とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

篠原愛紀

文字の大きさ
62 / 63
エピローグ

エピローグ④

しおりを挟む

 痛みは伴うものだけど、その何倍も何十倍も生まれてきた二人が可愛くて、痛みなんてぶっ飛んだ。本当に最初の2,3日は痛みが分からないぐらい、私の隣で眠る子供たちが可愛くて可愛くて、目が冴えていた気がする。


 二か月経ったのに、乳口炎になったり、二人の夜泣きにパニックになった私が指揮者のようにきゅうりを振り回したら、爆笑されたり。
大変だけど、喬一さんも夜勤は断り夜は家にいてくれている。

お姉さんが先に出産して、喬一さんの実家はお姉さんの息子さんの世話で忙しいからそちらはお姉さん優先にしてもらい、うちの父や母や兄がなんやかんやサポートしてくれてるのも助かってる。

「ううう。喬一さんの和食、美味しいんだけど。美味しすぎるんですが、ジャンクフードが食べたい。あぶらっこいポテトとか、ぎとぎとの油がのったフライドチキンとか、あとボウルいっぱいの生クリームとか」

 日向ぼっこさせようと窓際にベビーチェアを持っていく。寒いので散歩はやめて日光浴だけにしておく。

ぐっすり二人は気持ちよさそうに眠っているから、起こすのもよくないだろうし。

 女の子の方は美矢、男の子は喬矢と名付けた。
 私が男の子を、彼が女の子の名付け親だ。

 双子なのに喬矢は既に喬一さんみたいな切れ長の目で、美矢は私に似たくるんとした大きな目、だと言われている。多分、兄の意見だから、兄馬鹿な視点が多いに入ってると思うけど。

 抱っこした喬矢の、美味しそうな柔らかくて触り心地のいい手がクリームパンに見えてきた。幻覚症状が出たならそろそろ限界なのかもしれない。

「はあ。クリームパン食べたい」
「いいよ」
「喬矢を食べていいの!?」
「それは駄目だけど」

 クスクス笑う喬一さんが、二人用のベビーカーにそっと美矢を乗せた。
「ボウル一杯、生クリームを作ってあげるよ」
「ええええ。でも喬一さん、甘いもの苦手ですよね!」

 食べたくて涎が出そう。気持ちよさそうに眠ってる喬矢を覗いていると、喬一さんを見る。

「頑張ってる紗矢のために生クリームを買ってたんだ。我慢のし過ぎの方が体に悪いからね。ハニートーストでも焼こうかな」
「やったー」
「ホイップもしてみたかったしな」

 双子の柔らかい頬に口づけると、キッチンへ入る。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない

鈴宮(すずみや)
恋愛
 孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。  しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。  その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

処理中です...