とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

篠原愛紀

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三、当日×材料

三、当日×材料②

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 柔らかくて優しい色は、私の顔立ちを引き立ててくれて雰囲気も優しくなって、飛び跳ねたくなるほど嬉しい。自分に似合う色を発見してもらえて、勉強にもなった。

「それは良かった。きつい性格だから無理に付き合わなくてもいいって思ったんだけど」
「全然。強くて逞しい女性は憧れます。私は好きですよ」

 喬一さんの袴をツンツンしながら、だらしなく笑ってしまったら彼も笑う。
いや、だって袴姿、格好いいし、幸せで顔がにやけてしまうんだもん。

「俺も、可愛い紗矢が好きだよ」
「きゃー」
「俺にもいっぱい言って」
「……ひい」

 眩しい笑顔で両手を広げられて、蕩けてしまいそう。

「俺は毎日こんなに言ってるのに、紗矢は恥ずかしがってすぐ逃げるから、今日ぐらいは沢山聞きたいな」

 そう言いつつも、顔は意地悪ににやにや笑ってる。
 絶対、私の困った顔が楽しくて言っているだけに違いない。
「沢山言ってくれたら、優しく脱がすけど?」
「意地悪……っ」

「残念。君は悪い男に引っかかったよ」

 頬を撫で、指先が唇まで降りてくる。
「最初に君を家に上げた時に、抱こうと思ったんだ。君みたいに真面目な子はさっさと既成事実を作って逃がさないぞ、と」
「わ、悪い男です」
 確かに悪い男だ。納得していたら、クスクス笑われてしまった。

「そうしたら、出勤要請だろ?」
「悪いことを考えるからですよ。それから私を押し倒そうとすると、必ず救急車のサイレンです」

 つまり私と喬一さんはいまだに清い関係だ。
 昨日、婚姻届けを提出して『古舘 紗矢』になってしまっているのに。
 緊急オペでそのまま彼は出勤して、帰ってこないまま挙式に駆け付けたんだから。

「昨日と今日は、良い子だったろ、俺」
「まあお仕事は頑張っていました。疲れ様です」

おずおずと手を伸ばして、頭を撫でると彼は目を細めて私の腕を掴んだ。

「じゃあご褒美をもらおうか」
「ご褒美」
「苗字ももらったし、君の初恋ももらっちゃったみたいだけど、残念だね。悪い男は全部が欲しいらしいよ」

 全部。
 その囁くような声の甘みに体がじわっと痺れていく。
 喬一さんは手に口づけすると、恭しく私の目を見る。

「一枚一枚、その服を優しく脱がして、色んな表情の君をもらうよ」
「……ふ、夫婦になるんだし、受けて立ちますっ」
「最後の一枚を脱がしたとき、君の桃色に染まった肌を今度は俺が覆い隠す。最高だ」
「え、あの、きゃっ」

 言い終わらないうちに抱きかかえられ、東屋を後にする。
 高いビルの上、星に届きそうなホテルの屋上で、まるで虫の声が聞こえてきそうな庭園を彼に抱えられて私は移動する。

 まだ両家の親たちの騒ぐ声が聞こえてくるのに、彼は私を抱きかかえたままホテルを降りていく。
「どこに行くんですか」
「隣のデザイナーズホテル『オーベルジュ』。ここのクラシックホテルの社長の息子が若い子向けに建てた大人の隠れ家ホテル」
「ええ、でもあそこ、人気でなかなか泊まれないんですよ」
 このクラシックホテルは和風な挙式、隣のデザイナーズホテルは、洋風な挙式ができる。が、向こうは挙式の予約が二年先までいっぱいなので、私たちはこっちの庭園にしたのに。
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