とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

篠原愛紀

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エピローグ

エピローグ③

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 五か月検診の時に、双子を妊娠していると言われたのだ。
 妊娠初期に気づかなかったようで、おまけに喬一さんも「そういえば祖父が双子だと言ってました」と後出ししてくるから驚いた。

喬一さんのお姉さんと同じクリニックはNICUがないからと大学病院に転院することにあった。一緒の産婦人科で心強かったのに、急に不安になった。
 そこで喬一さんと日色さんが色々病院を探してくれて、大学病院に管理入院。
 双子の場合、自然出産はリスクが大きいと説明され、帝王切開を勧められた。

「俺もその方が紗矢にとって安全と思うけど、自然分娩がいいとか無痛がいいとかあるなら、知り合いを探すよ」
 と私よりも産婦人科を熱心に調べてくれた。
 でも無痛よりも自然分娩よりも、喬一さんがすぐに駆け付けてくれてNICUがある大学病院の方が安心だったので、そのままそこで入院した。

 彼の同期のお医者さんがいて、彼が大学時代から人当たりはいいのに異様にパーソナルスペースが広く、近寄りがたいオーラがあると苦笑していたので私も笑ってしまった。

 大学時代は、彼が一番人生で絶望した、お姉さんの結婚式の時期らしいので納得できる。
 でも喬一さんを知っている人たちもいたし、検査もしっかりしていたので、安堵できた。


 初めての入院で怖かったし不安もあったけど、それを吹っ飛ばすほど喬一さんが喜んでくれていたから、なんとか乗り越えられた。

 面会時間になると一番に会いに来てくれるし、疲れていても一目だけでも仕事終わりに来る。その優しさが私には一番の安定薬だ。

 彼は少し不器用な部分があるらしいけど、それ以外は本当によくできた人で。
医師で知識もあるから妊娠中の症状に理解もあるし、嫌な顔な顔ひとつせずなんでもサポートしてくれた。

 入院中に二階の空き部屋二つを、壁を壊して子供部屋に改装すると言われ、写メを見せられた。が、二階の子供部屋の壁に、天井に届きそうなほど玩具が積んであったのを見て、これは早く家に戻らねばとも思った。

 男女の双子と分かってからは、色違いのお揃いの服や双子用にベビーカーやら色々買い出しも進んでしてくれたし、買いすぎってぐらい出産準備の買い出しもしてくれた。


 帝王切開の日まで、病室でトイレ以外動くのは控えるように言われた私に、おすすめの本や子供の靴下をお互い編むかと提案された。
 でも出来上がった靴下は、どうみても誰が見ても、ぼろ雑巾と高級ブランド靴下ぐらい差があった。
 料理が上手なだけあって、彼の方がとても得意で私は毛糸の色を選ぶ係に転職したのだった。

 帝王切開の日は、そんな几帳面な彼が、用意したデジカメを横にして放り投げるぐらい、おろおろしていたのは忘れられない。
 胸から下まで麻酔で感覚はなくなるけど、意識はあるので胸の下からカーテンで区切られ、その向こう側で医師や看護師さんが動いている恐怖。
 それを一緒に乗り越えて、手を握ってくれた喬一さんに、本当に好きになってよかったなって思えたんだ。

 この人に選んでもらって、この人を選んで、好きになって、愛されて、そして赤ちゃんを授かってよかったなって本当に心から思えた。

 日毎、喬一さんを好きになる、そんな幸せな自分が、満たされていてすごく素敵な時間をもらっているなと感じる。

 37週目で帝王切開で、2500グラムと2600グラムの可愛い男女の赤ちゃんを産んで、もう二か月が経った。
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