とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

篠原愛紀

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三、当日×材料

三、当日×材料①

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 すっかり冬に染まり、クリスマスソングが通勤時に聴こえてくる。
 電車の中のポスターも、デートスポットの紹介とか、窓の外を流れる夜景は輝いてる。
 ショーウィンドウにもツリーやクリスマスカラーの商品、そして恋人たちを刺激するような高額なブランド品も並び、デートスポットはライトアップされ始めた。


 そんな11月の終わりの吉日。


 クラッシクホテル『シャングリラ』の屋上の日本庭園で結納をした。
 結納もただの仲良し家族の食事会のように終わり、挙式は仕事場の人たちが来てくれたけど披露宴は身内だけで細やかに行うことになった。


 喬一さんが、跡取り問題で親戚に良い印象がない上に、私の父や兄の地位や権力に媚びへつらう輩だからと、対面させたくなかったらしい。

 私は、喬一さんのお姉さんが選んでくださった着物も着れて、大満足だ。

 本当に都会のホテルの屋上なのか、一瞬、ここかどこだか忘れてしまうような、美しい庭園だった。竹が生えた月小路と呼ばれる遊歩道を散策し、四季を感じさせる木々や花を二人で見て回った。
 鯉が泳ぐ池を渡り、森の香りが漂う純日本風の数奇屋造りのお部屋で両家族と式を挙げた。
 式当日、早朝5時まで喬一さんは急患の手術をしていたんだから、驚いた。
 そんな様子は微塵も感じさせないぐらい爽やかな笑顔で、祖母と挨拶していたぐらいだ。

 喬一さんはお婆ちゃんとの初対面に大喜びだった。いつもお野菜が美味しい、私が作った料理で癒されてると、多大な感謝を述べ、おばあちゃんを笑顔にしてくれた。
 おばあちゃんとお爺ちゃんは、シャングリラのオーナーとあいさつを交わし談笑している。いつも畑仕事の土だらけの仕事着を脱ぎ、着物に着替えたおばあちゃんは、上品でとても若々しい。
 私の身内に挨拶を交わして、私の元へ駆け寄ると顔を綻ばせる。
 

 疲れを見せない彼が、私のドレス姿に『一瞬で元気になったよ』と笑った。

 もう少し、不満とか愚痴とか、隙を見せてくれてもいいのに私の目の前にいる彼はいつも完璧で、私はやはり敵わないと思ってしまったのだ。


「ウエディングドレスも可愛かったけど、その色の着物も可愛いね」
 両家族と仲人さんたちは、まだ中で宴会中だが私たちは庭を散策して東屋で座ってお互いの姿をようやくゆっくり見れた。
 喬一さんの紋付き袴姿も、引き締まった体のラインが見えて格好いい。

「私も、選んでいただいた着物がすっごく素敵で気に入ってるの!」

 喬一さんのお姉さんは、竹を割ったような性格の方で、裏表がないはっきりされたとても綺麗な人だった。
 旦那さんはうちの父が早々にお酒をすすめ断り切れずに一杯の日本酒を飲み真っ赤になり席を外してしまっていた。優しそうな人。お姉さんがピンと張ったピアノ線のようだとしたら、柔軟なゴムのような柔らかい笑顔の朗らかな人だった。

 お姉さんは、私ははっきりした顔だから柔らかい色が似合うと着物を選んでくれた。
 結婚式の着物と言えば、赤かなあってぼんやり思っていたんだけど、選んでいただいたのはピンクベージュに大輪の花が咲き乱れたレトロでモダンなお洒落な柄だった。
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