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一章
73・なんか天狗になりそう
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「どうですか? ラーズさま」
「……あ? クレア……」
よし、元に戻った。
他の三人も、石から元に戻した。
「クレア、メドゥーサは?」
「ここです」
私はへのへのもへじが画かれた袋を掲げて見せる。
キャシーさんが歓喜の眼で私に抱きついて来た。
「凄いじゃない! クレアちゃん! 吸血鬼といい、このメドゥーサといい。麗しいだけじゃなくて強いだなんて! クレアちゃんってば本当に良い女!」
セルジオさまが感心したように何度も頷いて、
「うむうむ。最後の一人になっても諦めないとは、真の強さを持った淑女であるな。筋肉が全てではないと言うことを教えられた思いである」
スファルさまが、
「なあ、本当に聖女じゃないのか? いや、もう聖女とかどうでもいいや。麗しい淑女だってのは確かなんだから」
そしてラーズさまが、
「正直言うと、魔眼を見ろと言われた時、さすがに躊躇った。だが、最後に君を信じて正解だった。これからは躊躇わずに君を信じる」
「はうぅ……」
なんか、照れる。
カナワ神国港町冒険者支部にて、支部長はポカンとした表情をした。
「倒した?」
「はい」
「メドゥーサを?」
「はい」
「君たちが?」
「そうです」
私は証拠となるメドゥーサの首が入った革袋をテーブルに置く。
「確認の時は注意してくださいね。メドゥーサの石化の魔眼は、死んでいても残っていますから」
「わ、わかった」
支部長は恐る恐る袋の中を覗き込んだ。
そして、すぐに閉じた。
「な、なるほど。確認した。確かにメドゥーサの首で間違いないだろう。しかし、本当に君たちが……」
さっきから支部長は信じられないと言ったふうだけど、聞いてみると、メドゥーサは冒険者組合会議でランクSに規定するべきではないかという意見が大多数を占めていたそうだ。
そして次の会議でランクSに決定されるのは確定事項だったと言う。
「では、クレア嬢はランクSに匹敵すると言うことですな」
セルジオさまがそう言いだした。
「さすがにそれはないと思いますが」
でも私は、そう言われてまんざらでもなかった。
「ちょっと待て」
支部長が、
「君たちが全員で戦ってメドゥーサを倒したのではないのか?」
「勿論、全員で戦いました」
と私が言うと、ラーズさまが、
「いや、俺たちは石になってしまった。最後の一人になったクレアが単独でメドゥーサを倒したんだ」
「私一人の力ではありません。皆さんがメドゥーサを弱体化させていなければ倒せませんでした。ほら、青銅の両腕を斬り落としたじゃないですか」
「状況を詳しく聞かせて貰えないだろうか。メドゥーサをどうやって倒したんだ?」
支部長が説明を求めてきたので、私たちはどう戦ったのか詳しく説明した。
説明しているうちに、だんだん自分の作戦を自慢しているような感じになってきたけど、まあ良いか、と気にせず説明を続けた。
「まあ、こう言う感じなのですけれど」
「なるほど」
支部長は何か考え始め、しばらくして、
「ともかく、メドゥーサ討伐、ご苦労だった。報酬は後で取りに来てくれ。額が額だから、用意するのに時間がかかる。それと君たちのランクを本部に連絡して上げるよう交渉する」
やった。
ラムール王朝以来、ランクアップしていないから久しぶりだ。
いや、それでも普通の冒険者に比べれば物凄い速さでランクアップしているけど。
そして、改めて依頼達成料を貰いに来た時、私たちは正式にランクアップした。
ラーズさまとスファルさまはランクBからランクAに。
セルジオさまとキャシーさんはランクCからランクBに。
そして私はメドゥーサを倒した功労者ということで、特例でランクDから二段階上がってランクBになった。
私、セルジオさまとキャシーさんと同じくらい強いって認められたんだ。
なんか天狗になりそう。
その後、東南海の島プラグスタに向かう前に、私たちは冒険者組合や港で一応情報収集した。
プラグスタ島付近の諸島では巨大な海獣が出没しており、島に近付くことができなくなっていると言う。
プラグスタ島には、自然と生命の調和を司る神鳥フェニックスが祀られている。
ゲームでは、フェニックスは 魔王バルザックと海獣クラーケンに倒され、島民は魔王の支配下に置かれていた。
そしてクラーケンを倒し、島民を解放することで、業炎の剣ピュリファイアの置かれた祭壇まで案内され、剣を入手すると言う流れになっている。
クラーケンがいることは、カスティエルさまも言っていた事だし、ゲーム通りで問題ないだろう。
私たちは港に向かい、カスティエルさまが用意してくださった、小型船に乗り込む。
定員八名の釣船。
元々は貴族が使っていたもので、古くなったので売却に出されたのを、カスティエルさまが買い取った。
推進機は魔力を動力源としており、帆船の類よりも早く海を進むことができる優れ物。
「こんな良い船を用意していただいたなんて。カスティエルさまともう一度お会いできたら、改めてお礼をしなければなりませんね」
私はみんなに言うと、早速船に乗り込んだ。
「では、ラーズさま。お願いします」
「わかった」
ラーズさまが操舵室に乗り込み、動力機関に魔力を注ぎ込み始める。
ガソリンエンジンのような唸り声を上げて、推進機が作動し、スクリューが回り始め、船が進み始めた。
こうして、私たちはプラグスタ島へと向かった。
「……あ? クレア……」
よし、元に戻った。
他の三人も、石から元に戻した。
「クレア、メドゥーサは?」
「ここです」
私はへのへのもへじが画かれた袋を掲げて見せる。
キャシーさんが歓喜の眼で私に抱きついて来た。
「凄いじゃない! クレアちゃん! 吸血鬼といい、このメドゥーサといい。麗しいだけじゃなくて強いだなんて! クレアちゃんってば本当に良い女!」
セルジオさまが感心したように何度も頷いて、
「うむうむ。最後の一人になっても諦めないとは、真の強さを持った淑女であるな。筋肉が全てではないと言うことを教えられた思いである」
スファルさまが、
「なあ、本当に聖女じゃないのか? いや、もう聖女とかどうでもいいや。麗しい淑女だってのは確かなんだから」
そしてラーズさまが、
「正直言うと、魔眼を見ろと言われた時、さすがに躊躇った。だが、最後に君を信じて正解だった。これからは躊躇わずに君を信じる」
「はうぅ……」
なんか、照れる。
カナワ神国港町冒険者支部にて、支部長はポカンとした表情をした。
「倒した?」
「はい」
「メドゥーサを?」
「はい」
「君たちが?」
「そうです」
私は証拠となるメドゥーサの首が入った革袋をテーブルに置く。
「確認の時は注意してくださいね。メドゥーサの石化の魔眼は、死んでいても残っていますから」
「わ、わかった」
支部長は恐る恐る袋の中を覗き込んだ。
そして、すぐに閉じた。
「な、なるほど。確認した。確かにメドゥーサの首で間違いないだろう。しかし、本当に君たちが……」
さっきから支部長は信じられないと言ったふうだけど、聞いてみると、メドゥーサは冒険者組合会議でランクSに規定するべきではないかという意見が大多数を占めていたそうだ。
そして次の会議でランクSに決定されるのは確定事項だったと言う。
「では、クレア嬢はランクSに匹敵すると言うことですな」
セルジオさまがそう言いだした。
「さすがにそれはないと思いますが」
でも私は、そう言われてまんざらでもなかった。
「ちょっと待て」
支部長が、
「君たちが全員で戦ってメドゥーサを倒したのではないのか?」
「勿論、全員で戦いました」
と私が言うと、ラーズさまが、
「いや、俺たちは石になってしまった。最後の一人になったクレアが単独でメドゥーサを倒したんだ」
「私一人の力ではありません。皆さんがメドゥーサを弱体化させていなければ倒せませんでした。ほら、青銅の両腕を斬り落としたじゃないですか」
「状況を詳しく聞かせて貰えないだろうか。メドゥーサをどうやって倒したんだ?」
支部長が説明を求めてきたので、私たちはどう戦ったのか詳しく説明した。
説明しているうちに、だんだん自分の作戦を自慢しているような感じになってきたけど、まあ良いか、と気にせず説明を続けた。
「まあ、こう言う感じなのですけれど」
「なるほど」
支部長は何か考え始め、しばらくして、
「ともかく、メドゥーサ討伐、ご苦労だった。報酬は後で取りに来てくれ。額が額だから、用意するのに時間がかかる。それと君たちのランクを本部に連絡して上げるよう交渉する」
やった。
ラムール王朝以来、ランクアップしていないから久しぶりだ。
いや、それでも普通の冒険者に比べれば物凄い速さでランクアップしているけど。
そして、改めて依頼達成料を貰いに来た時、私たちは正式にランクアップした。
ラーズさまとスファルさまはランクBからランクAに。
セルジオさまとキャシーさんはランクCからランクBに。
そして私はメドゥーサを倒した功労者ということで、特例でランクDから二段階上がってランクBになった。
私、セルジオさまとキャシーさんと同じくらい強いって認められたんだ。
なんか天狗になりそう。
その後、東南海の島プラグスタに向かう前に、私たちは冒険者組合や港で一応情報収集した。
プラグスタ島付近の諸島では巨大な海獣が出没しており、島に近付くことができなくなっていると言う。
プラグスタ島には、自然と生命の調和を司る神鳥フェニックスが祀られている。
ゲームでは、フェニックスは 魔王バルザックと海獣クラーケンに倒され、島民は魔王の支配下に置かれていた。
そしてクラーケンを倒し、島民を解放することで、業炎の剣ピュリファイアの置かれた祭壇まで案内され、剣を入手すると言う流れになっている。
クラーケンがいることは、カスティエルさまも言っていた事だし、ゲーム通りで問題ないだろう。
私たちは港に向かい、カスティエルさまが用意してくださった、小型船に乗り込む。
定員八名の釣船。
元々は貴族が使っていたもので、古くなったので売却に出されたのを、カスティエルさまが買い取った。
推進機は魔力を動力源としており、帆船の類よりも早く海を進むことができる優れ物。
「こんな良い船を用意していただいたなんて。カスティエルさまともう一度お会いできたら、改めてお礼をしなければなりませんね」
私はみんなに言うと、早速船に乗り込んだ。
「では、ラーズさま。お願いします」
「わかった」
ラーズさまが操舵室に乗り込み、動力機関に魔力を注ぎ込み始める。
ガソリンエンジンのような唸り声を上げて、推進機が作動し、スクリューが回り始め、船が進み始めた。
こうして、私たちはプラグスタ島へと向かった。
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