20 / 38
充実した毎日
しおりを挟む
午後の講義もあっという間に終わった。この日の晩はヌムール城でクリスティーヌの歓迎会を兼ねた晩餐会が開催される。そこにはベアトリスとリーゼロッテも参加していた。主役のクリスティーヌは皆に軽く挨拶をした後、ベアトリスとリーゼロッテと薬学の議論をしていた。
その様子を見てユーグはクスッと笑う。ユーグの隣にいたマリアンヌも、微笑みながらクリスティーヌを見ていた。
「クリスティーヌ様、とても楽しそうですわね、お兄様」
「そうだね、マリアンヌ」
その時、クリスティーヌはマリアンヌに声をかける。
「マリアンヌ様、ベアトリス様とリーゼロッテ様がお話ししたいそうでございますよ」
「え……? 私とでございますか? 私は薬学の知識はございませんし、その……」
マリアンヌは自信なさげに俯く。
「マリアンヌ様、私は今薬学の話をしようとはしておりませんわ。それに、マリアンヌ様、はっきりお答えください。私、はっきりしないことが嫌いでございますの」
ベアトリスは少し強めの口調になっていた。マリアンヌは萎縮してしまう。
「ベアトリス様、もう少し口調を柔らかくしてくださいませ」
リーゼロッテは眉を八の字にして微笑んだ。
「マリアンヌ様、ベアトリス様は貴女が嫌いなわけではございませんわ」
クリスティーヌはマリアンヌを慰める。
ベアトリスは少し気まずそうな表情で口を開く。
「クリスティーヌ様が仰った通り、私はマリアンヌ様が嫌いではございません。ただ、はっきりしないことが嫌いで、つい強い口調になってしまいますの。貴女に嫌な思いをさせてしまったことをお詫びしますわ」
嫌々謝っている様子ではなく、真剣さが窺える。
すると、ずっと様子を見ていたユーグが口を開く。
「マリアンヌ、ベアトリス嬢と君の性格は正反対だ。だけど、私はベアトリス嬢なら君も仲良くなれると思っている。ベアトリス嬢は五年前のあの令嬢とは違う」
穏やかな笑みのユーグ。こわばっていたマリアンヌだったが、次第に表情を和らげる。
「ベアトリス様、私は是非貴女とお話ししたいと存じます」
するとベアトリスもホッと肩をなで下ろす。
「ええ、よろしくお願いしますわ。マリアンヌ様」
こうして、マリアンヌも交えてクリスティーヌ達は談笑した。主にそれぞれの国の歴史や文化のことだ。マリアンヌは先程のおどおどした様子とは打って変わって饒舌になっている。クリスティーヌは自国と他国の違いについてエメラルドの目をキラキラと輝かせながら聞いていた。
♚ ♕ ♛ ♔ ♚ ♕ ♛ ♔
それから、クリスティーヌは薬学の講義を受ける毎日が始まった。座学で基礎を固めたら、研究所で実験をする。
「アーンストート先生、先日の実験でございますが、あちらの薬品を使用した方が合成中間体を経ずに直接目標化合物が出来て効率が良いかと存じます」
「良い着眼点ですね、クリスティーヌ様。ですが、それだと合成時間が長くなってしまうのですよ」
「左様でございましたか。では、どのようにしたら効率よく合成出来るか考えてみます。それと、先程合成した化合物は鎮痛剤に使用する薬に含まれるものと似ております。応用したら鎮痛剤として使用可能かもしれません」
「その通りです。後はこの官能基を取り除けば鎮痛剤として使用出来ます。流石ですね、クリスティーヌ様」
「お褒めのお言葉、光栄でございます」
講師を務めるリシェとも議論を交わしている。もちろん、他の講師や共に学んでいるベアトリスやリーゼロッテやその他の生徒達ともだ。疑問点や躓いた点があれば、クリスティーヌは次回までに完璧に理解出来るようにしていた。
そんなある日。
「クリスティーヌ嬢、今時間あるかな?」
「ええ、ユーグ様。休憩中でございますので大丈夫ですわ」
ユーグが研究所までやって来たのだ。
「よかった。クリスティーヌ嬢、君は白衣も似合っているね」
ユーグは白衣姿のクリスティーヌを見て微笑んだ。
「ありがとうございます。白衣は薬品がかかっても良いので、心置きなく実験が出来ますわ」
クリスティーヌはクスッと笑った。活き活きとした様子だ。白衣にはしっかりと薬品汚れが付着していた。
「うん、クリスティーヌ嬢の努力の跡がしっかりと見えるよ」
ユーグは汚れた白衣を見て楽しそうに笑った。
「それでユーグ様、わざわざ研究所までいらしてどういったご用件でしょうか?」
「あ、そうそう、忘れるところだった。さっきゴーシャから手紙が届いたんだ」
「まあ、ゴーシャ様から。お元気そうでございました?」
「うん。そう書いてあるよ。ほら」
ユーグはクリスティーヌにゲオルギーからの手紙を見せた。しかし、クリスティーヌは怪訝そうな表情をする。
「ユーグ様、こちらアシルス語でございますね。お恥ずかしながら、私には読めませんわ」
「おっと、クリスティーヌ嬢宛のはこっちだった」
ユーグは悪戯っぽく笑い、クリスティーヌ宛の手紙を渡す。
「クリスティーヌ嬢もヌムール領にいるって伝えておいたら、君の分もここに届いたんだよ」
「ありがとうございます」
クリスティーヌはゲオルギーからの手紙を受け取った。こちらはナルフェック語で書いてある。
「私も、他の国の言葉を知りたいですわ」
クリスティーヌがポツリと呟くと、ユーグの表情が輝く。まるでその言葉を待っていたかのように。
「アシルス語なら、私が教えよう」
「よろしいのですか?」
クリスティーヌの表情も輝いた。
「ああ、もちろん。今晩から教えるよ」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。今晩が楽しみでございますわ。学んで知識を吸収するのはとても楽しいですわ」
クリスティーヌはウキウキしていた。
こうして、クリスティーヌは薬学だけでなく、アシルス語の勉強も始めた。更にはベアトリスやリーゼロッテからネンガルド語とガーメニー語も教わり始めた。
クリスティーヌは多忙だが充実した日々を送っていた。
♚ ♕ ♛ ♔ ♚ ♕ ♛ ♔
ヌムール城、キトリーの執務室にて。
「全く、来る頻度が高すぎやしないか?」
ヌムール家当主のキトリーは、届いた手紙を見て苦笑した。封筒には金色に縁取られた紫の薔薇の紋章が付いている。王家の紋章だ。
「休暇を取ったものの、まず最初にヌムール領に来るとはね。医学や薬学の研究が気になるのも分かるけどさ。しかも夫同伴って。まあルナらしいか」
キトリーはフッと笑った。
その様子を見てユーグはクスッと笑う。ユーグの隣にいたマリアンヌも、微笑みながらクリスティーヌを見ていた。
「クリスティーヌ様、とても楽しそうですわね、お兄様」
「そうだね、マリアンヌ」
その時、クリスティーヌはマリアンヌに声をかける。
「マリアンヌ様、ベアトリス様とリーゼロッテ様がお話ししたいそうでございますよ」
「え……? 私とでございますか? 私は薬学の知識はございませんし、その……」
マリアンヌは自信なさげに俯く。
「マリアンヌ様、私は今薬学の話をしようとはしておりませんわ。それに、マリアンヌ様、はっきりお答えください。私、はっきりしないことが嫌いでございますの」
ベアトリスは少し強めの口調になっていた。マリアンヌは萎縮してしまう。
「ベアトリス様、もう少し口調を柔らかくしてくださいませ」
リーゼロッテは眉を八の字にして微笑んだ。
「マリアンヌ様、ベアトリス様は貴女が嫌いなわけではございませんわ」
クリスティーヌはマリアンヌを慰める。
ベアトリスは少し気まずそうな表情で口を開く。
「クリスティーヌ様が仰った通り、私はマリアンヌ様が嫌いではございません。ただ、はっきりしないことが嫌いで、つい強い口調になってしまいますの。貴女に嫌な思いをさせてしまったことをお詫びしますわ」
嫌々謝っている様子ではなく、真剣さが窺える。
すると、ずっと様子を見ていたユーグが口を開く。
「マリアンヌ、ベアトリス嬢と君の性格は正反対だ。だけど、私はベアトリス嬢なら君も仲良くなれると思っている。ベアトリス嬢は五年前のあの令嬢とは違う」
穏やかな笑みのユーグ。こわばっていたマリアンヌだったが、次第に表情を和らげる。
「ベアトリス様、私は是非貴女とお話ししたいと存じます」
するとベアトリスもホッと肩をなで下ろす。
「ええ、よろしくお願いしますわ。マリアンヌ様」
こうして、マリアンヌも交えてクリスティーヌ達は談笑した。主にそれぞれの国の歴史や文化のことだ。マリアンヌは先程のおどおどした様子とは打って変わって饒舌になっている。クリスティーヌは自国と他国の違いについてエメラルドの目をキラキラと輝かせながら聞いていた。
♚ ♕ ♛ ♔ ♚ ♕ ♛ ♔
それから、クリスティーヌは薬学の講義を受ける毎日が始まった。座学で基礎を固めたら、研究所で実験をする。
「アーンストート先生、先日の実験でございますが、あちらの薬品を使用した方が合成中間体を経ずに直接目標化合物が出来て効率が良いかと存じます」
「良い着眼点ですね、クリスティーヌ様。ですが、それだと合成時間が長くなってしまうのですよ」
「左様でございましたか。では、どのようにしたら効率よく合成出来るか考えてみます。それと、先程合成した化合物は鎮痛剤に使用する薬に含まれるものと似ております。応用したら鎮痛剤として使用可能かもしれません」
「その通りです。後はこの官能基を取り除けば鎮痛剤として使用出来ます。流石ですね、クリスティーヌ様」
「お褒めのお言葉、光栄でございます」
講師を務めるリシェとも議論を交わしている。もちろん、他の講師や共に学んでいるベアトリスやリーゼロッテやその他の生徒達ともだ。疑問点や躓いた点があれば、クリスティーヌは次回までに完璧に理解出来るようにしていた。
そんなある日。
「クリスティーヌ嬢、今時間あるかな?」
「ええ、ユーグ様。休憩中でございますので大丈夫ですわ」
ユーグが研究所までやって来たのだ。
「よかった。クリスティーヌ嬢、君は白衣も似合っているね」
ユーグは白衣姿のクリスティーヌを見て微笑んだ。
「ありがとうございます。白衣は薬品がかかっても良いので、心置きなく実験が出来ますわ」
クリスティーヌはクスッと笑った。活き活きとした様子だ。白衣にはしっかりと薬品汚れが付着していた。
「うん、クリスティーヌ嬢の努力の跡がしっかりと見えるよ」
ユーグは汚れた白衣を見て楽しそうに笑った。
「それでユーグ様、わざわざ研究所までいらしてどういったご用件でしょうか?」
「あ、そうそう、忘れるところだった。さっきゴーシャから手紙が届いたんだ」
「まあ、ゴーシャ様から。お元気そうでございました?」
「うん。そう書いてあるよ。ほら」
ユーグはクリスティーヌにゲオルギーからの手紙を見せた。しかし、クリスティーヌは怪訝そうな表情をする。
「ユーグ様、こちらアシルス語でございますね。お恥ずかしながら、私には読めませんわ」
「おっと、クリスティーヌ嬢宛のはこっちだった」
ユーグは悪戯っぽく笑い、クリスティーヌ宛の手紙を渡す。
「クリスティーヌ嬢もヌムール領にいるって伝えておいたら、君の分もここに届いたんだよ」
「ありがとうございます」
クリスティーヌはゲオルギーからの手紙を受け取った。こちらはナルフェック語で書いてある。
「私も、他の国の言葉を知りたいですわ」
クリスティーヌがポツリと呟くと、ユーグの表情が輝く。まるでその言葉を待っていたかのように。
「アシルス語なら、私が教えよう」
「よろしいのですか?」
クリスティーヌの表情も輝いた。
「ああ、もちろん。今晩から教えるよ」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。今晩が楽しみでございますわ。学んで知識を吸収するのはとても楽しいですわ」
クリスティーヌはウキウキしていた。
こうして、クリスティーヌは薬学だけでなく、アシルス語の勉強も始めた。更にはベアトリスやリーゼロッテからネンガルド語とガーメニー語も教わり始めた。
クリスティーヌは多忙だが充実した日々を送っていた。
♚ ♕ ♛ ♔ ♚ ♕ ♛ ♔
ヌムール城、キトリーの執務室にて。
「全く、来る頻度が高すぎやしないか?」
ヌムール家当主のキトリーは、届いた手紙を見て苦笑した。封筒には金色に縁取られた紫の薔薇の紋章が付いている。王家の紋章だ。
「休暇を取ったものの、まず最初にヌムール領に来るとはね。医学や薬学の研究が気になるのも分かるけどさ。しかも夫同伴って。まあルナらしいか」
キトリーはフッと笑った。
5
あなたにおすすめの小説
逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?
魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。
彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。
国外追放の系に処された。
そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。
新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。
しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。
夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。
ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。
そして学校を卒業したら大陸中を巡る!
そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、
鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……?
「君を愛している」
一体なにがどうなってるの!?
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
次期王妃な悪女はひたむかない
三屋城衣智子
恋愛
公爵家の娘であるウルム=シュテールは、幼い時に見初められ王太子の婚約者となる。
王妃による厳しすぎる妃教育、育もうとした王太子との関係性は最初こそ良かったものの、月日と共に狂いだす。
色々なことが積み重なってもなお、彼女はなんとかしようと努力を続けていた。
しかし、学校入学と共に王太子に忍び寄る女の子の影が。
約束だけは違えまいと思いながら過ごす中、学校の図書室である男子生徒と出会い、仲良くなる。
束の間の安息。
けれど、数多の悪意に襲われついにウルムは心が折れてしまい――。
想いはねじれながらすれ違い、交錯する。
異世界四角恋愛ストーリー。
なろうにも投稿しています。
婚約破棄されたので辺境伯令嬢は自由に生きます~冷酷公爵の過保護が過ぎて困ります!~
sika
恋愛
「君のような女と婚約していたなど、恥だ!」
公爵嫡男に突然婚約を破棄された辺境伯令嬢リーゼは、すべてを捨てて故郷の領地へ戻る決意をした。
誰にも期待せず、ひっそりと生きようとするリーゼの前に現れたのは、冷酷と噂される隣国の公爵・アルヴィン。
彼はなぜかリーゼにだけ穏やかで優しく、彼女を守ることに執着していて――。
「君はもう誰にも踏みにじられない。俺が保証しよう」
呪いのような過去を断ち切り、真実の愛を掴むざまぁ×溺愛ラブストーリー!
婚約破棄される前に、帰らせていただきます!
パリパリかぷちーの
恋愛
ある日、マリス王国の侯爵令嬢クロナは、王子が男爵令嬢リリィと密会し、自分を「可愛げのない女」と罵り、卒業パーティーで「婚約破棄」を言い渡そうと画策している現場を目撃してしまう。
普通なら嘆き悲しむ場面だが、クロナの反応は違った。
悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる
冬野月子
恋愛
「私は確かに19歳で死んだの」
謎の声に導かれ馬車の事故から兄弟を守った10歳のヴェロニカは、その時に負った傷痕を理由に王太子から婚約破棄される。
けれど彼女には嫉妬から破滅し短い生涯を終えた前世の記憶があった。
なぜか死に戻ったヴェロニカは前世での過ちを繰り返さないことを望むが、婚約破棄したはずの王太子が積極的に親しくなろうとしてくる。
そして学校で再会した、馬車の事故で助けた少年は、前世で不幸な死に方をした青年だった。
恋や友情すら知らなかったヴェロニカが、前世では関わることのなかった人々との出会いや関わりの中で新たな道を進んでいく中、前世に嫉妬で殺そうとまでしたアリサが入学してきた。
【完結】その溺愛は聞いてない! ~やり直しの二度目の人生は悪役令嬢なんてごめんです~
Rohdea
恋愛
私が最期に聞いた言葉、それは……「お前のような奴はまさに悪役令嬢だ!」でした。
第1王子、スチュアート殿下の婚約者として過ごしていた、
公爵令嬢のリーツェはある日、スチュアートから突然婚約破棄を告げられる。
その傍らには、最近スチュアートとの距離を縮めて彼と噂になっていた平民、ミリアンヌの姿が……
そして身に覚えのあるような無いような罪で投獄されたリーツェに待っていたのは、まさかの処刑処分で──
そうして死んだはずのリーツェが目を覚ますと1年前に時が戻っていた!
理由は分からないけれど、やり直せるというのなら……
同じ道を歩まず“悪役令嬢”と呼ばれる存在にならなければいい!
そう決意し、過去の記憶を頼りに以前とは違う行動を取ろうとするリーツェ。
だけど、何故か過去と違う行動をする人が他にもいて───
あれ?
知らないわよ、こんなの……聞いてない!
婚約破棄したその場から、ざまぁは始まっていました
ふわふわ
恋愛
王国随一の名門、アルファルド公爵家の令嬢シャウラは、
ある日、第一王子アセルスから一方的に婚約を破棄される。
理由はただ一つ――
「平民出身の聖女と婚約するため」。
だが、その“婚約破棄したその場”で、ざまぁはすでに始まっていた。
シャウラは泣かず、怒らず、抗議もしない。
ただ静かに席を立っただけ。
それだけで――
王国最大派閥アルファルド派は王子への支持を撤回し、
王国最大の商会は資金提供を打ち切り、
王太子候補だったアセルスは、政治と経済の両方を失っていく。
一方シャウラは、何もしていない。
復讐もしない。断罪もしない。
平穏な日常を送りながら、無自覚のまま派閥の結束を保ち続ける。
そして王国は、
“王太子を立てない”という前代未聞の選択をし、
聡明な第一王女マリーが女王として即位する――。
誰かを裁くことなく、
誰かを蹴落とすことなく、
ただ「席を立った」者だけが、最後まで穏やかでいられた。
これは、
婚約破棄から始まる――
静かで、上品で、取り返しのつかないざまぁの物語。
「私は何もしていませんわ」
それが、最強の勝利だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる