェック王国の同盟は強化されているが、ティモシーとシンシアの婚姻で二国間の同盟を更に強化する狙いである。
シンシアもティモシーも、まさか自分達の婚約がこんな大袈裟なものになるとは思っていなかった。それぞれ目を大きく見開いて驚いていたのである。
王太子であるレスリーは、ティモシーにメッセージジュエリーのことを伝えた時には既にこうなることを見越していたようだ。
そして数年後、ションバーグ公爵城の敷地内の庭園にて。
ストロベリーブロンドの真っ直ぐ伸びた髪にアメジストのような紫の目の小柄な女性が庭園を歩いていた。
そしてそれを慌てた様子で侍女が止める。
「奥様、お部屋にお戻りくださいませ! お体に障ります!」
「だけど、こうして歩いたり運動した方が良いのではないかしら?」
「奥様は少しお体が弱くあられます。奥様に何かございましたら旦那様が大変心配なさいますよ」
「だけど」
女性が反論しようとしたその時、男性の声が聞こえた。
「シンシア、ここにいたんだね」
そこにいたのは栗毛色の髪にエメラルドのような緑の目の男性。女性よりも頭一つ分以上高い背丈である。
「ティム!」
アメジストのような目の女性ーーシンシアは、エメラルドのような目の男性ーーティモシーの元へ駆け寄ろうとした。しかし、それをティモシー本人に止められる。
「シンシア、転んだらお腹の子供もただでは済まないよ」
「あ、そうだったわ」
シンシアは駆け出しそうな足を止め、ゆっくりとティモシーの元へ向かう。
侍女は心底安心した様子である。
「ただいま、シンシア」
ティモシーはこの上なく優しい表情でシンシアを抱き締める。エメラルドの目からは愛おしさが伝わってくるようだ。
「お帰りなさい、ティム」
ティモシーの腕に包まれたシンシアは嬉しそうに微笑む。アメジストの目は真っ直ぐティモシーに向いていた。
二人は無事に結婚し、ティモシーはションバーグ公爵家当主と宮廷医として、シンシアはメラニーの侍女を辞めた後はションバーグ公爵夫人として頑張っている。
シンシアは時々モンベリアル伯爵家にも手紙を送り、向こうの家族を安心させていた。また、時々メラニーの話し相手として王宮に呼ばれることもあるようだ。
そして二人は時々ターラント孤児院を訪れ寄付をしたり、子供達に読み書きや算術を教えるなどの慈善活動にも励んでいる。
「来年にはこの子も生まれて、賑やかになりそうね」
シンシアはそっと自分のお腹に手を当てる。
彼女はティモシーとの子供を身籠っているのだ。
「そうだね。シンシアもこの子も、無事であることを祈るよ」
ティモシーはシンシアのお腹を優しく撫で、彼女とお腹の子供に愛おしげな目を向ける。
「ティム、大丈夫よ。最近はもう喘息発作も起こしていないし、風邪すら引いていないのだから」
得意気に微笑むシンシア。
「それでも心配だよ。妊娠や出産は命懸けだからさ。僕は医師だから、なるべくシンシアとお腹の子の生存確率を上げることは出来るけれどそれでも絶対ではないし」
ティモシーはシンシアを抱き締める力を少し強め、彼女の頭を撫でる。
「ティム、私を信じて。お腹の子も私も、きっと無事だから」
シンシアはティモシーを安心させるように背中をさすった。
「分かったよ、シンシア」
ティモシーはそっとシンシアにキスをした。
「もうじき夕方になるし、外は冷える。そろそろ城に戻ろう」
「そうね」
シンシアはティモシーにエスコートされ、ションバーグ公爵城の中に戻るのであった。
シンシアとティモシーはションバーグ公爵城の書斎で、共に本を読んでいた。
読んでいるのは宝石図鑑である。
「このページ、全部エメラルドで埋まっているわね」
シンシアはふふっと楽しそうに微笑み、エメラルドとティモシーの目を交互に見る。
「本当だね」
ティモシーも楽しそうである。
「あ、シンシア、こっちのページは全部アメジストだよ」
ティモシーはアメジストとシンシアの目を交互に見て、楽しそうに微笑んだ。
「本当ね。この宝石図鑑、ティムの目の宝石も私の目の宝石もあるから二人で楽しめるわね。もしかしたら生まれて来るこの子も、宝石図鑑を見て私達の目だって言ってくれるのかしら?」
シンシアは自身のお腹にそっと触れて穏やかに微笑む。
「そうだと嬉しいね」
ティモシーも優しく微笑み、シンシアのお腹に触れた。
二人の手と視線は重なり合う。
「愛してるよ。シンシアも、お腹の子も」
ティモシーのエメラルドの目は真っ直ぐシンシアを見つめている。
「私も、愛しているわ。ティムも、お腹の子も」
シンシアもアメジストの目を真っ直ぐティモシーに向けている。
そして二人の唇はゆっくりと重なり合った。
二人の時間はこの先もきっと宝石のようにキラキラと輝いているのだろう。
しかし、今すぐに結婚ではなかった。
シンシアはティモシーからプロポーズされたことをメラニーに伝えると、祝福されたがお腹の子が生まれて少し経過するまでは侍女でいて欲しいと懇願された。
よって、シンシアとティモシーは二年後に結婚することが決まった。
そしてその二年の間、一つだけ大きな事件が起きた。
ティモシーの父であるションバーグ公爵家当主ドノヴァンと義兄ラザフォードがハノーヴァー王家の不興を買ったのだ。
これによりドノヴァンとラザフォードは身分を剥奪され平民に堕とされた。もちろん公爵夫人であるグレンダも平民堕ちである。
そして王太子レスリーと国王の采配で、何とティモシーがションバーグ公爵家の当主になったのだ。
それにより二人の婚約に関してはネンガルド王国とナルフェック王国の間で話し合いがなされ、国を超えた大掛かりな政略的なものとされた。
レスリーとメラニーの婚姻によりネンガルド王国とナルフェック王国の同盟は強化されているが、ティモシーとシンシアの婚姻で二国間の同盟を更に強化する狙いである。
シンシアもティモシーも、まさか自分達の婚約がこんな大袈裟なものになるとは思っていなかった。それぞれ目を大きく見開いて驚いていたのである。
王太子であるレスリーは、ティモシーにメッセージジュエリーのことを伝えた時には既にこうなることを見越していたようだ。
そして数年後、ションバーグ公爵城の敷地内の庭園にて。
ストロベリーブロンドの真っ直ぐ伸びた髪にアメジストのような紫の目の小柄な女性が庭園を歩いていた。
そしてそれを慌てた様子で侍女が止める。
「奥様、お部屋にお戻りくださいませ! お体に障ります!」
「だけど、こうして歩いたり運動した方が良いのではないかしら?」
「奥様は少しお体が弱くあられます。奥様に何かございましたら旦那様が大変心配なさいますよ」
「だけど」
女性が反論しようとしたその時、男性の声が聞こえた。
「シンシア、ここにいたんだね」
そこにいたのは栗毛色の髪にエメラルドのような緑の目の男性。女性よりも頭一つ分以上高い背丈である。
「ティム!」
アメジストのような目の女性ーーシンシアは、エメラルドのような目の男性ーーティモシーの元へ駆け寄ろうとした。しかし、それをティモシー本人に止められる。
「シンシア、転んだらお腹の子供もただでは済まないよ」
「あ、そうだったわ」
シンシアは駆け出しそうな足を止め、ゆっくりとティモシーの元へ向かう。
侍女は心底安心した様子である。
「ただいま、シンシア」
ティモシーはこの上なく優しい表情でシンシアを抱き締める。エメラルドの目からは愛おしさが伝わってくるようだ。
「お帰りなさい、ティム」
ティモシーの腕に包まれたシンシアは嬉しそうに微笑む。アメジストの目は真っ直ぐティモシーに向いていた。
二人は無事に結婚し、ティモシーはションバーグ公爵家当主と宮廷医として、シンシアはメラニーの侍女を辞めた後はションバーグ公爵夫人として頑張っている。
シンシアは時々モンベリアル伯爵家にも手紙を送り、向こうの家族を安心させていた。また、時々メラニーの話し相手として王宮に呼ばれることもあるようだ。
そして二人は時々ターラント孤児院を訪れ寄付をしたり、子供達に読み書きや算術を教えるなどの慈善活動にも励んでいる。
「来年にはこの子も生まれて、賑やかになりそうね」
シンシアはそっと自分のお腹に手を当てる。
彼女はティモシーとの子供を身籠っているのだ。
「そうだね。シンシアもこの子も、無事であることを祈るよ」
ティモシーはシンシアのお腹を優しく撫で、彼女とお腹の子供に愛おしげな目を向ける。
「ティム、大丈夫よ。最近はもう喘息発作も起こしていないし、風邪すら引いていないのだから」
得意気に微笑むシンシア。
「それでも心配だよ。妊娠や出産は命懸けだからさ。僕は医師だから、なるべくシンシアとお腹の子の生存確率を上げることは出来るけれどそれでも絶対ではないし」
ティモシーはシンシアを抱き締める力を少し強め、彼女の頭を撫でる。
「ティム、私を信じて。お腹の子も私も、きっと無事だから」
シンシアはティモシーを安心させるように背中をさすった。
「分かったよ、シンシア」
ティモシーはそっとシンシアにキスをした。
「もうじき夕方になるし、外は冷える。そろそろ城に戻ろう」
「そうね」
シンシアはティモシーにエスコートされ、ションバーグ公爵城の中に戻るのであった。
シンシアとティモシーはションバーグ公爵城の書斎で、共に本を読んでいた。
読んでいるのは宝石図鑑である。
「このページ、全部エメラルドで埋まっているわね」
シンシアはふふっと楽しそうに微笑み、エメラルドとティモシーの目を交互に見る。
「本当だね」
ティモシーも楽しそうである。
「あ、シンシア、こっちのページは全部アメジストだよ」
ティモシーはアメジストとシンシアの目を交互に見て、楽しそうに微笑んだ。
「本当ね。この宝石図鑑、ティムの目の宝石も私の目の宝石もあるから二人で楽しめるわね。もしかしたら生まれて来るこの子も、宝石図鑑を見て私達の目だって言ってくれるのかしら?」
シンシアは自身のお腹にそっと触れて穏やかに微笑む。
「そうだと嬉しいね」
ティモシーも優しく微笑み、シンシアのお腹に触れた。
二人の手と視線は重なり合う。
「愛してるよ。シンシアも、お腹の子も」
ティモシーのエメラルドの目は真っ直ぐシンシアを見つめている。
「私も、愛しているわ。ティムも、お腹の子も」
シンシアもアメジストの目を真っ直ぐティモシーに向けている。
そして二人の唇はゆっくりと重なり合った。
二人の時間はこの先もきっと宝石のようにキラキラと輝いているのだろう。
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