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三章・いきなりですが冒険編
うっさい
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中隊長さんや兄貴たちは竜騎将軍と合流し、北の国の城に撤退した。
わたしの姿はなく、そして魔兵将くんと精霊将軍の姿までなかった。
みんなは傷の手当てを受けながら話し合う。
まずはオッサン。
「聖女さま、見つかりませんでしたね」
兄貴の疑問。
「マイシスターだけではござらん。魔兵将軍と精霊将軍も見つからぬとは」
竜騎将軍が推測する。
「おまえたちの話だと、二人は妖術将軍の術で捕縛されたそうだな。それが原因ではないか? 転移を妨害する効果も含まれていたのでは」
姫騎士さんが思い出すように、
「そう言えば、魔兵将軍が含みを持たせたことを言っていたような気がする。無事でいてくださいとか、聖女に言っていなかったか。あれは自分は脱出できないとわかっていたのではないだろうか」
中隊長さんは神妙な表情で、
「二人は脱出できないことを俺たちに黙っていたのか。そのことを知らせれば、俺たちは残って最後まで戦うと思い、それで秘密にしたのか」
そして、みんなは沈黙。
「グゴォー。グガァー」
寝息がうるさいのは王子。
大魔王の平手打ちで気絶し、そのまま現在も意識を戻さないが、誰一人心配していなかった。
そこに賢姫さまが来た。
「みなさん、大魔王軍に新しい動きが報告されましたわ。
世界の中心と呼ばれる場所で、大魔王軍が巨大な塔のようなものを建造しているとのことです」
「「「「「巨大な塔?」」」」」
みんなが同時に繰り返した。
竜騎将軍は険しい表情で疑問を呟く。
「大魔王。なにをするつもりだ?」
兄貴も険しい表情で、
「マイシスターも見つかっておらぬ」
中隊長さんが賢姫さまに、
「北極大陸に派遣した捜索部隊からの連絡は?」
賢姫さまは首を振る。
「今のところはなににも」
姫騎士さんが、
「このままでは聖女なしで大魔王と再戦しなくてはならなくなるぞ」
オッサンが完全にびびっている感じで、
「そうなると 勝ち目がないので 僕は逃げて良いですか?」
姫騎士さんがオッサンを一喝する。
「冗談を言っている場合か!」
「すいませんです」
絶対 冗談じゃなかったな。
中隊長さんが立ち上がり、
「ここで話をしていてもなにもならない。手当が終わったらすぐに彼女を探しに行こう」
みんなが首肯した。
オッサン以外。
オッサン 薄情すぎるだろ。
そして当のわたしだけど、もちろん無事だった。
夜なのに、なんか わたしの周りだけぼんやりとした光で包まれていて、空を浮遊していた。
その状況にわたしは愕然とする。
「ま、まさか、わたし 死んじゃった? ホントに死んじゃった? マジで死んじゃったの!? そんなのヤダー! まだ中隊長さんと エス!イー!エックス! してないのにー!」
悲しみで泣き出したわたしを、
「うっさい!」
誰かがいきなり後ろから蹴った。
「イッタイわね! なにすんのよ!? 自分が死んじゃって悲しんでんのに!」
「おまえはまだ死んどらん!」
「え? 死んでない?」
わたしは自分の脈を測ってみた。
ちゃんと脈打ってる。
「やったー! 死んでなーい! 生きてるー! キャッホーイ!」
小躍りする わたし。
「だから うるさいといっとろーが!」
さっきから怒っているのは、久し振りのロリ女神さまだった。
「あ、女神さま。チィース、久し振りッス」
「ったく、相変わらず礼儀がなっとらんな。まあ いい。とにかく間に合って良かった」
「間に合うって……あ、わかりました。女神さまが助けてくれたんですね」
「そうだ。おまえに死なれては困るのでな。わざわざ私が助けに来てやったのだ」
「ほかのみんなは無事ですか?」
「無事 脱出できた。今は北の国の城にいる。
だが、魔兵将軍と精霊将軍が捕まったままだ。あの変態エロジジイが術で捕縛しただろう。あれに妨害されて二人は転移できなかったのだ」
なんてこったい。
「魔王と五鬼は」
「あの後すぐに大魔宮殿を脱出した。だが、魔兵将軍と精霊将軍を気にかける余裕はさすがになかったようだな」
「魔兵将くんと精霊将軍は殺されたわけではないのですね」
「ああ、今のところ無事だ。しかし捕まったからな。間違いなく人質に使われるぞ」
「予想通りです。っていうか、大魔王 強すぎです。女神さま、なにか方法はないんですか? 勝算がなさ過ぎますよ」
「それなら問題ない。賢姫が倒す方法を知っている。イニシャル・エス・エムだが、世界一の頭脳を持つ女だからな。あの女の知識の中にあるのだ」
「賢姫さまが知っているのですか?」
「そうだ。詳細は賢姫と話せば分かる。とにかく すぐにダメ勇者達と合流しろ。とりあえず、おまえを試練の聖殿に下ろす。そこで連絡するんだ」
こうしてわたしは無事だったのだ。
続く……
わたしの姿はなく、そして魔兵将くんと精霊将軍の姿までなかった。
みんなは傷の手当てを受けながら話し合う。
まずはオッサン。
「聖女さま、見つかりませんでしたね」
兄貴の疑問。
「マイシスターだけではござらん。魔兵将軍と精霊将軍も見つからぬとは」
竜騎将軍が推測する。
「おまえたちの話だと、二人は妖術将軍の術で捕縛されたそうだな。それが原因ではないか? 転移を妨害する効果も含まれていたのでは」
姫騎士さんが思い出すように、
「そう言えば、魔兵将軍が含みを持たせたことを言っていたような気がする。無事でいてくださいとか、聖女に言っていなかったか。あれは自分は脱出できないとわかっていたのではないだろうか」
中隊長さんは神妙な表情で、
「二人は脱出できないことを俺たちに黙っていたのか。そのことを知らせれば、俺たちは残って最後まで戦うと思い、それで秘密にしたのか」
そして、みんなは沈黙。
「グゴォー。グガァー」
寝息がうるさいのは王子。
大魔王の平手打ちで気絶し、そのまま現在も意識を戻さないが、誰一人心配していなかった。
そこに賢姫さまが来た。
「みなさん、大魔王軍に新しい動きが報告されましたわ。
世界の中心と呼ばれる場所で、大魔王軍が巨大な塔のようなものを建造しているとのことです」
「「「「「巨大な塔?」」」」」
みんなが同時に繰り返した。
竜騎将軍は険しい表情で疑問を呟く。
「大魔王。なにをするつもりだ?」
兄貴も険しい表情で、
「マイシスターも見つかっておらぬ」
中隊長さんが賢姫さまに、
「北極大陸に派遣した捜索部隊からの連絡は?」
賢姫さまは首を振る。
「今のところはなににも」
姫騎士さんが、
「このままでは聖女なしで大魔王と再戦しなくてはならなくなるぞ」
オッサンが完全にびびっている感じで、
「そうなると 勝ち目がないので 僕は逃げて良いですか?」
姫騎士さんがオッサンを一喝する。
「冗談を言っている場合か!」
「すいませんです」
絶対 冗談じゃなかったな。
中隊長さんが立ち上がり、
「ここで話をしていてもなにもならない。手当が終わったらすぐに彼女を探しに行こう」
みんなが首肯した。
オッサン以外。
オッサン 薄情すぎるだろ。
そして当のわたしだけど、もちろん無事だった。
夜なのに、なんか わたしの周りだけぼんやりとした光で包まれていて、空を浮遊していた。
その状況にわたしは愕然とする。
「ま、まさか、わたし 死んじゃった? ホントに死んじゃった? マジで死んじゃったの!? そんなのヤダー! まだ中隊長さんと エス!イー!エックス! してないのにー!」
悲しみで泣き出したわたしを、
「うっさい!」
誰かがいきなり後ろから蹴った。
「イッタイわね! なにすんのよ!? 自分が死んじゃって悲しんでんのに!」
「おまえはまだ死んどらん!」
「え? 死んでない?」
わたしは自分の脈を測ってみた。
ちゃんと脈打ってる。
「やったー! 死んでなーい! 生きてるー! キャッホーイ!」
小躍りする わたし。
「だから うるさいといっとろーが!」
さっきから怒っているのは、久し振りのロリ女神さまだった。
「あ、女神さま。チィース、久し振りッス」
「ったく、相変わらず礼儀がなっとらんな。まあ いい。とにかく間に合って良かった」
「間に合うって……あ、わかりました。女神さまが助けてくれたんですね」
「そうだ。おまえに死なれては困るのでな。わざわざ私が助けに来てやったのだ」
「ほかのみんなは無事ですか?」
「無事 脱出できた。今は北の国の城にいる。
だが、魔兵将軍と精霊将軍が捕まったままだ。あの変態エロジジイが術で捕縛しただろう。あれに妨害されて二人は転移できなかったのだ」
なんてこったい。
「魔王と五鬼は」
「あの後すぐに大魔宮殿を脱出した。だが、魔兵将軍と精霊将軍を気にかける余裕はさすがになかったようだな」
「魔兵将くんと精霊将軍は殺されたわけではないのですね」
「ああ、今のところ無事だ。しかし捕まったからな。間違いなく人質に使われるぞ」
「予想通りです。っていうか、大魔王 強すぎです。女神さま、なにか方法はないんですか? 勝算がなさ過ぎますよ」
「それなら問題ない。賢姫が倒す方法を知っている。イニシャル・エス・エムだが、世界一の頭脳を持つ女だからな。あの女の知識の中にあるのだ」
「賢姫さまが知っているのですか?」
「そうだ。詳細は賢姫と話せば分かる。とにかく すぐにダメ勇者達と合流しろ。とりあえず、おまえを試練の聖殿に下ろす。そこで連絡するんだ」
こうしてわたしは無事だったのだ。
続く……
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