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弐:最恐最悪装備の魔王VS就活のダボダボスーツ装備勇者
十一
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「私への愛はまやかしだと。世界のために私を愛していたと」
「え、あの、愛?」
魔力もない一般市民の俺は、気絶しそうなほどの圧力に座っているのもきつい。
魔王はどの世界で生まれ変わっても魔王なのか。
自論で縛られ、自分の中で話を解決して、結局俺の話は聞いてくれないのか。
「勇者、私と心中して来世で一緒になりたいと思ってくれていたのではないのか!」
「うわあ、なにそれ。待って、魔王。俺たち、前世ではずっと敵同士だったじゃん。魔王だって結構本気で俺たち殺しにかかってたじゃん」
俺と魔王が心中?
来世では一緒になりたい?
そんなはずないって。俺は勇者として魔王を倒したり、または世界を救ったあかつきには、世界中の女性にモテる予定だったんだ。ユージンみたいに。
そんな俺がどうして同性の魔王と心中?
風呂入ってるときに奇襲してきたり、話し合いたいといえば太腿に座れとか侮辱してきたり、他の四人を人質に、デート誘ってきたり。
よくわからない魔獣の死体を『美味だから』と送ってきたり、森で迷子になったとき触手に襲われた俺を、にやにや黙って見て、ヤられるってギリギリで助けたり。
「……えーっと」
不死鳥なんちゃらっていう貴重種の瞳でできた指輪を送られてきたことがあるな。不気味だったから箱を一度も開けなかったけど。
でもよくよく考えたら、触手に襲われたときのニヤニヤはむかついたけど、それ以外は意外と、好意的だったのか。
「もしかして、魔王って結構俺に優しくしてくれてたのか」
「そうだ。ライクではなくラブ的な意味で優しくしてやっていた」
「それなのに、俺は敵として話し合おうとしか見てなかったわけか」
まじか。この世界最強の、世界を半壊し魔獣を従わせ、人を人とも思わない美麗な男が、俺を?
「あ、あはは。確かに前世は金髪碧眼でそこそこイケメンだったかも。でも今は、この通り、垢ぬけない、ニート予備軍。前世に力がありすぎて、油断して努力を怠っただらしない成長をしかしていない。再会してがっかりしただろ?」
床に座って、ソファの上に座る絶対的王者の貫禄の魔王を見る。
英国の貴族の家に生まれ、濡れたような黒髪だったのが金髪碧眼の美しい爽やかな美麗男性に変貌して、そして俺なんて簡単にひねりつぶさると余裕の態度。
何もかも敵わないな。俺、ここで死ぬのかな。
「幻滅などしない。初心で汚れを知らないおぼこのようで愛い」
「ouiか。はは」
魔王が急に立ち上がったので、後ずさったが簡単に抱きかかえられた。
わきの下をがっしり掴まれ、抱きかかえられ、美しい魔王を見下ろしている。
「前世のお前は、私の言葉の裏もくみ取り切れず、うすっぺらい言葉だけを信じて、可愛らしかった。いつでも首をとれるのに、必死で私を分かろうとまっすぐに見てきて、愛おしかった」
俺は怖かった。でも、話を真剣に聞いてくれていたってわかって頑張って歩み寄ったんだ。
でもつまり、ここに呼び出したのは、前世の約束(?)を果たそうとしただけってことか。脅迫は、呼び出すためだけ、なのかな。
それなら良かった。だって、俺、マッチングアプリのバイトで食いつないでいるんだからあれを辞めさせられると、就活だけじゃなく人生も終わる。
蕩けんばかりの魔王が俺を抱きかかえたまま、部屋を歩き出す。つられて俺も笑ったが、下ろされた場所は、三角木馬だった。
「いっ」
痛みが全身に走る前に、魔王にしがみついた。
「いいな。お前は痛がる姿が、可愛い。開発しがいがあるな」
「ひいい。魔王、下ろさないで、股間がつぶれるうう」
必死で魔王の服にしがみつくと「oui」とまた呟いていたが、俺は絶対に離さない。絶対に魔王から離れないぞ。
「三角木馬に座りたくないか」
「え、あの、愛?」
魔力もない一般市民の俺は、気絶しそうなほどの圧力に座っているのもきつい。
魔王はどの世界で生まれ変わっても魔王なのか。
自論で縛られ、自分の中で話を解決して、結局俺の話は聞いてくれないのか。
「勇者、私と心中して来世で一緒になりたいと思ってくれていたのではないのか!」
「うわあ、なにそれ。待って、魔王。俺たち、前世ではずっと敵同士だったじゃん。魔王だって結構本気で俺たち殺しにかかってたじゃん」
俺と魔王が心中?
来世では一緒になりたい?
そんなはずないって。俺は勇者として魔王を倒したり、または世界を救ったあかつきには、世界中の女性にモテる予定だったんだ。ユージンみたいに。
そんな俺がどうして同性の魔王と心中?
風呂入ってるときに奇襲してきたり、話し合いたいといえば太腿に座れとか侮辱してきたり、他の四人を人質に、デート誘ってきたり。
よくわからない魔獣の死体を『美味だから』と送ってきたり、森で迷子になったとき触手に襲われた俺を、にやにや黙って見て、ヤられるってギリギリで助けたり。
「……えーっと」
不死鳥なんちゃらっていう貴重種の瞳でできた指輪を送られてきたことがあるな。不気味だったから箱を一度も開けなかったけど。
でもよくよく考えたら、触手に襲われたときのニヤニヤはむかついたけど、それ以外は意外と、好意的だったのか。
「もしかして、魔王って結構俺に優しくしてくれてたのか」
「そうだ。ライクではなくラブ的な意味で優しくしてやっていた」
「それなのに、俺は敵として話し合おうとしか見てなかったわけか」
まじか。この世界最強の、世界を半壊し魔獣を従わせ、人を人とも思わない美麗な男が、俺を?
「あ、あはは。確かに前世は金髪碧眼でそこそこイケメンだったかも。でも今は、この通り、垢ぬけない、ニート予備軍。前世に力がありすぎて、油断して努力を怠っただらしない成長をしかしていない。再会してがっかりしただろ?」
床に座って、ソファの上に座る絶対的王者の貫禄の魔王を見る。
英国の貴族の家に生まれ、濡れたような黒髪だったのが金髪碧眼の美しい爽やかな美麗男性に変貌して、そして俺なんて簡単にひねりつぶさると余裕の態度。
何もかも敵わないな。俺、ここで死ぬのかな。
「幻滅などしない。初心で汚れを知らないおぼこのようで愛い」
「ouiか。はは」
魔王が急に立ち上がったので、後ずさったが簡単に抱きかかえられた。
わきの下をがっしり掴まれ、抱きかかえられ、美しい魔王を見下ろしている。
「前世のお前は、私の言葉の裏もくみ取り切れず、うすっぺらい言葉だけを信じて、可愛らしかった。いつでも首をとれるのに、必死で私を分かろうとまっすぐに見てきて、愛おしかった」
俺は怖かった。でも、話を真剣に聞いてくれていたってわかって頑張って歩み寄ったんだ。
でもつまり、ここに呼び出したのは、前世の約束(?)を果たそうとしただけってことか。脅迫は、呼び出すためだけ、なのかな。
それなら良かった。だって、俺、マッチングアプリのバイトで食いつないでいるんだからあれを辞めさせられると、就活だけじゃなく人生も終わる。
蕩けんばかりの魔王が俺を抱きかかえたまま、部屋を歩き出す。つられて俺も笑ったが、下ろされた場所は、三角木馬だった。
「いっ」
痛みが全身に走る前に、魔王にしがみついた。
「いいな。お前は痛がる姿が、可愛い。開発しがいがあるな」
「ひいい。魔王、下ろさないで、股間がつぶれるうう」
必死で魔王の服にしがみつくと「oui」とまた呟いていたが、俺は絶対に離さない。絶対に魔王から離れないぞ。
「三角木馬に座りたくないか」
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