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ニ、結婚×仕込み
ニ、結婚×仕込み⑥
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「えーっ 古舘外科ってあの駅前の!? カフェみたいなお洒落なロビーの! エントランスの噴水にお花が浮かんでるとこ!?」
「まあうちがデザインから携わったから、知ってるけども」
とんとん拍子で進んでしまい、結納の日にちが決まった時点で、私も覚悟を決めた。
正確には、口に出さないと現実味が湧かないので、友人でもあり仕事でこの先迷惑をかけてしまうかもしれないので伝えたまでだ。
なのに小春は、可愛い顔が台無しなほど大きな口を開けて驚いている。
顎が外れないか、見てるこっちがひやひやするレベルだ。
「古舘外科の、ストイックでクールな院長さん、合コンに全く来ないし女がいるのかと思っていたのに。そうか、お見合いか」
「……うん。親と食事するのかと思ったら、あの夜、顔合わせだったの」
いきなり結婚というと説明が面倒なので、二人でお見合いだと話を合わせることにしていた。
「くっそ。良い男は良い女を選ぶよなあ。紗矢なら身持ちが堅い、良家のお嬢様だし。参考までに決め手になったエピソードは」
「たまたまよ。偶々、タイミングというか、何もない冷蔵庫の中身で一品作ったのを見て、驚かれたせいだし」
嘘は言っていない。嘘は言っていないけど口止めもしていなかった。
仕事が終わるころには『南城紗矢は、野菜しか入っていない冷蔵庫からささっと七品作って、古舘外科医院の院長の胃袋を射止めた』というデマが会社中に広まっていた。
伝言ゲームもできない人間しかいないうちの企業に不安しかない。
このデマが、彼の元にまで届いたら、彼は笑い死ぬかもしれない。
本当、料理ぐらいはちゃんとしないといけない。
結納は一週間後に、ホテル『シャングリラ』というクラシックホテルで行われる。ロビーのステンドグラスが美しいホテルだけど、屋上に庭園ができたらしい。洋風のクラシックホテルの屋上に、日本庭園っておかしな話。
仲人を引き受けてくださる方がシャングリラのオーナーだから予約でいっぱいだったのに急遽貸していただけることになったようだ。
喬一さんがお世話になった人で、父の恩師だという。今時、仲人って聞きなれない言葉だからちょっと新鮮だったりする。
「さて。今日も定時に帰るからね!」
「あら、古舘さんったら張り切ってるね」
小春が椅子を回転させながら私のデスクにやってきた。
この友人の口の軽さに、頬を抓ってやろうかと思ったが今は帰るのが先だ。
「そう。彼の家を覗きに行くの。医院の後ろに家があるらしくて、私の荷物をいれるならどれぐらいの広さかちゃんと見ておこうかって」
「まあ、結婚前の男女が家に」
「そう。まあ喬一さんは今日は夜勤ですがね」
お借りした鍵を見せると、明らかに残念そうな顔をする。
露骨すぎるけど、ここまではっきり顔に出してくれる方が楽だ。
「そういえば、喬一さん、毎日お弁当持って来てたから、家に女がいるんじゃないかって医院の事務の子が言ってたらしいよ」
「お弁当? お姉さんじゃないかな」
「ああ、なるほど」
小春は納得してくれたけど、私はロッカーに戻って気づいた。
「えーっ 古舘外科ってあの駅前の!? カフェみたいなお洒落なロビーの! エントランスの噴水にお花が浮かんでるとこ!?」
「まあうちがデザインから携わったから、知ってるけども」
とんとん拍子で進んでしまい、結納の日にちが決まった時点で、私も覚悟を決めた。
正確には、口に出さないと現実味が湧かないので、友人でもあり仕事でこの先迷惑をかけてしまうかもしれないので伝えたまでだ。
なのに小春は、可愛い顔が台無しなほど大きな口を開けて驚いている。
顎が外れないか、見てるこっちがひやひやするレベルだ。
「古舘外科の、ストイックでクールな院長さん、合コンに全く来ないし女がいるのかと思っていたのに。そうか、お見合いか」
「……うん。親と食事するのかと思ったら、あの夜、顔合わせだったの」
いきなり結婚というと説明が面倒なので、二人でお見合いだと話を合わせることにしていた。
「くっそ。良い男は良い女を選ぶよなあ。紗矢なら身持ちが堅い、良家のお嬢様だし。参考までに決め手になったエピソードは」
「たまたまよ。偶々、タイミングというか、何もない冷蔵庫の中身で一品作ったのを見て、驚かれたせいだし」
嘘は言っていない。嘘は言っていないけど口止めもしていなかった。
仕事が終わるころには『南城紗矢は、野菜しか入っていない冷蔵庫からささっと七品作って、古舘外科医院の院長の胃袋を射止めた』というデマが会社中に広まっていた。
伝言ゲームもできない人間しかいないうちの企業に不安しかない。
このデマが、彼の元にまで届いたら、彼は笑い死ぬかもしれない。
本当、料理ぐらいはちゃんとしないといけない。
結納は一週間後に、ホテル『シャングリラ』というクラシックホテルで行われる。ロビーのステンドグラスが美しいホテルだけど、屋上に庭園ができたらしい。洋風のクラシックホテルの屋上に、日本庭園っておかしな話。
仲人を引き受けてくださる方がシャングリラのオーナーだから予約でいっぱいだったのに急遽貸していただけることになったようだ。
喬一さんがお世話になった人で、父の恩師だという。今時、仲人って聞きなれない言葉だからちょっと新鮮だったりする。
「さて。今日も定時に帰るからね!」
「あら、古舘さんったら張り切ってるね」
小春が椅子を回転させながら私のデスクにやってきた。
この友人の口の軽さに、頬を抓ってやろうかと思ったが今は帰るのが先だ。
「そう。彼の家を覗きに行くの。医院の後ろに家があるらしくて、私の荷物をいれるならどれぐらいの広さかちゃんと見ておこうかって」
「まあ、結婚前の男女が家に」
「そう。まあ喬一さんは今日は夜勤ですがね」
お借りした鍵を見せると、明らかに残念そうな顔をする。
露骨すぎるけど、ここまではっきり顔に出してくれる方が楽だ。
「そういえば、喬一さん、毎日お弁当持って来てたから、家に女がいるんじゃないかって医院の事務の子が言ってたらしいよ」
「お弁当? お姉さんじゃないかな」
「ああ、なるほど」
小春は納得してくれたけど、私はロッカーに戻って気づいた。
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